痛みに似た 【春雷】
藍ですこんにちは。
まだまだ外は痛いくらい寒いけれど、暦の上では春。
そんな今日語りたいのはこちら!
米津玄師の 春雷 という曲です。
まずは全員聴きましょう↓↓↓
https://youtu.be/zkNzxsaCunU
えっ開始五秒で大好きって叫ぶ……
この、オルゴールみたいなチロチロって音に ん?って耳を澄ませますよね、そしたら次の瞬間一気に鮮やかな音の洪水。アルバムBOOTLEGを初めて聴いたとき、この五秒間で完全に取り憑かれたことを覚えています。『春雷』あとから確認して知ったそのタイトルのままにそう、
刹那の間に 痛みに似た恋が体を走ったんだ
というわけ。
この歌詞からもわかりますがかなりストレートに恋の歌だと思います。
最初に印象づけられる、甘やかでかつ もっときいてみたくなるようなドキドキを秘めたフレーズ。一曲を通して鳴り止まない微かなこの音が、その胸のぎゅっとするような甘酸っぱさ、魔法みたいな魅力をあらわしている気がします。全体にエレクトロなサウンドのなかで、光ってきこえる。
そう音がいちいち好き……どれも何か全くわからなくてかなしいんですけど……
テンポが速くて賑やかな中に、そのオルゴール?多分違うななんか金属っぽい() 音のキラキラや、ひゅるるって笛の音が散りばめられて、春の音なんです。
春というのは、季節の春、そうして心の春。
一番では、雷に打たれるような出会いが歌われます。
その日から僕の胸には嵐が 住み着いたまま離れないんだ
大きく揺れる気持ちに戸惑いながらも惹かれてやまない。
あとから公開されたMV、洗濯物の溢れた洗濯機やついたままのテレビ、コンロにかけられたヤカンなど身近な物に囲まれています。音が溢れた瞬間に白黒からピンクに色づくこの場所、何気ない毎日がとっ散らかって色を変えてしまった、と解釈しています。
“ あなた ” の描写一つひとつにまるで聴き手も恋におちたかのように目を奪われます。世界を色と光に埋め尽くす春のように。
春ときくと淡い柔らかいイメージがありますが、同時に、環境が大きく変わる別れの季節でもありますね。
花びらが散ればあなたとおさらば それなら僕と踊りませんか
宙を舞う花がどうもあなたみたいで参りました
二番の歌詞にはお別れの気配が漂います。
散る花びらを見てはもうすぐサヨナラな美しいあなたを思い浮かべてしまう。
ネガティブな表現多いんですよね。壊れそうで怖かった、とか 騙しておくれ、とか。でも、
焦げ付く痛みも 刺し込む痺れも 口をつぐんだ恋とわかって
ごちゃごちゃした気持ちもぜんぶ恋だと。
言葉にするのも 形にするのも そのどれもが覚束なくって
ただ目を見つめた するとあなたはふっと優しく笑ったんだ
とっても素敵だなぁって、
あの、引用していて思ったのですが全体に歌詞にしては言葉選びが、重いというか文語的なんですよね。日常会話ではあんまり使わないような硬い言葉を選んでいる。でも内容は微笑ましいくらいに揺れて揺れて不器用で。この、ギャップ、すごく素敵じゃないですか私はめっちゃギュンってきましたえっ途方に暮れているとても一途可愛い、
硬い言葉遣い × 拙い気持ち
これ! これ好きですこのバランス!
綺麗な日本語とどこか懐かしい雰囲気のあるメロディ、そこにみずみずしい想いと新しいサウンド。この組み合わせが最高。
文章して重厚で美しいからこそ、女々しいくらいの青い気持ちが聴いてて恥ずかしくならずに そうだね、そうだよねって思えるものになっているんじゃないかと。
そして、語感が良い。
歌詞の話たくさんしてたけど正直、ずーっと聴いてた割にあんまり歌詞覚えてなかったんですよね。
速いテンポの中に息継ぎの間もないほど詰め込まれた言葉。ぱっと聞きで残るフレーズが刺さる、感じの曲じゃないと思う。音が楽しくて呪文みたいで。
だけど拾ったいくつかの単語と音の雰囲気、それだけで甘い焦燥感がちゃんと伝わってくるから、歌詞をちゃんと読んだときは答え合わせをする気分でした。
とにかく好きです。言いたい想いは笑うくらい山ほどあって それでもいざ聴くとなんにも出てはこないなんて。
そういう嵐のような雷のような出会いをした曲だったということを、書き残してみたいなと思いました。
https://youtu.be/zkNzxsaCunU
全員聴こうな(ごり押し)
#音楽 #邦楽 #曲紹介 #歌詞解釈 #立春 #春雷 #米津玄師