1-8 財務諸表と6つの利益

財務諸表とは、いうなれば「経営者の通知表」です。
財務諸表を見れば、会社の状態が良くわかります。

◎財務諸表と3つの書類
→財務諸表とは、ステークホルダに対して経営成績を報告するための書類です。会社の状態や経営活動の内容などを知ることができます。
「財務諸表をみればその会社の健康状態がわかる」ということもできます。
なお、財務諸表という名前の書類があるわけではなく、次の3つの書類の総称です。
・貸借対照表(会社の全財産が記載された表)
・損益計算書(会社の利益が記載された書類)
・キャッシュフロー計算書(会社の現金の出し入れが記録された書類)
■貸借対照表
→貸借対照表とは、「ある時点の会社の全財産が記録された表」です。
貸借対象表を見ると、会社の資産、負債、純資産がわかります。

画像1

貸借対照表は左側の「資産」の金額と右側の「負債」と「純資産」の合計金額は必ず同額になります。
このように左右の値が釣り合うことから、貸借対象表はバランスシートとも呼びます。
貸借対照表の資産の部を「総資産」といいます。また右側の負債の部を「他人資本」と「自己資本」を合わせて「総資本」といいます
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○総資本→会社が持っている全財産
○他人資本→返済が必要なお金
○自己資本→返済が必要ないお金
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○自己資本比率
→自己資本比率とは総資本に対する自己資本の割合のことを指します。
言い換えると「会社にあるお金のうちの、自分のお金の割合です」
※自己資本比率が高ければ借金が少なく、高ければ借金が多いということになります。
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■自己資本率(%)=自己資本/総資本×100
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・資本金は、貸借対照表の「総資本」の部に分類される。
・自己資本比率とは、自己資本÷総資本×100
◎損益計算書とは
→「会社の利益が書かれた書類」です。
目的は、会社がどんな方法でお金を稼いだかを明らかにすることです。
例えば、今年の利益が本業で稼いだものなのか、副業で稼いだものなのかを確認することができます。
☆損益計算書の用語
売上高→商品を売って得た金額
売上原価→商品を作るための費用(≒変動費)
☆売上総利益→【売上高-売上原】粗利益ともいう。この項目を見ると「商品力」を知ることができる。
販売費および一般管理費→商品を販売・管理するための費用。(≒固定費)
☆営業利益→【売上総利益-販管費】本業で稼いだ利益を指す。この項目を見ると会社の商品力がわかる。
営業外収益→本業以外で稼いだ収益。例えば利息の受け取りや株の売却益など。
営業外費用→本業以外でかかった費用。例えば利息の支払いや株の売却損などの費用。
☆経常利益【営業利益+営業外収益-営業外費用】この項目を見ると、「本業・副業」を合わせた会社全体の競争力を知ることができる。
特別利益→臨時の利益、例えば自社ビルを売って得たお金など。
特別損失→臨時の損失。例えば地震や火災などの損失や、裁判などで発生する損失。
税引き前当期純利益→税金を引く前の会社の利益
法人税等→税金を払うための費用
当期純利益→すべての利益から、すべての費用を差し引いた金額。
【まとめ】
・売上総利益=売上高-売上原価
・営業利益=売上総利益-販管費
・経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
・当期純利益=すべての利益からすべての費用を差し引いた金額。
◎キャッシュフロー計算書とは?
→「会社の一定期間の現金収支を明らかにした書類」
キャッシュフロー計算書を見ると、損益計算書からは判断できない会社のリスクを見つけることができます。

☆黒字倒産
世の中には、損益計算書では利益が出ているのに倒産してしまう会社があります。これを「黒字倒産」と言います。
なぜこのようなことが起こるかというと、多くの会社では企業活動で発生する金銭のやり取りを、その場その場では行わず、後日(翌月末)などに授受する方式で運営しています。これを「売掛金」といいます。
→商品は売れているので、損益計算書上では利益として計上されているのですが、実際にその代金を回収するまでに借金の返済が行えずに資金不足で倒産してしまうことがあるのです。
◎黒字倒産のリスクはキャッシュフロー計算書で見つける
黒字倒産のリスクは損益計算書では発見できません。
なぜなら、実際に売り上げがあれば、たとえそれが未回収であったとしても損益計算書上では利益と記載されるからです。
◎キャッシュフロー計算書では現金の出し入れを3つに分類して計算します。
■営業活動によるキャッシュフロー
→本業に関わるお金の残高を計算する。この残高がプラスであれば本業が好調。マイナスなら不調。
■投資活動によるキャッシュフロー
→設備投資や株・債権の売買後の残高を計算する。
この残高がプラスであれば、株や債券の売却額が新規投資額を上回っていると判断でき、マイナスであれば会社が将来の為に積極的に投資を行っていることがわかる。
■財務活動によるキャッシュフロー
→資金調達に関わるお金の残高、(お金の貸し借り後mの残高)を計算する。この残高がプラスであれば資金調達をしていることがわかり、マイナスなら借金を返していることがわかる。
■ROE(自己資本利益率)
→会社が株主から集めたお金でどれだけ利益を上げたのかを表す指標です。
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ROE=当期純利益/自己資本×100
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当期純利益は損益計算書に記載されている「会社の最終的な利益」
自己資本は「株主から預かっているお金の総額」
例えば、当期純利益が1億円で、自己資本が10億の場合、ROEは10%になります。(1÷10×100=10%)これは会社に100万円を預けたら、その10%の10万円の利益が得られることを表します。

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