令和元年の競技タイピング入門ガイド(試し書き版)

「タイパー Advent Calendar 2019」(タイパーアドカレ)11日目の記事です。あとから空いている日付に入れたこともあり、だいぶ遅くなりました。

今年は何度か競技タイピングを新しく本格的に始めた方と会話する機会があったのですが、競技タイピングの世界には「長年やっている人からすると当たり前だけど、文字情報としてまとまっていないこと」が意外と多いように感じました。
そこで、この機会にそういう小ネタを思いつきでつらつらとまとめつつ、2019年現在わりと盛り上がっていると思われるタイピングソフトを独断と偏見でいくつか紹介しよう、と思いました。
……で、書き始めたはいいものの、あんまり時間が取れなくて、途中で力尽きました。最後に行けば行くほど雑になってますがご容赦ください。

なお、この記事で想定している読者は、「実用上は不便しない速度で(手元を見ないで)タイピングができるが、競技タイピングはまだ始めたばかり」というような人です。
それ以前に実用目的でタイピングが速くなりたい方(ブラインドタッチを覚えたい方)は、他の記事、たとえば「ブラインドタッチ練習のコツと上達方法」(パソ活さん)や、書籍『美タイピング完全マスター練習帳』などを読まれるとよいかと思います。
この記事では「どうすれば速く打てるか」という内容は一切扱いませんのでご了承ください。


◆そもそもタイパー(typer)って何?
この文章は「タイパーAdvent Calendar」の記事の一つなので、そもそも「タイパー」がわからない方が読まれるのかわからないですが、一応軽く触れておきます。

一般に職業としてタイピングを行うプロの方々を「タイピスト」と呼びますが、それに対して趣味として競技タイピングを行う人々の総称が「タイパー」である……という理解で、とりあえずはよいかと思います。

特に明確な定義があるわけではないですが、オーユーさんの「タイピングが手段じゃなくて目的になったらタイパー」(https://togetter.com/li/79078という表現は、よく使われるところです。


定義の話はこれくらいにして、2019年現在、比較的プレイ人数の多いタイピングソフトを、小ネタとともにいくつか紹介していきます。


e-typing(通称エタイ)

ダウンロード不要、ブラウザ上で手軽に打てるタイピングサイト。「タイピング腕試し」には、ローマ字入力英語入力かな入力の3つのランキングがあり、毎週レベルの高い戦いが繰り広げられています。毎週火曜日午前0時に、出題ワードとランキングがリセットされる仕様です。
後述するタイピング大会「Realforce Typing Championship」(通称RTC)の予選種目にもなっています。

・「初速」(ワードを打ち始める速度)や、ミスの少なさが比較的重要。
・スコアは「WPM(1分間の打鍵数)」×「正確性の3乗」で計算される。
(※WPMはwords per minuteの略。直訳すると一分あたりの「ワード数」だが、e-typingでは1分あたりの「打鍵数」を表す。一般的にはKPM=keys per minuteで表されることが多い)
・比較的長いワードの方がスコアが伸びやすいとされる。特に速度が出しやすいワードの一つとして名前が上がるのが「元気ワード」
 毎年、1月第1週、4月第1週、6月第1週、9月第1週に開催される。
(※ただし6月の元気ワードは本州の梅雨入りの時期次第で「梅雨ワード」が先に入り、6月第2週になる年もある)
・季節関連ワードは出題週が決まっていますが、それ以外はランダム。
 また、毎年少しずつ変更があるため、上記も変更になることがある。
・やださん作成のChrome用拡張機能「e-typing plus」を導入すると、結果画面に各ワードごとの速度や初速などの情報が追加されるのでおすすめ。
・数字キーを押して開始すると、隠し機能のミス制限モードが適用される。「なぜか途中で強制的に終わってしまう」という現象が起きたときは、意図せず数字キーを押してしまった可能性を疑ってみましょう。

(e-typingの記述に時間を割きすぎてバテてきた……)


タイプウェル

Windowsで動作するタイピング練習ソフトです。ランキングは、日本でもっともレベルが高いと言っても過言ではないでしょう。
ローマ字入力の「国語R」、かな入力の「国語K」「英単語」や、記号などのランダムな文字列を打つ「オリジナル」があるほか、憲法の全文がローマ字入力・かな入力・英語入力で打てる「タイプウェル憲法」、変換ありの実用入力が練習できる「タイピングFT」など、多彩なソフトがあります。
オフ会などでは、タイプウェルのランクや後述のWeather Typingのレベルが、その人の実力を図る一つのバロメーターとなっています。

およそ20年にわたり、管理人さんが毎週手動でランキングを更新されてきましたが、2019年6月1日、惜しまれつつ更新が終了しました。
現在は記録を更新してもランキングに反映されることはありませんが、Twitterなどでは今でも記録更新の画像が貼られることが多く、今後も根強く使われるソフトになることでしょう。

なお「当サイトの閉鎖は来年の春を予定しています」とのことなので、もしかすると近々ダウンロードできなくなってしまうかもしれません。タイプウェル本体のダウンロードや、ランキングのオフライン保存等は、念のためお早めに。

・結果画面の詳細な情報が特徴的なソフト。
・ミスのペナルティはないので、とにかく速く打ち切ることが大切。
・結果画面のグラフがガタガタになるときは、PCを再起動すると直る(詳しくは2016.5.11の「管理人メモ」を参照)。


Weather Typing

オンライン・オフラインともに、タイピングで対戦するとなれば真っ先に名前が上がるソフトです。
通常版とRTC版があり、RTC版は「Realforce Typing Championship」決勝の対戦ソフトにもなっています。

・公式ワード1~4が収録されていますが、多くのタイパーが一番やりこんでいるのが公式ワード1(word1)で、ガチ対戦時にはよく使われる。
公式ワード4は、基本的にはワード1~3をまとめたもの。イベントなどで比較的多く使われる。
・通常版には約0.4秒間入力を受け付けない時間があるため、「初速」の影響は比較的少ないソフト。さらに、一文字目を打ち始めるまでは速度は計測されないので、特にシングルプレイでは初速はまったく不要。

・RTC版は少し特殊なルールで勝敗が決まる仕様で、正確性95%を切っていると敗北になる。ただし両者とも95%以下の時は通常の勝敗と同様。
・RTC版は入力不可時間がないので、表示されてすぐ打つことができる。

・LINE用オープンチャットにて、「対戦待ち合わせ用チャット」を作成しておりますので、対戦相手を探している方はぜひご参加ください。


TypeRacer

海外の英文タイピングサイトで、ブラウザ上で対戦ができます。
日本国内の多くのタイピングソフトと異なり、ミスした文字列はBackSpaceで修正が必要です。

トップ層はものすごくハイレベルですが、だいたい同レベル帯でマッチングされる仕様になっています。
また、mayoさん主催のTypeRacer英語対戦会が、毎月第二日曜日の20:30から開催されています。幅広いレベル帯の方々が参加される対戦会なので、初めての方も気軽に参加されるとよいと思います。
開催日時は毎回Twitterにて告知されています

他に海外でよく使われているタイピングサイトには10FastFingersがあり、こちらは一人プレイでひたすら単語を打つモードがメインになります。
タイプウェルと少し似ていますが、ミスに修正が必要な点はTypeRacerと同様。どちらのタイピングサイトも、英語だけでなく様々な言語に対応しています。

なお、これらのサイトにおけるWPM(words per minute)は「1分間あたりの単語数」を指していますが、厳密に単語数を数えているわけではなく、5打鍵=1単語として計算されています。
つまり単純に言えば、WPMを5倍した数字が1分間あたりの打鍵数(KPM)になるということです。


ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド

SEGAから発売されたタイピングゲーム。2000年にアーケード版が稼働し、競技タイピング界隈が盛り上がるきっかけになったゲームです。

現在でも、都心を中心にゲームセンターで稼働が確認されており、たびたび対戦オフ会が開かれます。たとえば都内では、池袋にある「池袋ゲーセンミカド」にあります。

Typing Tube

Youtubeにある動画の歌詞に合わせてタイピングするゲーム。ブラウザ上でプレイできます。低難易度から超高難易度まで、様々な曲が揃っており、曲ごとにランキングもあります。


Type Lighter

Windows用のタイピング練習ソフト。
上述のe-typingやタイプウェルのワードなど収録されており、ワードごとに練習したり、特に練習したいワードだけを抽出して練習したりすることが可能です。


歌謡タイピング劇場

ハンゲームが運営している、歌詞を入力するオンラインタイピングゲーム。
「Realforce Typing Championship」で三連覇の偉業を成し遂げているmiriさんをはじめ、多くの超高速タイパーを輩出しています。
一人用だけでなく、複数人で協力プレイすることも可能です。


バトタイ

ブラウザ上でオンライン対戦ができるダウンロード不要なタイピングゲーム。CPU対戦もあるので、一人でも遊べます。


ニコ生タイピング(ニコタイ)

ニコニコ生放送のコメント欄を用いて、リアルタイムでタイピングを競うツールです。変換も必要な点が、他の歌詞タイピングソフトと異なる特徴です。
定期的に大会を開催しているしろさんを始め、現在でも複数の方が生放送をしています。


タイピング速度測定(タイ速)

ブラウザで気軽にプレイできるタイピングゲーム。
開発者のHealer.Oさんが、今年のタイパーアドカレ7日目に記事を書かれておりますので、まだ未読の方はぜひそちらもどうぞ。
タイピングゲームのうらがわ


<主な競技タイピング関連のイベントまとめ>

最後に、タイピング関連の定期的に開催されているイベントをいくつか紹介して終わりたいと思います。

インテルステノオンライン大会(例年4~5月頃)
インテルステノオンライン大会(Intersteno Internet Contests)とは、インテルステノ(国際情報処理連盟)が毎年開催しているオンライン大会です。
10分間のタイピング速度を競う、ミス修正が必要な競技で、「母国語部門」のほかに、16言語の合計の記録を競う「多言語部門」が存在しています(多言語部門は現在日本人が4連覇中)。詳細は「多言語タイピングWiki」に情報をまとめていますので、そちらをご確認ください。

毎年、3月頃に申し込みがあり、4月~5月の期間に本番を実施する形式です。告知などは隅野さんのTwitterからなされると思いますので、そちらをフォロー、ご確認ください。


◆タイピングサミット
(例年9~10月頃の三連休、2020年は11月開催予定)
毎年秋に東京で開催される、タイパーが集うイベント。3日間の開催で、希望者は宿泊も込みでとことんオフ会を満喫できます。
タイピングのガチ対戦はもちろん、ボードゲームで遊んだり、タイピングの議論で盛り上がったり、人によっては居酒屋やカラオケで交流を深めたり、楽しみ方は色々です。
開催日や申込みの情報は、タイピングサミットのTwitterアカウントから情報発信されると思いますので、参加を検討されている方はぜひそちらをフォローしてみてください。


Realforce Typing Championship(通称RTC、毎年11月~12月頃開催)
キーボードのREALFORCEシリーズを制作している東プレ株式会社が主催する、タイピング日本一を決める大会です。
2019年大会の配信動画や、2018年大会のダイジェスト動画を見ていただければだいたい雰囲気は伝わるかと思います。

Warriors of Typing
数ヶ月に一回開催される、Weather Typingのオンライン大会。幅広い実力の参加者が楽しめるように、ルールが工夫されています。
次回開催の情報などは、「Warriors of Typing」運営のTwitterアカウントなどでご確認ください。


また気が向いたときにちょっとずつ書き直したりするかもしれませんが、ひとまずこれで終わりにしたいと思います。
お読みくださりありがとうございました。

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