令和6年予備試験再現答案(刑事訴訟法)

刑事訴訟法
第一.設問1
1.事件①において甲が犯人であることを、事件②における甲の犯人性を推認させる間接事実として用いる為には、事件①と②の間に最低限度の関連性が認められる必要がある。
事件①と②はいずれも強盗事件であり、いずれもH県I市で行われた。また、両地点は3キロメートルと近接しており、事件①の後、②が発生するまでは1時間程度であり、時間的にも近接している。また、黒色の軽自動車で衝突した後に金品奪取を試みるという手法も類似している。
よって、最低限度の関連性は認められる。
2. しかし被告人の他の犯罪事実を被告事件の犯人性の推認のための間接事実として用いることは、原則として認められないと解すべきである。被告人の前科事実や他の犯罪事実は、被告人の犯罪性向といった実質的根拠に乏しい人格評価に結び付きやすく、事実認定を誤らせる恐れがある。また、被告人の前科事実等の証明力の及ぶ範囲を合理的な推論の範囲内に限定するために、当事者が前科事実等に立ち入った攻撃防御を行う必要が生じ、争点が拡散する恐れもある。
もっとも、前科事実等を用いても、実質的根拠に乏しい事実認定に繋がる恐れのないときに、それを用いることは認められる。
犯罪の手口の類似性から犯人性を推認させる場合には、①被告人の前科事実等に顕著な特徴があり、②それが被告事件と相当程度類似していることを要する。
3.事件①と②は、いずれも強盗事件である。事件①と②のいずれも、夜間に人通りの少ない住宅街で行われた。しかし、目撃者が出ることを防ぐために、夜間に人通りの少ない場所で犯罪を行うことはよく見られるものであり、特殊性に欠ける。
他方で、事件①と②はいずれも、軽自動車で被害者に追突し、被害者を転倒させるという点においても共通している。しかし、そのような手段で被害者の犯行を抑圧するのは、強盗罪でよくみられるものである。しかし、事件①と②のいずれも、「大丈夫ですか。」等と介助をするふりをして被害者に近寄り、金品と奪うという特長がある。かかる特徴と併せて考えれば、事件①は顕著な特徴があり、事件②と相当程度類似していると解される。
4.したがって、事件①の犯人が甲であるという事実を事件②における甲の犯人性を推認させる間接事実として用いる事は、可能である。

第二.設問2
1.本件も被告人の他の犯罪事実を被告人の被告事件における金品奪取の目的という主観的事情の存在の推認のために使うものであるから、設問1で論じたのと同様の危険がある。
2.しかし、「被告人が金品奪取の目的を有していた客観的状況と被告事件における客観的状況が類似している」限度において、被告人の被告事件における主観的事情を推認する事は認められると解する。その場合、両事件の客観的事情が類似しているという限度において、被告人が同様の主観的事情を有していたと推認されることとなる。
もっとも、同一人物が類似した客観的状況にあったとしても、かかる状況において有することとなる主観的事情は、年月の経過によって異なるものとなり得る。
そこで、被告人の前科事実等と被告事件の客観的状況の類似と前科事実等の発生時点と被告事件のそれの近接が要求されるというべきである。
3.事件①と②において、被告人甲が置かれていた状況は、自らが運転する軽自動車が他社に追突したという点で類似していた。そして、いずれの事件においても、甲は「怪我はありませんか」等と言いながら、被害者に駆け寄っている点も共通しており、両社の客観的状況は類似していると言える。
確かに、事件①においては甲はAの顔面を拳で殴っており、②においては殴っていない。しかしそれは、事件①ではAがすぐに立ち上がろうとした一方、②ではBが転倒したままだったからだと解され、上記結論に影響しない。
また、事件①と②の発生時点は、1時間程度と近接している。
4.以上から、事件①と②の客観的事実の類似性、および時間的近接性が認められる。よって、事件①において甲が金品奪取の目的を有していた事は、「事件①と②がその客観的状況において類似していた」という限度において、事件②において甲が金品奪取目的を有していたという事実の推認に用いる事ができる。以上

<所感>
・設問1を書き終わった後、「いや待った.これ特殊性ないじゃん」と思ったが、その場でのやり直しをすることが残り時間上リスキーだったため、断念
・設問2は、全くわからない

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