[工芸の五月] 『使ううつわと飾るウツワ』 at 手仕事扱い処 ゆこもり


 浅間温泉街の路地をあるき、坂を上っていくと、木々に囲まれたまさに「隠れ家」のようにして”手仕事扱い処 ゆこもり”は在る。工芸の五月にあわせて、企画展示”長谷川正治陶店Ⅷ『使ううつわと飾るウツワ』”が開催されており、お邪魔させていただいた。


  和室の中に、作品たちは静かに並べられている。それらはお互いによくなじんでいるが、よく見ると一つ一つの作品に個性があり、またいくつかの「シリーズ」が存在することがわかる。

 長谷川氏は一連のシリーズ作品を制作し、あるときぱったりとそのシリーズをやめ、新たなシリーズを作り始める、といった制作スタイルらしい。その姿は陶芸家というより研究家のようである。常にあたらしいものを目指し、手法に創意工夫を凝らす。

 ギャラリーのオーナーの方によると、普通の陶芸家は効率よく作品をどんどん作っていく印象がある中、長谷川氏はその真逆を行くらしい。効率性を度外視した「ひと手間」により、作品にはただの「器」にはない独創的な工夫がある。それは、同じシリーズの同じ形の作品たちの中でも、ひとつひとつに全く違う個性を宿すのである。シンプルな食器のような親しみやすいかたちは使うための「うつわ」のようであり、観察すればするほど見えてくるデザインの創意工夫は飾るための「ウツワ」のようだ。

 作品は手に取って観賞することが可能で(昨今の情勢につき手袋を着用する)、購入することも可能だ。
 長谷川氏の創作には、彼の生活のできごとが反映されているらしい。生活に密着した創作だからこそ、それを受け取る私たちの生活と共鳴し、魅力を感じる。

 企画展は5月29日(日)まで、10:00~18:00の開催、日・月曜日定休(ただし最終日開廊)。最終日には長谷川氏も在廊とのこと。ぜひ訪れてみてほしい。(K.S)

 公式Instagramにて作品を閲覧可能。チェックされたい。
https://www.instagram.com/galleryyukomori/


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