4_0623_大島_研究書評

      子どもの貧困対策の推進に関する法律(概要)
                             厚生労働省
 
①序論
地域の団体が行っている、子どもの教育支援について4月から5月19日までにみてきたが、政府はどのような法律を定めて子どもの教育支援を支えようとしているのかを知るため選択した。「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の概要と、大綱案に盛り込むべき事項について書かれている。多くの課題に対し必要な支援が実現されるどころか(平成26年時点で)大綱案にすらまだ盛り込まれていないことが確認できた。
 
②本論
「子どもの貧困対策の推進に関する法律」は子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的としている。政府は子どもの貧困対策を総合的に推進するための大綱を定めることを義務づけられている。現状として2012年時点の子供の貧困率が16.5%、子供がいる現役世帯のうち大人が1人の貧困率が54.6%であることが挙げられている。第1では基本的な方針に関する意見が書かれている。子供の成育条件や保育、教育条件の整備、改善・充実なしには子供の貧困は解消しないという認識が要る。また、生活保護受給世帯の子供、ひとり親家庭の子供、児童養護施設など社会的擁護の対象となっている子供に対して優先的に施策を講じる必要がある。第2では子供の貧困に関する指標を設定する必要があるとしている。第3子供の貧困対策に関する施策に関する意見として、就学前教育の充実、就学援助制度の充実などが挙げられている。教育に対する投資の中で就学前教育への投資が、成人後の貧困への影響が最も大きいため、幼児教育の無償化などにより就学前教育をすべての子供に保障する必要がある。第3 1(2)で無利子奨学金の拡充、給付型奨学金の創設、貸与型奨学金の返還ルールの柔軟化等を実現して経済的支援を充実する必要があるという意見がある。大学等の進学率は、家庭の所得による格差が大きい。給付型奨学金は成績要件が厳しいことが課題だ。連帯保証人の枠組みの検討も必要だ。(3)③では定時制高校の退学率が高いという調査結果から、就学を継続していくための経済・生活・学力面の支援やメンター制度を手厚くする必要があるという意見がある。(7)①貧困の連鎖を断つためには最低限高校を卒業することや、大学等への進学を保証することも効果的なので生活保護世帯や生活困窮世帯が高校を中退しないための学習支援が要る。②児童養護施設や児童自立支援施設等に入所している児童は一般世帯に比べ進学率が低いので、学習支援が必要だ。2生活の支援(2)①では児童養護施設を退所した児童の高校進学率が入所したままの児童に比べて低いことや、施設入所児であった中卒者の離職率が高いことからどう支援するか問われている。児童養護施設退所者の大学や専門学校への進学率が低いため、奨学金や退所後の住居を提供する必要がある。
 
③結論
生活保護世帯や生活困窮世帯の児童の他に、児童養護施設を退所した児童も奨学金を必要とすることがわかった。また、高校や大学への入学を支援するだけでなく子どもが高校を中退しないよう支援する必要もあることがわかった。高校の中退率を調べる必要がある。この法律は平成25年に成立して平成26年1月に施行されたが、どの程度支援や施策が現在大綱に盛り込まれているかも確認する必要がある。

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