推しに刺された日 #推し短歌
画面に映る推しに出会って、私が大変なことになり果てるまでの25分間の話。
仮面ライダー第73話『ダブルライダー 倒せ!!シオマネキング』
第1話・第2話とあわせて、当時は期間限定で無料公開をしていました。
友人の勧めで見た最初の2話が面白くて、せっかくだしこれも見るか、というノリ。もちろん、シリーズの知識は皆無です。
そもそも私の推しである「滝和也」というキャラクターは、第11話の登場以降ほとんどの回で仮面ライダーと共に戦うFBI捜査官です。
仮面ライダーには変身せず、生身のままで戦います。
ですが何も知らず73話を見始めた私は、この人も変身するのだな、と思い込んでいました。
だって、めちゃくちゃ敵と戦うんですよ。
親子が怪人に襲われてピンチ! という時、必ず助けに来るのが滝なんです。
大勢の敵を相手に戦って、奮闘するも捕まって。それでも縛られながら親子を庇って身を投げ出して、代わりに殺されかけるんです。
(一目で良い人とわかる笑顔だな、この人絶対嫌いになれないな)
(ああこの人がまず駆けつけるんだ。すごい、生身でも強い。必死に助けようとしてる)
(まだ変身しないのかな。強いけどさすがに変身しなきゃ勝てないでしょ。このままじゃ殺されるのに)
そんなことを考えながら見ていたんです。そうしたら、仮面ライダーじゃなかったんです。
それがわかった瞬間の、あの衝撃。
つまりこの人は、敵に抗う特別な力を持たないまま、あそこまで戦っていたんだ。
ロープを引きちぎることも出来ないのに、捨て身で親子を助けようとしていたんだ。
これまで見た場面が閃光のように頭の中を駆け巡って、全ての意味が変わって見えました。
全身を貫いた驚きと感動を、今の私が短歌にしたらこうなるでしょうか。
なんて美しい人なんだ、と思いました。
魂とか生き方とか、そういうものを直感的に「美しい」と呼んだのは初めてでした。
そこから本格的に仮面ライダーを見始めて、気づけば本郷猛も一文字隼人も立花のおやっさんも、みんな美しい人間の姿……最高だ……となっています。
このまま昭和ライダーを見続けたら更に推しが増えそうな予感。どうなってしまうんでしょうかね、私。
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