身体に委ねて生きる

ずっと向き合えなかったことに向き合い始めている。
それは、意識や思考に頼りすぎず、身体から自分を知っていくこと。身体に素直にわがままに生きること。

3月頭のある朝、うがいをした時「水が変な味する」と感じるようになった。水道管のせいかと思い家族に聞いてみるも家族は誰も感じていないよう。それから、じわじわと本当にゆっくりと「味がしない」ということに気づき始めた。

チョコレートを食べるとバターを食べているかと思った時「これはおかしい」とようやく気付いた。砂糖の甘みと塩の塩っぱさが全くわからなくなっていた。でも人間はなんとも不思議で、これまで食べたことのあるものは脳で味を記憶していて、実際には味がしなくても美味しい記憶と気持ちで食事をすることができた。痛みがあるわけではないからついつい後回しにしてしまっていたけれど、食べる楽しみを失いつつあった。

少し時間が経ったある日、何を食べていなくても口の中が塩っ辛いという症状が出た。水を飲むと海水を飲んでいるかのよう。水分が取れないくらい美味しくなかった。SNSで相談したり、歯医者で相談をして血液検査をした。亜鉛のアプリを試したり、薬を飲んだり、舌を調べてもらったけれど、よくならなかった。

信頼できる方に紹介をいただき、鍼治療をすることになった。自分の身体に起きていることを頭ではなく身体で感じてわかろうとする不思議な体験だった。そして頭と身体のバランスの悪さから抜け切れていない。それをようやく感じられたという時間だった。

次の日の朝、お水が美味しかった。何度も飲んで確かめましたが変な味がしなかった。コーヒーは変わらずまずかったが、トマトの甘さとかおりがとても美味しかった。こうやって、口に入れるものを慎重に選んで行くようになるのだなと感じる。

この状況になって、大事にしていた仕事を失って時間ができて、味覚異常がやってきたおかげで、身体感覚に委ねるように生きることをほんの一歩踏み出せた感じがしている。この私の中の変化を大事にあたためて、後半の人生をわがままに自分の力を集中させて生きていきたいなと感じます。40歳になる歳。自分を知る旅が始まった。行けるところまで行ってみたい。

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