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平凡な少女のありふれた死に方

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【あらすじ】 ある日、主人公・西村景は部室で白坂奈衣が死んでいるのを発見した。 文芸部と演劇部が合併してできたという文演部では、『本作り』と呼ばれる特殊な作品作りが行われていた…
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2024年7月の記事一覧

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第20話

 友利先輩はおそらく文演部の中で一番変わった人だった。  というよりも、変わった人なのか…

紙野七
4か月前
7

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第21話

 放課後の誰もいなくなった教室で、先輩の死にまつわることを整理していた。本当なら部室で作…

紙野七
3か月前
7

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第22話

 一年生の十一月頃だったか。まだ冬というには早かったけれど、時折通り過ぎる冷たい風が枯葉…

紙野七
3か月前
8

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第23話

 その日もやはり友利先輩は僕よりも先に部室にやってきていた。そういえば、彼が集合時間に遅…

紙野七
3か月前
6

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第24話

 ずいぶん長く居座っていた夏の残り香もいつの間にか霧散し、柔らかな秋草の香りに塗り潰され…

紙野七
3か月前
6

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第25話

 つらいことも悲しいこともない、ひどく平坦でつまらない人生だった。  両親とも健在で仲も…

紙野七
3か月前
5

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第26話

「僕は僕で色々と調べてたんだ」  今度は自分の番だというように、和希は語り始めた。 「最初に違和感を持ったのは、景に僕があの日彼女と会っていたことを看破されたあとだった。その場では気にならなかったけれど、あとになって、僕は一体どこで笹野さんに見られたのかと疑問に思った。部室に向かう途中では誰にも会わなかったし、それに……」  一呼吸置いて、彼は強調するように言った。 「あのとき部室のドアは閉めていたはずなんだ」  確かにあの日は蒸し暑く、空気のこもりがちな部室棟ではほとんどの

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第27話

 白坂先輩のシナリオを見てしまったのは偶然だった。  その日は部活が休みで、僕は前日に忘…

紙野七
3か月前
4

【連載小説】『平凡な少女のありふれた死に方』第28話

「景は大きな勘違いをしてるよ」 「勘違い?」 「そう。あるいは、幻想と言い換えてもいいかも…

紙野七
3か月前
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