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底引き網漁とメギス

7,8月は底引き網漁の禁漁期であり、魚屋に「何かあるけ?」と聞いても「な~んもないわ。」と気だるい返事が返ってくる。氷の上のカゴにはキスやアジなどがポツポツあるだけで、いろどりも単調だ。それが9月に入ると風景は一変し、魚の種類も増えればいろどりも豊かに店の中が活気にあふれる。漁師・魚屋に限らず金石の人々は底引き網漁解禁日である9月1日(実際に魚が並ぶのは2日)を待ちわびる。カレイ、甘えび、ハタハタなどなどいろいろ並ぶ中でメギスは最も馴染み深い食材の一つである。

塩茹でで生姜と醤油で食べたり、フライにしたり番茶煮に、練り物にして団子汁・ふかし・揚げ団子・すり身の昆布巻き蒲鉾などなど。イワシの調理とかぶるところもあるが、イワシと決定的に異なるのは練り物にした時の粘りである。「イワシは卵の白身でつなぎ、メギスは黄身でつなぐ」という家もある。イワシのすり身はそこまで粘りがないので結着力の強い白身でつなぐ。メギスは粘りが強いので黄身を使い、すり身を固めたときほぐれるような食感にするのが面白いということか。

メギス味噌汁 (2)

メギス団子の味噌汁
金沢の郷土料理の一つにすりおろしたレンコンを使った味噌汁がある。粘りが強い金沢のレンコンの特色を生かしたものだが、完全に固まった団子状で使う家もあれば、団子にしないで汁にそのまますり流して味わう家もある。その中間であえてゆるく団子を作って、半分汁に溶かし半分トロトロの団子で食感を味わう家もある。要は好みの問題なのだが、メギスの団子の味噌汁もどれぐらい汁に溶かすかがこの料理の面白いところで好みが分かれるところである。今回は腹に染み渡る半溶かしバージョンを紹介する。

①メギスを三枚におろし身を包丁でたたく。わりと粗目にすると、いい具合に成分が汁に溶け出す。
②つなぎに全卵の1/3~1/2ぐらい使用。多すぎると流れ出す。小麦粉・片栗粉を少量加える。
③お湯が沸いたら団子を投入し、味噌を加えて完成。出汁はとらない。

昔は魚介類の汁ものは澄まし汁が基本でメギスの団子汁も、醤油の澄ましだった。漁連の婦人の会合で「味噌汁にしても美味しいんやよ。」との紹介がありそこから金石に広まったのではないかとのことである。

メギスのさつま揚げ
すり身は骨ごとすり身すると食感が楽しめる。もちろん骨なしでもよい。すり身で売っているものでもよいし、自分で叩いたりフードプロセッサーを使うのもよい。
とにかくメギスのすり身に何かを混ぜて素揚げするとメチャクチャ旨い。混ぜるものは適当なくず野菜を入れればよい。ゴボウやピーマンなど香りが強いものは相性が良い。ニンニク、ショウガ、各種ハーブ、唐辛子をいれればエスニック風味で酒のあてになる。自分は紅ショウガと枝豆を入れる。メギスのすり身はやさしい味で、いろんな食材を受け止める。

①スーパーでメギスのすり身を買う。
②好きなものを練り入れ素揚げする。

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