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ズームペガサス39 フライイーズ

初めて商品画像見た時から買うと決めたモデル、それがズームペガサス39フライイーズです。

フライイーズとは障がいの有無などに関わらず、シューズのスムーズな着脱を可能にさせるというのがコンセプトにあるようです。

※踏むだけで履ける

とはいえ競技シーンで使うなら足当たりの良さやホールド感など日常生活とは異なるレベルで要求する必要があります。

そんな中毎年の如く新しいペガサスシリーズの販売告知を見た時に『これは!』となったわけです。

何が刺さったのか?紐の方が良くない?という人達にベルト過激派の立場から推していきたいと思います。

帰ってきた足首のベルト

私がスパイクシューズなどで昨今憂いているのは『足首のベルトの喪失』です。かつては国内メーカーの製造するスパイクには必須レベルで足首のベルトが着いていました。

※足首内側から外側へ向けて上から押さえ込む

国内メーカーから外資メーカーへの移籍が増えた当初も、このベルトを別注でつける人も居たほど足首のベルトの存在は大きいです。

※誰のスパイクか?通常モデルはベルトなし

某社は契約するトップ選手が必ず採用している足首のベルトを通常モデルから無くす判断をしました。

とはいえ足首のベルトは日本では好まれていた傾向がある一方で海外ではあまり好まれてもいないと聞きます。特にベルトは向きの調整も難しいようで、工場が変わった後に同じメーカー、モデルなのにベルトのフィッティングが悪くなった時は驚きました。質を保つために経営としての判断だったのかもしれません。

好みを分ける要因の一つに踵の骨の大きさがあるとも言われています。踵の骨が小さいと靴の中で踵が動きやすく、しっかり固定するには別途押さえつける必要があったのかもしれませんね。逆に踵の骨が大きければ、現状のヒールカップとアンクルパットで問題なくフィットしていたのかもしれません。

しかしフィットしないとどうなるか。簡単に言うと踵が抜けます。

※抜ける瞬間。これが嫌。

人により様々かと思いますが、私は踵のホールドが甘い靴を履くと上記の写真のように離地直前の指先で支持する瞬間に踵と靴が離れます。

これでは靴の反発を受け取れない、アキレス腱周りの過緊張が起こるといった感覚からこの現象が起きない靴を選ぶのが私の靴選びのポイントでした。

長くなりましたが、踵を上から押さえ込むのが足首のベルトの強みなんです。

※上から押さえ込む事で踵の浮きを抑える

ベルトは怖くない

ベルトを語ると反対派の方はだいたい言ってきます。『ベルトの圧が痛い!』『ブレる感じがする!』
私はベルトを締め付けすぎ、そもそもサイズが合ってんのかと買い文句を言いたくなってしまいますが、気になる点でもあるのは事実。

※ベルトの内側のシュータンは厚め

ベルトは多数のシューホールで負荷を分散させる紐と違い、必要最小限であるゆえに圧が強い=ホールド感が強い傾向があります。ここは好き嫌いかもしれませんが…その上で足当たりが悪くならないよう強い圧をかける足の甲部分は厚いパットが当てられています。

※厚いパットの下に折り畳める薄めのパット

さらに連動して薄い折り畳みのパットも付いていて足の形に応じて変形してくれます。足の形に合う、クッションパットがあるだけでベルト反対派の人も掌を返してる頃だと思います。

立て続けに良いとこ攻めていきましょう。

ベルトにしかできないフィット

シューレースは細かな調整ができると言われおり事実でもありますが、シューレースではできないフィッティングがあります。それは巻き付くような足当たりです。

※ベルトの起始と停止。外内外のルート

テーピングの巻き方に『フィギュアエイト』『ヒールロック』という足関節と踵の安定性を上げる手法があるのですが、どちらも足を上下左右から固定します。

こちらのベルトもソールからフライワイヤーというケーブルパーツを利用して足裏から引き上げるようにして足と靴をフィットさせられます。

内側
起始。足にケーブルが触れないように硬質なパーツで保護している

ここまではシューレースでもできるのですが〆の止めに関して、下から上に引き上げられても上から下への圧は紐だけでは生み出せないのです。

上から下への圧はアンクルパットで代用したりしますが、最近流行りの開放型の足首周りでは期待できません。

※開放型のヒールはアキレス腱には当たらないが、踵が浮きやすくなり足底の緊張を通じてアキレス腱にダメージを与える。踵が抜けるか抜けないが好みの境目

そこで先述した上から押さえ込むベルトが活きてきます。

※内から外にかけて上から下への圧を作る
※ベルトの構造をチューブで再現

中足部を中心にベルトのルートが敷かれていますが、小指球側にまでベルトの起始のワイヤーが通っているので前足部がズレる感覚は感じません。

先ほども話した通り昨今ベルト構造は廃れつつあります。本当に効果があるのか?テープ部分がダサくないか?着圧が強くないか?などなど…オールインな靴などないからこそ、良し悪しもまた人によって変わります。

現状ベルトのフィット感を好む人はマイナーでしょう。マイナーな立場ゆえ、好んだ物に会える確率は低いです。

ベルトのウィンドスプリントが無くなった今、ベルト構造が好きな人は是非お試しいただければと思います。ソール周りは共通なので最後にちょろっと触れておきます。
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ソール周りについて

ここからは通常紐バージョンと共通のソール周りについてです。

構造はリアクトと前後分割式のズームエア。
ナイキの名作シューズはだいたいエアがフルレングスか前後分割タイプ。

ステップスポーツ楽天市場より掲載。

形状も踵側はよくある形ですが、爪先側は拇指球エリアだけになり指先の安定感は出たように思います。柔らかめの調整なのか、エアがどこに入ってるかは強く踏み込むと実感できると思います。踏み込む場所にクッションを感じる事をどう思うか、ここは好みが出そうですね。

踵側は程よい硬さに調整されて安定感があります。爪先側も同じならと思いつつ、それだとイージーランニングにしては硬過ぎるのかなとも思います。移動用や指導用の立って動き回る人に向けても良い塩梅と思います。

そうした調整もあり、スローペースやジャンプトレーニングなど接地時間が長めの動作だと丁度良いクッショニング。短く強くなってくると爪先のエアの柔らかさが気になってくるかな?というところ。

そもそもスピードを出すシューズではなく、シーズン中ならスパイクにもなるかと思うので尚更フライイーズ版の着脱のしやすさは噛み合っていると思いますね。

前足部の強いカーブもなく、違和感なく履ける作り。厚みはクッショニング・スタビリティシューズのカテゴリーに入るに申し分ない程度。重さは重くはないが軽くはない、上記のカテゴリーのシューズという感じです。

アウトソール

アウトソールは比較的広い接地面積があります。グリップも耐久性もあるので優秀です。というか最近のアウトソールはどこもレベルが高くなってきている気がします。ありがたいですね。

厚みがあって広いアウトソールでありつつも、屈曲しやすく溝も多いので非常に使いやすいです。オールインワンはないと冒頭でも言った気がしますが、スピードを出す以外においてはかなり網羅できるシューズです。

驚くような新たな何かが詰まってるわけではないですが、このカテゴリーのシューズに期待してるものがしっかり詰まってる。そんな印象です。

ざっくりと色々使いやすいシューズ、そうしたものが希望なら当てはまる気がします。尚且つベルトで着脱の良さやホールド感を求めるならフライイーズ版が良いといったところでしょうか。

好きなものは売れないと淘汰されていくと、嫌というほど見てきたのでベルトタイプもそれなりに売れて時々販売されていって欲しいものですね。
ちなみにナイキIDでも作れます。カラーバリーエションが物足りない方はそちらで。

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