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第一回 アンバサダーが語る! 〜『シン・ニホン』アンバサダー養成講座とは〜


「シン・ニホン公式アンバサダー」とは、『シン・ニホン』という本を読者が読者に広げていく、という新しい試みです。応募された方は、全7回のアンバサダー養成講座を受講したのち、正式にアンバサダーに就任します。今回は、アンバサダーとして実際に読書会を開いた2人のメンバーが、アンバサダー養成講座と読書会について振り返ります。

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ー『シン・ニホン』公式アンバサダー養成講座とは何か?

稲葉 佳奈(以下「佳奈」) もともと、「シン・ニホン公式アンバサダー養成講座」というのは、2020年4月にNewsPicksパブリッシングさん主管で始まった企画でした。これは、『シン・ニホン』編集プロデューサーの岩佐さん(岩佐文夫氏)と、編集長の井上さん(井上慎平氏)が始めた活動で、「読者が読者に広げる」というコンセプトのもと、養成講座を受けた人が『シン・ニホン』の読書会を開催することで、この本を広げていこうとするものです。第二期までは、編集のお二方が中心となって運営をされていたんですが、第三期からは、アンバサダーがアンバサダーに教えるという、より自走的なスタイルとなりました。もともと目指していた「アンバサダーが未来のアンバサダーを育て、読書会を通じて読者が読者に本を届ける」土壌ができたので、より自発的に行動できるようにするため、NewsPicksパブリッシングさんから独立したコミュニティも発足されました。第四期以降の講座は、アンバサダーズコミュニティが運営母体となります。

伊勢 菜砂(以下「なずな」) アンバサダーズコミュニティは、第一期から第三期まであわせて51名が所属しています(2021年1月現在)。ちょうど、第四期養成講座の募集も始まっているので、その方たちが養成講座を終了したら、また人数が増えますね。今までにないタイプの組織だと思いますし、どこまで拡大していけるのかな、というのも楽しみです。一冊の本でこれだけのコミュニティができるってすごいことですよね。しかも、誰か特定の人が、「やろう!」とリーダーシップをとってやったわけではなく、自然とそうなっていった感じがあります。

佳奈 自分たちで勝手に走り出した組織とはいえ、アナウンス後に著者の安宅さんにお知らせしてなかったことに気づいたときは青くなったけどね(笑)その節は本当に申し訳ありませんでした…。


ー『シン・ニホン』アンバサダー養成講座に応募したきっかけは?

なずな この養成講座って、毎週あるし結構大変そうだし、応募するのにハードルがあったと思うんですよ。それでも応募するっていうのは、何か『シン・ニホン』という本に感じるものがあったからじゃないかと思うんですが、佳奈さんはどうしてアンバサダー養成講座に応募したんですか?

佳奈 私は『シン・ニホン』という本自体に強く惹かれて応募しました。私は子供を生むまで、あんまり長期的な視点で物事を考えられてなかったんです。でも、子供を育てているうちに、ふと、「この子が20歳になるときの社会ってどうなってるんだろう」と考えたときがあって。「20年後の社会がめちゃくちゃ不幸な社会だったら、この子の能力がいくら高かったとしても、不幸になってしまうかもしれないのか」と。その瞬間に、今大人である私達は、この子達が大人になったときの社会、この子達が生きるための未来を作らなきゃいけないんだ、ということに気づいて、なんだかものすごいショックを受けまして(笑)そんなモヤモヤを抱えていたときに、『シン・ニホン』に出会ったんです。そこには私が漠然と感じていた未来への不安や、それに対する考え方や解決策が、ファクトベースで、しかもものすごい熱量で書かれていて…。まさにこれだ!ここに指針があったぞ!と、思いっきりハマりました(笑)

あと、私が第1期生として応募したのは2020年の4月くらいだったんですが、その頃私は夫の駐在でアメリカにいて、ちょうど1歳になる息子を育児しているという状況だったんです。当時の日本も緊急事態宣言とかで結構大変だったと思うんだけど、私が住んでいた州もロックダウンされていて、ほとんど外出できなくて。社会と隔絶されながら異国で育児をしている中で、人とコミュニケーションがとれなさすぎて寂しかったっていうのもありました(笑)

なずな 私も確かにそれ、ちょっとありました(笑)人と話す機会を求めていたのかも。

佳奈 誰かと何かについて頭を使ってみっちり話す、という機会が欲しかったんだよね(笑)そういう意味では、毎週講座があるのはすごく楽しみだったし、充実していました。なずなさんは、どうして応募したんですか?

なずな 私は、もともと、自分が何をしたいか、何が好きなのかわからなくて、ただ流れる時間に身を任せていてチャレンジしていないっていう状態に嫌気がさしていて。それって何でかな、って考えたときに、自分自身、やりたいとか好きだって感じることが少ないのは、自分が、何を感じて何を思ったかをあんまり大切にできていないせいからじゃないかって思ったんです。高校生になってから、学生団体に所属したんですが、その時に、そういう人って私だけじゃなくて、たくさんいるということを知ったんです。『シン・ニホン』を読んだとき、安宅さんが「その人なりの心のベクトル」という言葉を使われていて、それがすごく共鳴したんです。「その人なりの心のベクトル」があれば、自分が何をやりたいのかもわかるし、やりたいことがわかればチャレンジしようと思える。でも、なにかチャレンジしようとしても、それを塞いでしまうような環境や人が今の日本の社会には多いので自分たちだけじゃなくて社会も、もっと「チャレンジしやすい環境」にしたい、って思ったんですよね。
自分も含めた中高生みんなが、どんな小さなことでもいいから、主体的にチャレンジできるような、チャレンジにときめく社会をつくりたい。そのためのアクションの一つとして、応募しました。

ー養成講座ではどんなことをしたのか?

佳奈 これ、たぶん期ごとに違うよね。

なずな そうですね。一期はどんなかんじでしたか?

佳奈 講座の内容としては、『シン・ニホン』を一章ずつ読み深めながら、何を感じたか?なぜそう感じたのか?より深めたい問いはなにか?というのをみんなで考えていく、というスタイルでしたね。参加者が順番にファシリテーション役を担いつつ、「より良い読書会にするためにはどうすればいいか?」「良い問いとは何か?」ということも議論していました。一期は、最初だったこともあって、何も決まっていないところから手探りでやってたから、毎回やり方とかも違っていて。走りながら、一緒に作り上げていくってかんじでしたね。今思えば、結構カオスだったと思います…(笑)

なずな 二期とは真逆ですね!二期は、構成もしっかり準備されていて、お膳立てどおり進む感じでした。あまりにもうまく行き過ぎて、岩佐さんが途中で飽きて、やり方変えてたりしましたけど(笑)

佳奈 一期生の屍を乗り越えての二期なのね(笑)二期はどんなやり方だったんですか?

なずな 一章ずつ読みすすめる、というやり方は一期と同じなんですが、議論の前に担当メンバーが「問い」を準備する、ということをやっていました。この章についてどんなことを議論したいか、どんな聞き方なら議論が盛り上がるか、ということを、講座とは別の時間に予習会として取り組むんです。三期の方にも話を聞いたんですが、運営が岩佐さん・井上さんのお二人からアンバサダーに変わったということもあり、二期とはまたちょっと変化したようです。

佳奈 今までの積み重ねで、どんどん改良されているかんじがあるよね。三期の講座とか、すごくパワーアップしてて、私がもう一度受けたいくらいでした(笑)

ー養成講座にはどんな人が参加していたか?

なずな 第二期は、下は高校生から、上はシニアの方まで様々でした。男女比6:4くらいかな。

佳奈 第一期ではさすがに高校生はいなかったから、第二期は三人も高校生がいてびっくりしました!でも、一期も学生からミドルマネジメントの方まで幅広く参加されている、という印象でした。場所も、日本全国から参加されているなと。まあ、私は当時アメリカから参加だったわけですが…オンラインだと、どこからでも参加できるのってありがたいなあ、と思ってました。様々なバックグラウンドの人達が集まっているので、多様性があって面白かったです。

なずな もちろん属性でいうと多様な人達が集まっていたんですが、一方で、「未来に何か仕掛けたいと思っている」という共通点のある方々だったな、と思います。何を仕掛けるか、とか、どうやって仕掛けるか、とかは全然違うんですけど、やっぱり未来に対して何かやらなきゃって思ってる人達だなあ、と感じていました。

ー養成講座で何を得たのか?

佳奈 一番は、やっぱり縁ですね。この機会がなければ出会えなかった人達と、『シン・ニホン』というプラットフォームを通じて濃密な時間を過ごせたというのは、すごく貴重な経験でした。オンラインでもこんなに仲良くなれるんだ!というのも、一つの気づきでした。

なずな めっちゃわかります。もともと所属しているコミュニティが少ないので、『シン・ニホン』の場に参加できたのは、新鮮ですごく楽しかったです。あと、講座の中で、「いい議論とは何か?」みたいな話をずっとしてたじゃないですか。私は、「どんな言葉を投げかけたら、もっと広げられるんだろう」「どうやったら面白い言葉を引き出せるんだろう」みたいなことを考えられるようになったと思います。

佳奈 そうね。能力的なことでいうと、オンラインでのファシリテーション力も得られたものの一つです。これは正直、まだまだ鍛錬中ですけど…(笑)オンラインで読書会のようなイベントを円滑に運営するにはどうしたらいいか、とか、どうやったらその人に刺さるような質問ができるか、ということを、深く考えさせられる時間だったなと思います。

なずな あとは、もともとコミュニティの運営にも興味があったので、「どうしたらみんなの気持ちを乗せられるんだろう」みたいなことも学んでいました。例えば、誰も「自主性」っていう言葉を口に出してないのに、自主的な姿勢が求められている空気感だから、みんなが自然と積極的になっていく、とか。どうしたらこういう空気感をつくりだせるんだろう、ということも考えていましたね。

ー養成講座で印象に残っていることは?

なずな 今でもみんなが口をそろえて多分言うと思うんですが、二期の最終回で、養成講座を振り返っての1分間スピーチをしたんです。その時に、参加者の1人が、涙を流しながら養成講座を通した自分の変化について話してくださいました。その方、結構固い印象のある方だったので、涙されるような人だと思ってなかったんです。でも、最終回で涙しながらスピーチされて、他の参加者の方に「一皮剥けたよね」と言われてるの見て、私もそうかもしれないなあって感じて。なんかそれが1番印象に残ってます。

佳奈 たしかにそれはすごいインパクトだね!私は、具体的なエピソードではないんだけど、良い「問い」が投げ込まれたときの議論の広がり方が印象に残ってるかな。私達がアンバサダー養成講座で学んできたことって、良い「問い」の作り方だと思うんです。良い「問い」だと、議論に厚みや深み、広がりがでるけど、そうでない「問い」だと、質疑応答みたいなかんじで終わってしまう。読書会を運営するファシリの役割って、議論に良い「問い」を投げ込んで、参加者に全く違ったモノの見方とか気づきを得られるようにすることだと思っています。養成講座の中で、議論がちょっと停滞しかけたときに、ファシリをしていた岩佐さんが投げ込んだ「問い」が、全く違った流れを生み出して、そこから新たな意見や視野がどんどん生まれていったのを目の当たりにして。「問い」一つでこんなに議論が変わるんだ!と感動しまして。それが印象に残っています。これがいつでもできるようになりたいんですけど…まだまだ修行中ですね(笑)

ー第四期運営について、一言。

なずな 私達は第四期の運営も務めるわけですが、四期…どうやっていきましょうか(笑)

佳奈 そうね…。やっぱり、参加者の方が、良い「問い」を投げられるようにする、というのが大きな目標の一つではないでしょうか。その読書会に参加されている方によっても、その場の雰囲気によっても、刺さる「問い」って違うので、一概にこうすべき!というものはないとおもうんですけど、今回の養成講座を通じて良い問いを投げる確度をあげることができたらなあ、と思います。あとは、修了後に、自信を持って楽しく読書会を開催できるようにしたいですね。

なずな そうですね。私は、参加者の皆さん同士が違いを楽しめるような講座にできればな、と思っています。私自身、養成講座を受けて、「ファシリテーター」のイメージが結構変わったんですよ。自由な形でやってもいいんだなって(笑)そういう意味で、一期の方も二期の方も、もちろん三期の方もそうですが、それぞれに雰囲気の作り方だったり、誘いの投げ方だったり、拡散と収束の仕方だったりというやり方が違っているので、参加者の皆さんにも、そんな違いを味わって、楽しんでもらえるようにしたいなあと思っています。

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第四期シン・ニホン公式アンバサダーの募集もすでに始まっております。〆切は1月18日まで。ご応募の詳細は以下をご覧ください。


今回対談したアンバサダーの二人の読書感想文はこちらになります。


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