週一回は出したいシリーズ:「聖王 終わりの移民」8-8
【前書き】
皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。
連載漫画に考えていた企画を、今「小説家になろう」の掲載中です。
面白いと思っていただけたら、そちらも読んで頂けると嬉しいです。
https://ncode.syosetu.com/n2644iw/
少しの間でも、お楽しみ頂けていることを願います。
【聖王 終わりの移民】8-8
「橘マコト⑧」
作:カナモノユウキ
《登場人物》
・高瀬タケル(20)大学に通うヤマトの親友、自分勝手なところもある。
・大継ヤマト(20)タケルの親友、大学では友達も多い。タケルとは真逆な性格。
・町村ツカサ(32)聖王のプレイヤー、クリア回数5回。
・音來未ケイ(21)ゲーム初参加者、愛知出身。
・原嶋アキオ(37)クリア経験一回、大阪出身。
・橘マコト(39)聖王のプレイヤー、クリア回数7回。
聖王 終わりの移民
《橘マコト⑧》
――「橘ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
「クソガキいいいいいいいいいいいいい!」
お互いの怒号と共に、同時に仕掛ける。
先ず動いたのは〝槍〟だ、三角の様な隊形の先端でこちら目掛けて突きを繰り出してくる。
ワンパターンだけど、きっと目的は左右どちらかに動くかの選択だ。
左右の端には〝弓〟と〝銃〟が居る。
その左右を守り、且つ中心の橘を守る為に〝剣〟と〝盾〟が陣取っている…対一人とは思えない態勢だ。
それだけ、僕に対して〝油断していない〟と言う事か…。
だけど、それは僕だって同じこと。
状態:スキル〈迅雷〉〈昊天〉の合わせ掛けに、補助スキル〈ブースト:レベル2〉での思考加速。
相手のアドバンテージは〝数〟で、僕のアドバンテージは〝手数〟だ。
アキオさんの意志を、コイツに〝叩きこむ〟んだ。
――さぁ、どっちに動く?
左には〝盾・銃〟の二体、右は〝剣・弓〟の二体。
どっちに行く方がリスキーか。
…馬鹿だなコイツ、お前なら…そっちだよな、〝右〟しかないよなぁ!
そのまま相手をしてみろ、どう転んでもお前の負けだ。
A:そのまま突撃して、装備を変更して周囲を警戒しながら各個撃破。
B:あのバズーカで一掃し、陣形を崩して体勢が崩れた個体から撃破。
この二択ぐらいだろうさ…だが、お前は必ず〝俺を最後に回す〟…だからこそ私が動きお前の!
「…クソ議員、アンタも単純だな。」
槍を避けて右に進んだ!?…いやフェイクか!!
C:〝槍〟をバズーカで撃破し陣形を崩して各個撃破。
そっちは単純すぎて…ククク、馬鹿が!
そんなの自分から囲まれに行く様なモノだろうが!
…は?床にバズーカの銃口を向けた?
…は?何のつもりだ!?
「貴様ぁぁあああああ!」
床に向けられた銃口は大きな爆発となり、地面が崩れた…その拍子に近くに居た〝槍〟にもダメージが!
舞うホコリで視界が悪い!
それに…クソ!クソぉ!アイツはどこ行った!
撃ち出した瞬間に不覚にも見失った…アイツは、遠くに行くはずはない!
あの性格だ、俺を狙うに…。
「クソガキ!上か!上に飛んだか!」
――アキオさんのバズーカの勢いを思い出した…あのビームみたいなのは照射時間が長い。
一か八かで床に撃てば飛べるんじゃないかって、予想は当たった。
僕は天井に向かって飛び上がれた。
ここからなら、綺麗に並んだ橘の兵士の陣形がよく分かる…これなら簡単に〝撃ち抜ける〟ことが出来る。
思考加速のお陰で、滑空時間がとても緩やかに感じる。
この状態なら、下手くそでも十分に狙える!
〈雷霆バズーカ〉から装備変更、〈アルテミスの銀銃〉を装備し直し…頭上からのヘッドショットも簡単だ。
〝剣〟と〝銃〟、それにまだ残っている〝槍〟に狙いを定めて撃つ…命中!
やっぱりこの三体は防御力が弱い。
頭に弾丸一発撃ちこまれただけで倒せた…そろそろ跳躍の最高地点だ。
まだ地上までは距離がある…〝盾〟に狙いを定めて…撃つ。ヘッドショットは出来なかったけど、肩に命中した。
…まぁ、もう関係ないからいい。
「クソガキ!上か!上に飛んだか!」
「ちょっと、遅いよ。」
〈雷霆バズーカ〉から装備変更、〈ガラハッドの盾〉を装備し直し…このまま下に向けて突撃する。
レア武器の強度に滑空の勢いを足して、更に〈雷霆バズーカ〉を装備…今とは逆に一気に天井から…。
「潰れろ、クソ議員!!」
――ユタカが言っていた、「弱者も強者も、心持ち一つで裏返る。」と。
私は、その理屈が全く理解できなかった…そうだろう?剣道の勝負でもそうだった…。
――「心持ち一つで強者になれるのなら、私がお前に剣で勝てないのは納得いかないな。」
「そういう所だよ、お前の一手足りないところはな。…弱者と見下すその姿勢こそが、〝油断〟となる。
お前は誰よりも秀でたいのに、自分が〝弱者の中の強者である〟と一番認めている。」
「あぁ、私は強者に太刀打ちできる弱者でもある、だからこそなのに…一度も勝てないのだからな。」
「だからこそだよ。結局お前は、〝一番の弱者〟なんだよ…だから徒党を組みたがる。」
「それの何がイケないんだい?それが〝政治家〟というものだろう。」
「…だから、俺に勝てないんだよマコト。」
――アイツの言っている嫌味が…全く理解出来なかったが、その態度とその姿勢…なのに、嫌いになれなかった。
その理由はきっと、アイツが俺の求める…理想の強者だったからだ。
だからこそ…俺の理想たるマコトを殺した、この政界を壊す!
強者のみの政治、それは…弱者の声で死んだユタカの様な被害者を…造らない為の政治!
そのつもりだったのに、何故こんなクソガキに…どうしてこんな世間知らずに!
ユタカと同じ強者の風格を私に見せつける!
本当に腹立たしい!遺憾だよこんなことは!
「このクソガキがあああああああぐうううううううっ!!!!!!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」
こんなことで…押し…潰され…る…。
――盾は真っ直ぐ橘へ命中した、勢いをそのままに衝撃で煙が充満している。
〝獣〟が潰れたのは確認できていたけど、間に居た橘は…居ない?
「…仕留めそこなった?いや…違う…。」
仕留めそこなった〝盾〟が消えている…。
あのクソ議員は、どこ行ったんだ!?
続く
【あとがき】
最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。
元々は漫画のネタなので、何だか説明が足りないなと感じつつも。
荒っぽくても楽しんでもらえるようにと。
頭を雑巾のごとく振り絞って書いてますm(__)m
完走まで頑張るので、応援して下さると嬉しいですm(__)m
何卒、宜しくお願い致します。
※面白いと思っていただけたら、こちらから続きが読めます。
https://ncode.syosetu.com/n2644iw/
では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。
カナモノユウキ
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