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【第7話】日プガールズ感想

先日第二回の投票が締め切られた日プ女子ことPRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS。この記事では第7話で放送されたポジションバトル全6組の感想を書いていく。

※前回記事はこちら

美人

いや、控えめに言ってもここだけ圧倒的に別次元で、個人的には過去作と比較しても日プ史上最高のポジ評パフォーマンスだと思った。その理由は、全員が己自身にしか出せない色を魅せられた点にあると私は思う。

その最たる例が村上璃杏だ。彼女の成長を語る上で外せないのが「美人」の本家でもあるスペシャルトレーナー、ちゃんみなのレッスンだ。彼女はラップ初心者の村上に対し、1週間で上手くなるのは難しいと現実を突き付けながらも、自分のキャラクターを立てるようアドバイスした。その時の「(村上は)猫っぽい、姫っぽい感じする」という一言が、あの神フレーズを生み出した。

そろそろ気になる頃じゃない?
生まれ持ったこの猫face
一目置かれる存在困った
まぁりんりん「姫だし」

美人 / ウチら ver.

イケイケな他二人のメンバーに寄せることなく、マイペースな姫キャラを貫く姿勢こそが村上の矜持だろう。ボツにはなったが「朝起きたらマジハワイ~」のフレーズも個人的にはツボだった。

佐々木つくしは曲のカラーに合わせて前髪を切って登場。そこには「美人」への意気込みが表れていたし何より似合っていた。ラップの内容はダンサー扱いされることへのフラストレーション。その中にも彼女の持ち味である強気な態度が見えていて、特に好きなのがこのフレーズ。

学んだ夢99% 何でもできちゃう I'm a Queen
ワタシを邪魔する言葉のMONSTER
今すぐここからバイバーイ

美人 / ウチら ver.

そして真価を発揮したのが清水恵子だ。ちゃんみなとのレッスンでは「性格を勘違いされちゃうことが多い」と、彼女ならではの悩みを吐露した。「誰にも言えなかった"くるしい"」というリリックは、どんなにネタ枠と見なされても、心ない声には傷つくというメッセージを発しているように感じた。そう考えると、過去記事で清水に対して「クセ強芸人枠」という安易なラベリングをした私も同罪な気がしたのでちゃんと謝っておこう。

清水恵子さん、

本当にすみませんでした。

しかしそう言われてもタダじゃ起きないのが清水恵子だ。それに対する痺れるアンサーがこれだ。

おもろ枠?それで落ちる枠?
ぺちゃくちゃ語ってれば?その美学
私はその時間でスキルを磨く
がんばり続けた私は光る

美人 / ウチら ver.

これだけ言えば、もう清水のことをただのネタ枠と言う国プはいないだろう。渾身のラップで見事メインラッパー候補に名乗りを上げたと言っても過言ではない。

このように、全員が今の自分にできる等身大の気持ちをぶつけたパフォーマンスで、もはや順位をつける必要すらないほど全員が輝いていた。チーム内1位は清水恵子だったが、佐々木も村上も、それに準ずるパフォーマンスだったと賞賛の言葉を送りたい。

ANTIFRAGILE

本家LE SSERAFIMメンバーへの当て書き要素が強い歌詞を持つこの曲、それを第三者である練習生が消化しきれるのかと心配して見守っていたが、いざ蓋を開けてみると意外にも歌詞が練習生とマッチしていて、LE SSERAFIMのそれとは違う、peonyのANTIFRAGILEを作り上げていた。

例えば高校時代の辛い経験に裏打ちされた釼持菜乃の「陰口言うのは名前も知らないライバル」や、HKT48を辞めて日プに挑んだ水上凛巳花の「見くびらないでよキャリア」は確かに説得力があったし、藤本彩花の「忘れないでよmy toe shoes まだ何が必要」は、ガルプラで脱落した過去の経験から「まだ何が必要」の方に重きを置いた新解釈を感じた。

それ以外の面で見ると、秋山愛の言動はなかなか考えらせられた。本音では「頑張れたらいいとか、そんな綺麗事言えなくて」と個人で勝つことを意識しながらも、その気持ちを隠してチームメイトの手助けをする様は何ともいじらしい。本番でも彼女の持ち味を存分に活かしたダンスを披露していて、個人的にはここでようやく彼女の魅力を知れたという印象。後半組で投票締切までの期間が短かったことが悔やまれる。

リーダー兼センターの松下実夢の存在も忘れてはいけない。目立ちやすいパートは他のメンバーに譲ったものの、出だしやラスサビ前、そして曲の終わりといった重要な局面でしっかりインパクトを与えた。今回は練習中の分量が無く、どんな様子か見たかったのが本音だが、それでもパフォーマンスで爪痕を残せたのは大きい。

総じて全員がセンターと言ってもいい完成度で、他のダンス曲より少ない人数ながら十二分ともいえる迫力があった。ベネフィットは釼持が獲得したが、それを受けて泣いてる彼女を隠すように周りを囲んだ他4人に、チームの絆を感じるラストだった。

Shut Down

同じボーカル&ラップの「美人」が余りにも出来が良すぎたため比較するのは酷だが、彼女たちなりに頑張った方だと私は思った。

国プ内でも意見が割れる主な原因は、ステージングを巡る笠原桃奈中野心結の対立だろう。先に言っておくと、私はどちらの言い分も間違っていないという立場だ。

確かに客の視点を考えたら笠原の言う通りダンスをおざなりにするのはナンセンスだ。本家ブルピンのファンからしたら、そんなことをするだけで減点要素だろう。じゃあダンスを抑えめにしてよりラップに専念したいという中野の言い分は間違っているのかというと、そうとも限らないと私は思う。中野は練習生の中でもとりわけラップへの思い入れが強いタイプだ。そんな彼女からしたら、ダンスもやるのは逆にラップをおざなりにしているように感じただろうし、純粋にラップで勝負がしたかったという気持ちを私は受け取った。

が、そもそも論として歌とダンスがセットで売りの「Shut Down」をラップの課題曲にするのは少々無理があったと感じた。過去作のラップ部門は、純粋なラッパーの曲や番組オリジナルのトラックなど、ダンスが無くても成立する課題曲が用意されていた。今回もそうした曲だけが提示されていれば、もっと純粋なラップ対決に持ち込めただろうし、視聴者の私としてもそれが見たかったのが本音だ。

※参考

日プS2より(トラックはKEN THE先生の持ち歌で、リリックは練習生のオリジナル)

本番ではトレーナー陣からテンポの乱れを指摘されていたが、ラップもダンスもこなしながらここまで仕上げた努力は認めたい。個人単位だと技術はやはり中野が上だが、印象に残るフレーズという点では笠原に軍配が上がるのが、私の個人的意見だ。

おもかげ

個人的に聴いていて一番暖かい気持ちになれたのはこのチーム。実力だけで比較したら他のチームには劣るものの、音楽の評価ポイントはスキルだけではないということを改めて教えてくれた。

練習風景も含め一番印象に残ったのは髙畠百加。ラップ志望だったが、定員オーバーでやむを得ずこの曲に流れ着いた。その未練を断ち切ったのが、スペシャルトレーナーのちゃんみなの言葉。

「ラップ上手くなったら歌上手くなるし、歌上手くなったらラップ上手くなるから、絶対自分の成長になると思う」

現実を受け入れろという正論ではない、気持ちが上がるようなちゃんみなのアドバイスもさることながら、他にもラップ志望がいたと声をかけてくれたShut Down組の坂田琴音もファインプレーだった。そんな偶然の重なりを味方につけた髙畠の歌は、歌わされているではない、心の底から「おもかげ」という曲に向き合った歌だと私は感じた。ハスキーで尖った髙畠らしさが、このグループの良いスパイスになっていたのは間違いない。

もう1人才能を開花させたのが桜庭遥花。これまでの自身無さげな様子から一転、彼女の持ち味であるピュアな可愛さを炸裂させていた。練習では、質問しようとしたのに何故か「がんばりました!」という感想の発表になってしまったのが何とも愛らしかった。それはおそらく、どうやって質問すればいいか分からなかったせいもあるだろう。逆に言えば、何が分からないのかも分かっていない状態から、質問できるレベルにまで彼女が成長したということ。前回32位とギリギリの位置にいる彼女だが、どうか踏みとどまってほしい。

Rocketeer

初めに言っておくと、私は日プS2リアタイ勢でINIへの思い入れが強いが故にどうしてもこの曲は厳しい目で見てしまう。その上で思ったのは、決して悪くはなかったが、私の中の期待値は越えられなかった印象。なまじ前回放送の「RUN RUN」からは相当な気迫を感じたので、それに負けないパンチがほしいと感じてしまった。とはいえ、その中にも光るものは確かにあった。

まず1人目が石井蘭。本家INIの核となっているのが、これまたダンスを売りにしている木村柾哉というメンバーなのだが、彼と同じ、センターに立った時の風格と、他のメンバーを統率するカリスマ性を確かに感じた。全体を振り返っても良かった場面は大抵石井が絡んでいて、デビュー組の中心的存在として活躍する姿が容易に想像できた。

もう1人が会田凛。前回11位という結果が自信に繋がったのか、銀河をも掌握しようという曲のコンセプトを見事に消化していた。その順位はそもそも、危機に立ち向かう様が投票に繋がり手にしたもの。彼女にとってあの試練以上の怖いものなんて、この時はまだ無いはず。その経験に裏打ちされた彼女のダンスは説得力があった。特に「この手で開く新しい世界」のパートの堂々たる表情がたまらない。

First Love

個人的にボーカル部門で一番好きなのがこのチーム。平均レベルの高さは言うまでもないが、練習でも経験者が初心者を取り残すことなく、全員が同じ方向性を持って挑んだ点もより好感度を高めていた。

順位をつけるのもおこがましいほど全体のクオリティは高かったが、その中でも一際光ったのが坂口梨乃。失恋の切なさを一番よく表現できていたと個人的には思った。そもそも彼女はシグナルソングでソロパートも勝ち取った実力者。現在17位だが、そのスキルを思えばここで留まるわけにはいかないだろう。

意外性という点で評価したいのが佐々木心菜。レベル分けテストの無機質な印象がなかなか抜けない彼女だったが、ここまで歌えるとはいい意味で裏切られた。表情の堅さは相変わらず否めないものの、ただのビジュアル枠には収まらない実力を示すことができたのは大きい。

他にも「夢でも歌わされた」という努力家の阿部和や、相変わらずの安定感を見せつけた高見文寧も健闘していた。その理由は阿部の言う「まずはチームで」を念頭に練習したことが大きいだろう。和やかな雰囲気のおかげで、全員が実力以上のものを発揮できたと私は思った。

後書き

今回のポジションバトル、木村カエラが「一皮剥けた子と剥けてない子の差がすごくはっきりと出ている」と言っていたが、その通りだと思った。

※8:13から

私の目から見ても、記事内で名前を挙げた練習生は大抵それが出来ていたし、特にグループ単位だと美人組、First Love組、RUN RUN組が突出しているように思えた。もちろんここに挙げていない練習生も健闘したが、いざ比較してみると、どうしてもそこで差がついて見えた。一皮剥けた練習生は、たとえベネフィットを取れていなくても大きな印象を残していたし、きっとベネフィット以上の何かを手にしたのではと思った。実際に村上璃杏は本番後「自分にすごく自信が出たし、皆さんに新しい自分を届けられたかな」と、チーム内最下位にも関わらず手応えを感じていた。

果たしてこの差が今後どう影響するのか。本日放送の第8話では36位以下の練習生が脱落することになる。まだ一皮剥けてない練習生に次のチャンスはあるのか、あるいはポジ評でいい結果を残した練習生が報われるのか。心して結果発表の時を待ちたい。


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