3.Stop Dragging Your Toes!

前回の続きです。データを収集し、そのまま選手に当てはめようとしても様々な制約が存在する、という話でした。

マガジン形式でまとめてるので他の章と合わせて読んでもらえると嬉しいです。では本編です。


THE TASK
まず、タスクを考えてみましょう。

スプリントのスタートには、2つの基本的なバイオメカニクスの要件があります。

1.体を支えるために地面に十分な力を加える事。
2.地面反力が身体を前方に推進するように後方に力を加える事(Clark & Weyand, 2015)
最近の研究では、ニュートンの法則に従って、体重に対してより多くの水平力をかけるスプリンターが最大の初期加速度を得ることが実証されています(Rabita et al. )しかし、その後のステップを成功させるためには、ブロックからの望ましい投射角を達成するために、垂直方向の力と水平方向の力の最適なバランスが必要となります。重力は常に中心質量に対して下向きに引っ張られているため、次の接地に備えて手足が正しく再配置するための適切なスペースと時間を確保するために、スプリンターは水平方向と上方向の両方へ自身を投射する必要があります。
ブロッククリア後の初期段階では,スプリンターが徐々に直立状態になるにつれて,接地時間は徐々に短くなり,飛行時間は徐々に長くなります。足が地面に接触していないと力を加えることができないので、身体は接地段階でしか加速できません。したがって,最初の加速の間の飛行時間は次の接地の前に手足が適切に再配置されるのに十分な長さでなければなりませんが,空中での余分な時間は必要ありません。接地の段階では、スプリンターは短い接地時間の中で十分な垂直支持力と最大の水平推進力をかけることが課題となります。
このことを念頭に置いて、初期加速の機械的な目標は以下の通りです。

1.接地の前に、体の前の手足を地面に向かって下降させて後退させる。
2.初期接地は、質量中心の下(または後ろ)で発生する。
3.接地時には、立脚部の強制的な伸展とスイングレッグの強制的な屈曲を行う。
4.離地時には、次の接地に備えて手足を再配置するために十分な垂直方向の変位と最大の水平方向の変位を可能にする投射角度にする。

続く

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