麻雀採用に遊びに行ったら思ったより収穫があった話

参加の経緯

○高校同期に誘われた

もともとネットニュースなどで麻雀採用というイベントには興味はあったが、普通の就活の予定が詰まっていてそんな半分遊びのようなイベントに時間を使っている暇はないなと思っていた。しかし就活もひと段落し、心とスケジュールに余裕ができた。そこに卒業後もずっと仲良くしている高校同期がLINEで麻雀採用のリンクを送り「だれか行かない?」と提案してきた。即断即決が最近のテーマなので20分でエントリーを済ませた。

○ぶっちゃけ遊び気分で行った

この手のイベント(GWや麻雀などの何か+合同説明会という形)にくる企業はどこでも採用にそんなにお金をかけられない中小企業や零細企業が多い。だから「企業と会える」ことに主眼をおいてはいなかった。ただ単に同世代の学生と無料で麻雀が打てるから参加した。ついでに言えば流行りものに乗っかってみたいミーハー心も少しあった。私はあまり流行りものに乗っかるのはダサいと思っているひねくれた人間なので、ただ単にみんな行ってるからとか流行ってるからとかで参加したわけではないが、麻雀にずっと関わっている人間として今(就活生時代)にしかできないことをしておきたかった。

○リマインドメールは来なかった

エントリーした(誘われた)のが開催日の2日前だったからか、自動返信の予約確認メールは届いていたが、詳細などを知らせるリマインドメールが来なかった。行きの電車に乗っているときにそこが急に心配になったので運営会社に電話したら「会場にとりあえず行ってみてくれ」とのことだったので、これから麻雀をしに行くにもかかわらず若干ブルーな気持ちで会場へと向かった。

開会、企業の挨拶

○言われた通りに行ったらなんのトラブルもなく参加できた 

会場は新宿にある老舗の大きな雀荘で、ゲームセンターの下にあった。入口がわかりづらかったので最初裏口の階段を上ってしまった。
入口らしきところにスーツを着た学生が数人見えたので彼らについていき階段を降りると「麻雀採用」の看板が見えた。予約確認メールを準備し列に並ぶと、カウンターに名札が並べられていた。そこの一番端に自分の名前があるのを見つけたので安心した。名前を告げるとその名札と成績記入欄およびルール表が書かれた紙が入ったクリアファイルを手渡され、卓に案内された。卓組が事前に決められているわけではなく、受付を済ませた順に席をうめていく形がとられていた。
会場全体を見渡して卓数が思ったより多いなと思った。あとからランキング表を見てわかったが16卓64人でやっていたようだ。これほどの規模の大会に出たことはなかったのでいい体験をしたなと思った。

○開始前に企業から挨拶と紹介(30分くらいあった)

定刻から10分くらい遅れて全体アナウンスが入った。「これは採用イベントです」ということが再三強調されていた。その一環として「対局中の飲酒喫煙はNG」ということも言われていたので煙に弱い私は安心した。そのあと来ている企業4社がそれぞれ7~8分で簡単な会社の説明や紹介を行っていた。人事担当者だけでなく代表(社長)が来ている会社もありすこし身構えた。
この全体挨拶と企業紹介の時間が思ったより長く、まだ麻雀を打っていないのに疲れてきたし私の対面に至っては卓上の牌や起家マークをいじっていた。
最後に審判やゲストを務めるプロ雀士が紹介された。その中にはMリーグ渋谷ABEMASの松本プロもいらっしゃっていた。学生の麻雀打ちの間ではMリーグを見ている人は多いのか、松本プロが挨拶し終わった時の拍手がこの日一番大きかったような気がした。

○ルール確認

企業紹介とプロ紹介が終わったところでルール表に読み合わせと質疑応答が行われた。
簡単にルールを抜粋すると以下のような形であった。簡単にルールを抜粋すると以下のような形であった。

- 半荘3回戦のトータルスコアで順位を決する
- ウマ10-30
- トビ終了なし
- 50分打ち切り(ルール表では45分とあった)
- オーラスアガリやめ聴牌やめなし
- 終局時供託はトップ取り
- 一発裏ドラカンドラあり
- 赤ドラ3枚あり(ルール表ではなしだったが説明でありになった)
- 途中流局すべてなし
- 流し満貫なし
- 複数ロンは頭ハネ
- 切り上げ満貫あり
- 一本場300点(記載がなかったので質問した)
- 数え役満なし
- 役満の複合なし
- その他細則は最高位戦日本プロ麻雀協会ルールに準ずる


いわゆる「学生がやってるであろう一般のルール」と「競技ルール」を折半したようなルールだなという印象を受けた。結果的に同じような思いで作られているMリーグルールに寄っている気がした。

対局開始

○一回戦

相手は同じ大学の2人組と麻雀を覚えて半年の人だった。みんな「あんま打っていない」と口では言っていたが、蓋を開けてみると激しい攻防が続き、きっちり止める牌を止めてくるので流局が多かった。点差もあまり開かない中、ラス前に満貫を自模った対面をオーラス親の下家が6000オールを自模ってまくり終了。私は東場の親番にタンヤオトイトイ三色同刻ドラ4の親倍をテンパイした以外は特にいいところもなく、3位に終わった。
この回はどの卓も長引いていたらしく、集計担当のジャッジが来るまで時間がかかった。
隣の卓の会話がすごく盛り上がっていたので(知り合い同士かな?)と思っていたら「初対面ですよね」というフレーズが聞こえてきたので彼らのコミュニケーション能力にびっくりした。

○二回戦

相手の特徴はよく覚えていないが、上家がイケメンで所作(牌の扱い)もすごくきれいだなと思いながら打っていた。ずっと黙りながら打っていたが、ラス前あたりで彼が「タバコ吸いてえ」とぼやきだしたのをきっかけに最近のタバコ事情についてしゃべりながら打った。(私は吸わないが最近の規制の厳しさはかわいそうだと思うと話した)
随所にイージーミスが目立ったが展開に恵まれ2位を取った。

途中隣の卓で「役満!!」の声。
「しかも清老頭!!」
このときは場内がその日一番ざわめいた。直後に拍手が起きた。
司会は「麻雀採用で清老頭が出たのはおそらく初めて」と言っていた。

○三回戦

先ほど役満が出た卓につき、(なんかあるかもな)と思っていた矢先に
東一局から下家に大三元が出た。
しかも先ほど清老頭が出た席と同じ席。

巡目も早く、振り込んだ上家はそのあと半ば自暴自棄になっていた。
しかし対面がコンスタントに大きい手をあがり続け、気づけば役満をアガった下家をまくっていた。
私は他3者の悲哀を眺めていた。3位だった。

またこの半荘中別の卓からも国士無双が出ていて、司会も「今日は役満出る日です!」と言っていた。

全体を通して自分には大したことは起こらなかったし、凡ミスが多く成績も振るわなかったが、周りでなんかしらのおもしろいことが起きていたので会場全体的に楽しい雰囲気で進行していった。

移動、企業説明

3半荘終わった後司会の指示で新宿の貸会議室に移動した。歩いている途中に自分を誘った高校同期と久々に再開し、今日あったことや就活のことを話した。
移動先では4つのテーブルの島が作られ、そこに学生が座ったのちに企業が座り、10分かけて企業のことを説明した後に島を移動し、また説明する…といったことを4回繰り返した。
企業の話は正直最初は興味はなく、周りの学生も集中して麻雀を打った直後だったので疲れていたが、話を聞くうちに「面白いことやってるなぁ」と興味を持って聞くようになった。やはり麻雀採用にくるくらいユニークな企業なので考え方やビジネスも変わってるのだろうか。

軽い会食、帰宅

説明が終わったあとに成績発表があり、入賞者や役満をアガった学生はは賞品(麻雀本やサインなど)代わりに自己PRタイムが与えられ、困惑しながらもしっかりとしたコメントを残していた。
その後は唐揚げやポテトなどのオードブルを食べながら会社のことや業界のことを聞けた。ちょうど志望業界の企業が来ていたのでそこの代表につきっきりで話を聞いたところ、名刺をいただきメアドを交換することができた。

思ったこと、気づいたこと、収穫

○初対面の人と麻雀を通じて仲良くなれる

私はわりと人見知りするほうなので(勇気を出して声をかけても会話が続かないタイプなので)初対面の人と長時間同じ時間を過ごすのが苦手なのだが、麻雀をしていると自然と仲間意識が芽生えて心が通じ合う感覚があった。実際同卓した人と貸会議室の中でも話すことができた。
またこのイベントに参加することで興味のある会社とコネクションを持つことができた。これもお互いに「麻雀をする人」という共通点があり、暗に仲間意識があるからこそいろいろと話せた結果だと思う。
これらの体験をすることができたのは麻雀があってこそだなと思った。

○「麻雀を通じて人柄を見れる」という説はただの持論ではなく客観性のある論である(企画化できるくらいの支持者がいる)

私は常々「麻雀をしていると人柄が出る」と思っている。
高い手をひたすら目指す人間、安い手で他家の手をつぶすのに喜びを覚える人間、本やネットで麻雀を勉強して強くなろうとしている人間、ただ楽しく打てればいい人間など、同じ「麻雀を打つ人間」でもいろいろな考え方がある。
この「麻雀採用」の意図としても、麻雀への取り組み方や打ちかたから、ESや面接で作り上げた人柄ではなく、素の人柄を企業に見えるようにするという意図があるのだろうと思う。(実際熱中しすぎてうるさいくらい叫んでいる卓もあった、彼らは素を出しすぎたようだ)
「麻雀をしている姿から人柄がわかる」ということを思っている人は私だけでないんだなということを認識できた。

○普段の麻雀で喫煙する率と賭ける率はまだ高く、また本人たちはそれらを悪いものだと思っていない

2回戦のイケメンに限らず、会場のあちこちから「普段レートどれくらいで打ってます?」とかいう会話がちらほら聞こえた。また休憩時間に通りかかった喫煙コーナーには十人くらいの喫煙者がいた。
私は麻雀につきものだった「賭け、タバコ、酒」はもはや現代にはいらないと考えている。むしろこれらの要素があるゆえに興味はあるけど手を出せない人がいるのがすごくもどかしいし麻雀界の未来にとってもよくないと考えている。そして、これらの要素がある麻雀はそれが当たり前だった年配層は別にしても、今を生きる若者はあまりしない(「賭け、タバコ、酒」なしで麻雀を打っている)ものだと思っていた。
しかし大学に入って麻雀サークルを運営したり、今回の麻雀採用イベントに参加したりする中で麻雀を打ついろいろな人とかかわり話した結果、若い人の中でもこれらの要素がある麻雀を打つ層がかなりの数いることに気付けた。そして彼らはそれらが悪だとも何とも思っておらず、むしろこれらの要素があるからこそ麻雀を打っているという様子さえ見られた。
この点において私の考えはどうやら現時点で世間ズレしていたようだ。
これに気付けたのも収穫と呼べると思った。

まとめ

麻雀採用イベントに参加することで、単に麻雀を打つだけでなくいろいろなことを得ることができた。
5月にもやるらしいので参加したくなった就活生はぜひ行ってみてほしい。

【2019/5/14開催】【東京】麻雀採用主催企業の麻雀採用

このようなイベントがもっと大きく、長く続くことを切に願っている。

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