お気に入りの作品—aline/pile-2

 私のお気に入りの作品は、『aline/pile-2 揃える/積み重ねる』です。なぜなら、目の前でさまざまな風景が立ち現れてくるように感じるからです。

 正方形の青い台紙の上には様々な形、色が被さっています。灰色、エメラルド、桃色、白色、青色、茶色、黄色、淡黄色の八色はバラバラに分断されて見えるかというと、そういうことはなく、統一感を覚えます。絶妙なバランスの上での纏まりがあるのだと思います。それがまた、なにかルールで定められたようにぴたりとそこに在ることが不思議です。
 はじめ、わたしはこの作品が夜の帳のように見えました。日没のなかで落ちてきたカーテン、雲が色付いているような時間です。次にわたしは星座に見えた気がしました。ふと顔を上げて空を見て、はっと息を呑むあの感じです。次にわたしは山々の連なりが見えました。重なる信州の山、木々の青さや花かもしれません。

 わたしは自分のなかの風景を、勝手にこの作品の上に載せていました。自分の心象風景をぐっと掴まれていることを感じました。それから、私はこの作品に人々のかたちを見ているのかもしれないと思いました。様々な形があって、様々な見え方があって、様々なその人の色があって、私が見えたものもすべて私の中の妄想でしかありません。ほんとうに興味深く、素敵な作品です。(K.M)

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