2022年ダイヤモンドリーグファイナルを見よう①
いよいよダイヤモンドリーグファイナルの時期となってきました。ここはいわば『今年の旬』というべき選手達が集まる場所です。
ツアーを追っかけて見てきた人には馴染み深い顔ぶれではありますが振り返りながら選手紹介したいと思います。今回は男子100m!
ツアーの全ては⬇︎にあります!要チェック!
1.Yupun ABEYKOON
今年スリランカのNRを9秒台に乗せ、勢いに乗るyupun。今季はオスロ大会から参戦。
今振り返るとサニブラウンくん🇯🇵ロハン🇦🇺といったサブ10レベルの選手に先着していたので9秒台も狙える力は既に示していたのかもしれませんね。
次戦はストックホルム大会。
シンビネ🇿🇦、プレスコット🇬🇧、ビコー🇫🇷に続いての4位と世界大会ファイナリスト達と真っ向に戦えています。記録こそ全体的に低調でしたが選手間の差において、ユポンと彼らの距離が迫ってきたように思わせる展開でした。
そしてユポンはついに9秒台の世界に入ります。
コモンズウェルスゲームズでもオムニヤラ🇰🇪シンビネ🇿🇦と接戦を演じています。
充実のシーズンの集大成が楽しみです。
同じアジア圏の選手としても応援したいですね!
2.Yohan BLAKE
言わずもがな2011年の世界王者。ダイヤモンドリーグ最終戦を2011(200m).2012(100m)と勝ち取ったキャリアもあります。かれこれ10年近く世界のトップで走り続けています。
今季のダイヤモンドリーグ初戦はバーミンガム。
振り返ればオレゴン世界陸上で2種目決勝進出するブラウン🇨🇦(のちに記載)に破れはするもののキッチリ2着を確保。シーズンインのレースが向かい風ばかりで10秒中盤のレースが幾つかありながらも、共に走れば実力を示す事を感じさせたレースでした。
続いてはシレジア大会。こちらではオレゴンのファイナリスト5人が混ざるハイレベルなレースでしたが、5位に食い込みます。
ユポンと比較して、決して絶好調と言えるシーズンではない中でプロとしてシーズンを全うして戦う姿はタフとは何かを考えさせられます。
3.Trayvon BROMELL
ジュニア初の9秒台をマークしたブロメル。学生として参加した2015年の北京大会では銅メダル、プロ転向して迎えた翌年のリオ五輪では見事ファイナリストになり順調に見えたものの怪我から不本意なシーズンが続いてしまいます。
しかし昨年遂にカムバックしPBも更新して、勢いそのまま今年もハイアベレージのパフォーマンスを見せています。
ダイヤモンドリーグ初戦はバーミンガム、しかしまさかのフライングスタートによる失格。
実質的に世界陸上前のユージーン大会が初戦になりましたが、ここで昨年DL覇者のカーリー🇺🇸を破って優勝。
全米選手権、世界選手権と3位が続き悔しいレースが続きますがシレジア大会では上記の2大会で共に敗れたブレイシー🇺🇸にリベンジ。
速さもあり強さもある素晴らしい選手である一方で、どことなくムラっ気も感じられ予想を難しくさせる選手でもあります。
とはいえ現状本命一番手である事は間違いないでしょう。勝ちを確信した時はフィニッシュポーズも飛び出します。果たして出るのか出ないのか、どんなポーズをするのか。それにも期待ですね。
※個人的に好きなポージング。気持ち良くなってるな!
4.Aaron BROWN
オレゴン世界陸上では唯一100.200の両種目でファイナリストになったブラウン🇨🇦
好調の兆しはダイヤモンドリーグ初戦での勝利から始まっていたのかもしれません。
100mは実はこの1レースのみであり、後は200mにて出場しています。
200mではドーハとモナコとブリュッセルに出場し、5位・5位・3位。ドーハとモナコは今季無敗のライルズ(のちに紹介)、ブリュッセルにはナイトンと200mは今最もレベルが高いスプリント種目でもあります。その中で安定して結果を残しています。
特に100mは風に恵まれないケースが多く、良い条件に恵まれればPBも狙えるように思えます。
1時間刻みのダイヤモンドリーグで100.200の2種目に出るのはダグラス🇨🇦とブラウン🇨🇦のカナダ勢のみ。
これまたプロとしてのダイヤモンドリーグの戦い方の一つかもしれませんね。
5.Andre DE GRASSE
ダグラスの2019までについてはこちら⬇︎
その後東京五輪で念願の初優勝。泣いた。
しかし今年は五輪の疲労を感じさせる『しんどそう』なシーズン。
とはいえ『しんどい』と見えたダイヤモンドリーグにはドーハとバーミンガムとユージーンと1週間おきの3連戦。
まずアメリカからドーハで約20時間のフライト、時差は7時間進みます。
そしてドーハからバーミンガムへ約9時間のフライトで移動。時差は2時間戻ります。
更にバーミンガムからユージーンへ約12時間のフライト、時差は8時間戻ります。
世界を股にかけるとはまさにこの事。
そしてラバトとローマをスルーして、続いてはオスロとパリを中1日で出場。オスロとパリは約1600km、フライトなら約2時間。時差は無し。これまでに比べたらイージー?
オスロではしっかり優勝。寒空の条件で今季好調だったシンビネ🇿🇦やプレスコット🇬🇧を破り、さすがのレースを見せました。
そしてパリに移動しての200m、こちらは4位でしたがPBのアダムス🇿🇦、オガンド🇩🇴が目立ったレースでした。
調子が良いのか悪いのか読みにくいまま世界選手権に突入し、やはり悪いのか…と思わせたら4×100mRでは快走を見せて優勝を勝ち取りスターとは何かを見せつけてきました。
そしてダイヤモンドリーグ最終戦も前述のブラウン🇨🇦と共に今年も100.200のハードスケジュールに挑戦します。
今年のアベレージで言えば本命ではないですが、本命に勝ちうる『何か』を持ち合わせているのも事実。恐怖の大穴として注目ですね。
6.Kyree KING
名前をご存知でない方も多いかもしれません。これはアメリカスプリントあるある、『個人の能力は高いのにアメリカの層が厚すぎて中々代表になれない』選手の1人です。2017年のロンドン大会は勝ち取ったものの、PBを更新したにも関わらず2021.2022年は落選となっています。
PBは9.96に20.00とオレゴン大会に出ていればファイナリストになれるかもしれない記録を持ちつつも、9.8がカットラインの100mに19.8がカットラインの200mとアメリカの圧倒的な層の厚さに弾かれてしまいました。まぁこの2種目は本戦で1.2.3キメてたので選ばれたらメダリスト級と言えるかもしれませんね…
とはいえ国の人数縛りのないダイヤモンドリーグをはじめとするGPで活躍しています。
確認できるもので100mは9大会19レース、200mは9大会12レースに出場しています。
昨年今年とPBに並ぶ記録も多く出しており、更なる飛躍が見れるかもしれません。
7.Reece PRESCOD
シーズン前半については⬇︎
今季序盤に向かい風でPBを出し一部界隈を賑わせたプレスコット。ダイヤモンドリーグにはバーミンガムとオスロとストックホルムに出場。オスロ、ストックホルムでは2位に食い込んでいます。
残念ながらどちらも良い気象条件ではなく記録には恵まれませんでしたが、ファイナリストの常連シンビネ🇿🇦(後に紹介)に1勝1敗と能力を示しています。
世界選手権、ヨーロッパ選手権と悔しい結果が続いてしまったので巻き返しを狙いたいところ。
8.Akani SIMBINE
シーズン前半については⬇︎
ファイナリストの常連シンビネ🇿🇦。彼も同じくベテランのブレイク🇯🇲と同様に決して好調のシーズンを送っているわけではありません。今季公認で9秒台をマークしたのは19レース中1度のみ。しかしその1回を世界選手権の準決勝に持ってきて、しっかり今年もファイナリスト。強さとは何かを見せつけてくれました。
ダイヤモンドリーグにはオスロ、ストックホルム、シレジアに出場。
オスロでは3位、ストックホルムでは優勝しています。
今年は10.0〜10.1台のレースが多いですが、前述の世界選手権での9秒台に、優勝したストックホルムでは10.02 -0.5mと勝負どころでハイパフォーマンスを残しています。
果たしてダイヤモンドリーグ最終戦は勝負どころとなるのか。
総括
8名全て紹介しましたが、やはりブロメル🇺🇸が頭2つは抜けている気がします。ムラを感じるとは言っても今季は失格したレース以外では全て3位以内、1着は驚異の8/12レース約66%。調子が下ぶれしたとして、彼に勝つのは容易ではないでしょう。そして彼に勝ったのはカーリー🇺🇸ブレイシー🇺🇸と世界選手権の金銀メダリストの相手しかいません。その相手がいない以上かなりの確率で勝つ事が予想されます。
対抗というより可能性として大穴でダグラス🇨🇦を挙げたいところです。今季のアベレージで考えれば難しいところですが、『ブロメルに対抗するスピードが出せるか否か?』の点で可能性があるのは彼になるんじゃないかと…
個人的にはブロメル🇺🇸、ブラウン🇨🇦、ユポン🇱🇰、カイリー🇺🇸が注目かなと思います。単純に調子の良さを示しているので良いパフォーマンスが見られるんじゃないかと期待しています。
日本時間では9/9の深夜1時ごろでしょうか。楽しみに待ちましょう!
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