『老いゆけよ、我とともに』(1)わが人生の頌歌“序にかえて”

『老いゆけよ、我とともに』
 (1)わが人生の頌歌“序にかえて” 

#日本よ永遠なれ 🙏

#イスラエルよ永遠なれ 🙏
#エルサレムよ平安在れ 🙏

ロバート、ブラウニングは、19世紀における英国の最大詩人であります。当時の懐疑と憂鬱(ゆううつ)に閉ざされた時代思潮に抗して高らかに人生を頌歌し、神の愛を賛美してやまなかった宗教詩人であります。既成のキリスト教会を厭(いと)う心ひどく、しかし彼は生けるキリストに信じてやみませんでした。

私の愛誦するブラウニングの『ラビ、ベン、エズラ』は、英詩壇の稀有の絶品ともいうべき信仰詩で、晩年の使徒ヨハネの深遠な心境を詠った『荒野に於ける死』と共に、彼の二大傑作であります。

彼の信仰詩は、聖書的な、雄渾(ゆうこん)なヘブライ思想を基調として、不撓不屈な、前進してやまない精神を大きく鼓吹(こすい)しています。現今の惰弱なクリスチャンは、この詩に照らして猛省するを要します。彼らは聖書を新しい観点から読み直すことを要します。

本詩『ラビ、ベン、エズラ』は、紀元12世紀に著名なユダヤ思想家として知られた、ベン、エズラの思想を紹介したものです。ベン、エズラは、1090年頃、スペインに生まれ、ラビ(聖書学者)として勝れた注解書を著しているのみでなく、医師として、天文学者として、また詩人としても高名な人でした。現今でも旧約聖書学者間にベン、エズラの註解は、深い尊敬を払われているものです。

彼は、当時のキリスト教に迫害せられて、生国を逐われ、1140年ローマ市に赴(おもむ)き、その後アフリカ、パレスチナ、ペルシャ、印度と転々と漂白流浪し、のちイギリス、フランスにも旅していますが、つねにひどい貧窮と不遇にもよく堪えて、あくまで真理に熱情を傾け、また後進をはげます警世の人として、古昔のイスラエル預言者を想わしむる人でした。

ブラウニングはこのベン、エズラにいたく傾倒し、その思想を研究し、ここに晩年のベン、エズラが独白する型式で、その雄偉高邁な精神を述べたのであります。この第一連を読んだだけでも、魂を揺さぶられる想いにかられます。元来ブラウニングの詩は極めて難解でして、到底、、私如きがよく講じうるものでありません。しかし、一読、この詩情に私は共感して、已むにやまれず紹介してみたいと思います。


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