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イワシとカンゾウのぬた

私が小さいころ、うちの祖母や父親と四季に応じて近くでいろんなものを採ってきた。秋になると、金石のもんが「向かいの浜」と呼ぶ犀川西岸の森でクルミを拾い自然薯を掘り、ヒラタケなんかもあった。薬湯を煎じるためとかでドクダミやツユクサの採っては干した。砂浜にはハマボウフウが群生し、父親から「これは料亭なんかで使う高級な食材だ。」と教えられたが長らく絶えていた。ここ5年ぐらいでまたチラホラ見られるようになったのはなんとも喜ばしい。

春は彼岸ごろからイワシの季節だ。戦後しばらくが最盛期で1年間の総漁獲量の少ない時で3割、多い時だと6,7割をイワシが占めた。その多くが3月末からのひと月ちょっとの間にやって来たので、町中が天と地をひっくり返したような賑わいであった。現在の金石小学校の裏の小高い砂丘になっているところに雑木林があるが、その頃いろんな野草が芽吹きだす。中でもイワシと相性ピッタリなのがカンゾウとノビルだ。どちらもササっと湯がいて、イワシと共に酢味噌でヌタにして食べる。カンゾウは癖がなく甘味があり、ノビルはアサツキに似た香りが楽しめる。金石の自然の恵みを感じる春の季節の一品である。

イワシとカンゾウのヌタ
①イワシは三枚におろして強めに塩をして30分ほど置き、さらに酢に20分ほど漬ける。白子や真子は酒のつまみになるので別に置いておく。
②カンゾウはサッと湯がいて水気を切る。
③酢味噌を作る。
味噌大さじ2、砂糖大さじ1、酢大さじ1を合わせる。
④イワシとカンゾウを適当な大きさに切って酢味噌と合わせる。
※ノビルで作るときも同様。

イワシの白子

イワシの白子と真子のポン酢浸し
①沸騰した湯に白子と真子を入れて火を止めて10分置いて水気を切る。
②①を猪口に入れてポン酢を浸し冷蔵庫で冷やす。お好みでネギや一味を散らす。

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