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雪深いまち

 2021年1月。
今年は、雪の当たり年のようです。

北海道開拓が始まった頃の、今から凡そ140年前も
一夜で一丈二尺(約4.4m)もの積雪となる大雪が
あったそうです。

深々と静かに降り積もった雪は、
建物をすっぽりと覆ってしまい 
人々が、朝目が覚めても
室内が夜のように暗いままでした。

不思議に思い、雪囲いの上の隙間などから
外を覗いてみると、暗闇の向こうに
微かに光が差し込んで見えるような状況だったとか。

 たまたま建物の外にいた雇人などが大声で
「戸などあからない。今掘り出してあげる。」と叫び、
室内にいた人々は、屋根の上にある煙出しから
這い出すように、戸外へ出たそうです。

 雪で囲まれた建物の中は、
冷蔵庫の中で過ごすようなものです。
なので、火を絶やすわけにはいきません。

朝起きた時、煙の上がっていない家屋があれば、
一家全員が凍死している。
そんな事も、決して少なくはなかったそうです。

 南1条にあった旅宿の弥生楼の煙出しから
うっかり者の犬が、かまどに転がり落ちたなどといった
少しほっこりするような奇談も残っていますが、
食料の備蓄が足りず餓死をしてしまうなど、
そうした話の方が多く残っているのではないでしょうか。

 道路わきに堆く積まれた雪山のニューズ映像を
見ていると、ついつい開拓期のそうした話を
思い出さずにはいられないのでした。


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