[工芸の五月]宇賀神拓也写真展「JOMON・SPIRAL」

松本の「工芸の五月」がはじまりました。たくさんの展示やイベントの重なる1ヶ月です。まずはグレイン・ノートに宇賀神拓也写真展「JOMON・SPIRAL」を見に行きました。
宇賀神さんは松本に隣接する朝日村在住の写真家で、展示は同村で発掘された縄文土器の文様をさまざまな角度・照明で接写した約20点の写真で構成されています。筋を描き、捻じれ、巻きつく線の表情はどれもとても豊かで、とくに造形に立体感が生じる土器の取っ手のあたりは、まるで人物の顔立ちのように “個性的”。出土品の細部に宿る縄文の創造力を、宇賀神さんの視点と技術が見事にすくいあげています。
一部の作品は床に水平に展示されていて、まるで発掘の現場に立ち会うかのようです。発掘は地層をぬって過去の痕跡を顕にする作業。創るのではなく、見いだし、とどめる活動。そう思うと、宇賀神さんの手がけるフィルム写真も光の痕跡を像として発現・定着させる実践であり、一義的な創作というよりもていねいなプロセスに支えられている点で発掘的です。JOMONは写真によって“再発掘”されていると言ってもよいかもしれません。
縄文の魅力とともに、写真というメディアの存在感にもふれられる貴重な機会です。5月8日まで。(T.K)

展示風景@グレイン・ノート

https://matsumoto-crafts-month.com/events/list/446/


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