しゃぶしゃぶバイキング最高

　すかいらーくから先日株主優待券が届いた。数枚貯まってるし、そろそろ使おうかなと思っていた。
　すかいらーくは、買った時から全く株価は上がらないが、優待券がよく届くし、もう別に利益とかいいやという気持ちで毎年優待券をもらっている。

　私はすかいらーくグループは基本まずいと思ってる。
　本当にひどい料理を、料理のクオリティを考えるとかなり高めの値段で出してくると思う。サイゼリヤを見習ってくれ。580円でこんな飯出すな。
　それでもジョナサンだけは割と好きだったのだがコロナ禍で次々とガストに変わってしまい、ぐぬぬ一体どこで優待券を使えば…という気持ちで過ごしていたが、最近気づいた。
　しゃぶしゃぶバイキングのしゃぶ葉めちゃくちゃ最高。

　別に全然美味しくないのだ。
　でも、全然不味くないのだ。
　これはでかい。かなりのプラスポイント。
　大人2000円で子供1000円で、全然不味くないしゃぶしゃぶが食べ放題で、デザートがすごくて、子供が大喜びなのだ。
　以前見かけた、店を後にした老人はこう言っていた。
「え！？こんな大人数で行って一万円なの！？すごかったよここ。俺もう三回に一回はここでいいね！」
　わかる。
　長女は初めてしゃぶ葉に行った時、あまりの良さに野太い声で、「しゃぶしゃぶバイキング、さいっこー！」と雄叫びをあげていた。

　そんなしゃぶ葉に、今日は行こうかなと思った。でも別に優待券の期限も長いし、焦る気持ちはなかった。
　なんなら、たまたま入った公園のショッピングモールに他の割と良い店があったので、長女に、今日はしゃぶ葉じゃなくてここでいい？と聞いた。
　しかし、長女の答えはノーだった。
　何があってもしゃぶ葉に行くと。どれだけ待っても構わないと。
　心に決めた長女はすごい。絶対に諦めないし執着をし、必ず本懐を遂げる。そしてそれを実現させなかった時の親への攻撃がやばい。その性格を知っているので、私は仕方なくショッピングモールを出て、しゃぶ葉に車を回した。

　45分長女はじっと待った(次女はじっと待ちはしなかったがまあなんとかなった)
　そして入店。
　長女は肉が運ばれてくるなり言った。
「出来上がった肉、お皿の上にいくら置いてくれてもいいから」
　こいつ、本気だ…！
「今日は一回も食べたことないカレーも食べてみようかな？」
　やる気に満ち溢れている…！
「寿司も頼めるんだよね？」
　すごい、どこまで行く気だ…！？

　長女は、20分で肉とカレーと寿司というそこそこの量の食事をぺろりと平らげ、残り70分と大きく余裕を残して、デザートへと移行した。
　そして、雨で濡れた体だからやめろという親の言葉も聞かず、かき氷コーナーに向かったのである。
「全部のシロップをかけてレインボーカキ氷にする」
　その言葉を聞いて、私は昨日の夜の長女を思い出していた。
「おかあさん、YouTubeでかき氷作る動画見たんだけどさ〜なんかシロップをさ〜うんたらかんたらうんたらかんたら」
　よくわからなかったので完全スルーしていたのだが、こいつ、恐らく昨日から、明日はしゃぶ葉行こうかなという私のセリフを聞き、しゃぶ葉にカキ氷があることを思い出し、それに向かってイメトレをしていた…！？
　絶対そうだ。そうなるともうこのカキ氷は私は止められない。
　こんなにイメトレをしていたなら、今日しゃぶ葉以外に選択肢は元々なかったのだ。別のところにしようと提案をした我々親は愚かだったとしか言えない。

　長女は満足げにカキ氷を完食すると、
「今日はワッフルを焼いてみようかな？」
　と言って、ワッフルを焼き始めた。私にはわかる。焼いてみようかな、と、今思いついたみたいな言い方してるけど、きっと昨日から、ワッフルも食べるぞと決めていたんだな…
「あートッピングがな〜！さっきカキ氷食べたし、お腹冷えちゃうからやめとこうと思ったけど、仕方ないからソフトクリームかけるか〜！」
　わかったよ、そのつもりだったんだね。誰もわたしたちは彼女の食欲を止められない。

　ワッフルを完食すると、「また別のとってこようかな？」と言って出かける長女。
　そして、コーヒーゼリーと白玉のセットを持ってきた…。
「コーヒーゼリーが思ったより苦いから、ソフトクリームをかけたらちょうどよくなると思うんだよね、お母さんどう思う？」
「やめて！」

　そして完食し、次は綿飴コーナーに向かう長女…。綿飴を3回作り、慣れておらず戸惑う小学生の前で、格の違いを見せつける長女、かっこいい…。

　90分が経過した。
　長女の腹は、前だけではなく、体の横にまで飛び出していた。産卵期のトカゲのような腹だ。すごい。

「あ〜美味しかった！しゃぶしゃぶバイキング、サイッコ〜！」
　本当に満足してもらえたようでよかった。また来よう、しゃぶしゃぶバイキングに。
　私たちの幸せは、いつだってしゃぶしゃぶバイキングと共にあるのだ。

　思春期になったら絶対太ると思うから、コントロールしてあげないとな、と心に誓った。