【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第26話
「僕は僕で色々と調べてたんだ」
今度は自分の番だというように、和希は語り始めた。
「最初に違和感を持ったのは、景に僕があの日彼女と会っていたことを看破されたあとだった。その場では気にならなかったけれど、あとになって、僕は一体どこで笹野さんに見られたのかと疑問に思った。部室に向かう途中では誰にも会わなかったし、それに……」
一呼吸置いて、彼は強調するように言った。
「あのとき部室のドアは閉めていたはずなんだ」
確かにあの日は蒸し暑く、空気のこもりがちな部室棟ではほとんどの