春が来た。子羊も生まれた。

こちらの記事は下書き保存されたまま、なんと2年も放置されていた記事です…。


今の家を買った時に、もれなくついてきたのが、猫のチリと、羊4頭でした。

「猫は人でなく、家につく」と言いますが、チリ猫もまさにそうで、初日から私達に馴染みに馴染みまくっていました。(犬がきてからは、犬が来れない2階にしか住めなくなったけど)

そして4頭の雌羊たち。元家主が2年間放置していたために、毛がボブ・マーレイ状態だった彼女らですが、10月に2頭をお肉屋さんにしめていただき、ベテランお母さん羊2頭と去年生まれた子羊1頭が残りました。

子羊といえばこちらではイースターのシンボルですが、イースターに子羊を産んでもらうからには秋に仕込まなければなりません。というわけで、お隣さんから牡羊を借りてきて、うちのマダムたちと数週間暮らしてもらったわけですが、なぜかヘニングが数頭いるオスの中で選んできたのが、顔の茶色い若造(今年生まれたばかり)。

慣れ親しんだ群れから突然離され、熟女の色香むんむんのマダム達のところへある日突然放たれた若造。当初はマダム達からは鼻にもかけてもらえず、一人孤独に芝生の片隅にいる彼をみて、ゲストハウスの改修を手伝いに来てくれていた親友まみちゃんは、「ガングロ…。ていうか(松崎)しげる?!」と、彼の名前は決定的に「しげる」と命名。

そんなしげるの頑張りの甲斐があり、マダム達のお腹はどんどん膨らんでいき、果てしなく太り続ける彼女らを心配したヘニングは、羊経験値豊富なお隣さんの奥さんに「一体どれくらい大きくなるもんなんですか?」と尋ねてみると、答えは、

「箪笥並みにデカくなるわよ。」

もともとどっしり系だった黒羊のDoritなんてもう、お産間近は、地面に垂直に立っているはずの4本の足が、なんか斜めに開いてやっと立てているような状態でした。

そして「いつかな、今日かな」と待ち続けた3月のある日、Doritがめずらしく鳴いてるなと思ったら、芝生の片隅から動こうとしません。なんとなく気にかけながらも、ゲストハウスに宿泊客が来ていたので慌ただしく時間が過ぎ、夕飯を作っている時にヘニングが「ちょっとだけ様子見てくる」と出かけたものの、しばらく経っても帰ってこないのでおかしいなとは思ったのですが、突然大興奮状態のヘニングが「産まれたーーー!!!」と帰ってきました。

Doritの様子を見に行った時はすでに子羊の頭が出てきていたようで、ヘニングは羊たちのいる放牧地から13回も私の携帯にかけていたようですが、電波が悪かったのか、私には一切コールが掛からず、そうこうしているうちにズルリと第一子誕生、まだ氷点下に近い気温だったこともあり、吹きっさらしの牧草地ではなく、羊小屋に移動させようと、産まれたての子羊を抱いて先導し、Doritを小屋に戻したヘニング。そしてまたすぐに第二子お産が始まり、今度はちょっと引っかかったまま出づらそうにしている子羊を、ヘニングは少し手伝って引っ張り出したそうで、私が駆けつけた時にはもう、感動でムツゴロウ(ヘニング)号泣。

その時に泊まりに来ていたお客さん(ヘニングの元同僚とその友達)にちなんで、その日産まれたDoritの子羊はMetteとPernilleと女の子の名前を付けたわけですが、その数日後、なんとMetteは男子だと発覚。まあ、「ある日目覚めて突然、僕は実は中身は女子なんだ!と思う可能性だってあるかもしれないし、ムン島初のLGBT羊ってことで」と、そのままMetteの名を続行することに。

Doritが無事に出産を終たその三日後には、今度はもう1頭のベテランマダム、Vittanが第一子をいつの間にか出産、よかったよかったと思って、その1時間後に戻ってみると、もう一頭産まれてるし!!Vittan(スウェーデン語で白ちゃん)にちなんで、第一子はユキちゃん(そして彼女も数日後に実は「彼」だったと発覚)、第二子は彼らの父、しげるの名付け親であるまみちゃんにちなんで、まみちゃんと決まりました。

Vittanは出産直後、お乳が詰まってしまい、腫れに腫れて大変でしたが、お隣の奥さんのヘルプのおかげで、順調にミルクが出るようになり、子羊達もすくすく育っています。

毎日、すごいスピードでどんどん大きくなっていく彼ら子羊たちですが、そのキュートさと言ったら、もう…。人間の子供と一緒で、かわいい今のうちに、しっかり目に焼き付けておこうと思います。

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