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ある夜の出来事(最終章)

2023年の8月も終わりを迎える。
この夏はいろいろあったが、自分の生死観を変えた「ある夜の出来事」。
出来るだけ全部語って供養とし、新しい明日へ向かいたいと思う。


序章:彷徨う

8月の中頃に差し掛かったある夜、ボクは繁華街を彷徨っていた。
何があるわけでもなく、自分を落ち着かせるため。
ただ何となく部屋にいる事が無性に辛いときがあった。
大通りにから少し小さい道に曲がった時に、騒いでる声が聞こえた。
よくある喧嘩だと覗いてみると、そこには若い男女の3人組と酒に酔ってるであろう6人ぐらいの男が何やら揉めていた。
それくらいは何度も見かけたこともあり、そんなに珍しい事でもない。
少し傍観していると、若い3人組の男1人と酔っ払い側の数名の男が不穏な空気を醸し、残りの男は3人組の女2人に話しかけてるのか、ちょっかいを出してるのか、何かしているようだった。

1章:通報

そうしているうちに男同士で胸倉を掴みだしたので、他の傍観者が既に連絡しているかもしれないけど、まずはに連絡を入れた。
急いで来てくれと、場所と状況を伝えを待つ。
時間にして5分ぐらいだろうか。緊張感が暴走に変わるまでにそう時間は掛からなかった。最初は止めてた酔っ払い側の数人も酒が入っているせいもあり、加勢して男女三人組側の男が壁際に詰め寄られる。
多勢に無勢か、詰め寄られた男は謝っているようだが、酔っ払いは数発手を出し男を何処かに連れて行こうとしている。
残りの男たちも女性2人を一緒に連れようと、嫌がる手を引っ張っていく。
たぶん10分位は経ったであろうこの時点で、はまだ来ていない。
そして傍観者たちも何も動きを見せなかった。
ただ他人が連れていかれようとしている、ただそれだけのはずなのに、なぜか自分を突き動かした。
人助けとか、かっこいい理由ではない、明らかに助けを求めてるその姿と、誰も助けようとしない周囲や傍観者が、たぶん自分の中で許せなくなった。

2章:決意

とりあえず、不意を突いて女性を引っ張っている手をほどき、男達と引き離すと、すぐに女性達はどこかに行ったみたいだ。
そのあとに引っ張って連れて行かれている残りの男の間に割ってり、
止めてみたが多勢に無勢で成すすべもなく、興奮状態の彼らの威嚇と暴力で自分もすぐに囲まれた。
ただ、ここまでは想定内でもあった。最悪のケースとしてだけど。
なるべく引っ張って時間を稼いだのだから、そろそろが来てくれるのだろうという期待と願望をよそに、そう甘くない現実を突きつけ、時間が経つほどに、その願望は絶望に変わっていった。

3章:這う

引きずられ何処かわからない場所で、ボクは這いつくばっていた。
たぶん路地裏だろうか、うつ伏せに倒れたままに、赤とよくわからない色の血・鼻水・吐しゃ物がまだ溢れだしている。
応援も来なければ、味方もいないその状況で、時間なんて覚えておらず、複数人にボコられてグチャグチャニされて、ゴミ以下に捨てられた。
頭も打ったようで全身も痛く、背中には突き刺さすような痛みもあり、起き上がることもできない中、噂の走馬灯がボクの中を流れ出した。

4章:走馬灯の先

これが最後なのかも知れない、もう誰とも会えないのだろうと、冷静に想い出を懐かしんだ。
やっぱり両親やアイツへの想いが多かった。
どのくらいの時間見たのだろうか、無意識下での記憶が一通り流れた時、突然に虚無感と絶望がボクに憑りついた。
呻き声にさえなっていたかもわからない発せる限りの声で、最後の力を振り絞り号泣しながら
両親やアイツに『ありがとう』『ごめんなさい』『最後会いたかった』等と共に『遺言(最後の願い)』を繰り返し叫んでいた記憶だけがある。
その孤独と絶望の中、ポツンと捨てられた血みどろの肉塊は、人を焦がれて『X』に意味の分からないPOSTをしたあと、薄暗く汚れた人気のない道端で力尽きた。

5章:耳をすませば

夜中の2時頃だったらしい。
その路地の隣のビルに入っているラウンジのお姉さんが、ボクの存在を見つけてくれた。
救急車で運ばれ2日間後、ベットの上で目を覚ますことができた。
目が覚めた時、すぐ横に両親がいた。
目が覚たのはうるさいイビキが聞こえてきたからなのだが、どうやら自身のイビキのようだ。

6章:起きたあとのまつり

父親はあきれながら、母親は怒りながら、そして二人は泣いた。
『ごめんなさい』ボクが泣かしたの間違いです。
今回の事と、二人より先に逝こうとしたことを何度も謝った。

結局、色々な所を怪我しながらも、運よく(?)骨折だけは免れてたようだ。

その目が覚めた翌日、がやってきた。
運ばれた状態から、病院が連絡していたらしい。
そして事の経緯を説明。
後日現場検証と被害届の提出の仕方とか説明をするので署まで来てほしい旨を言われ、了承する。
に行ってわかった事。
①通報現場に行ったが、誰もいなかったらしい。
②病院で経緯を話して初めて、あの夜に通報した者だと判明。
③そんなことだから、犯人も手掛かりも事件である事さえもしらなかった。
って、こんなポンコツだったのね。
なのに俺は頼ってしまったw
その他に届を提出する際に、担当の人に言われた「無茶」「無謀」の言葉に酷く傷ついたりもした。
このKに言われた言葉は
「ある夜の出来事_後日談(僕の愚行)」を
気になる方は読んでください。

7章:まだ生きてていいんだよね

いかなる時も、想定外はつきもの。
今回は想定を大幅に越えてきた。
全て間違っていたとは思いたくないが、結果的に正しくなかったのは事実。
そして大事な人達を悲しませた事も。
生きてゆく事を選べない人達もいる中で、生きてゆく事ができるのは、きっとありがたい事。
辛く悲しい出来事があったとしても、諦めた時点であの孤独な何も無い世界へ戻るというのならば、もうその選択はしないだろう。
最後の願いが叶わぬままに、生涯を閉じなかった事に『ありがとう』と言いたい。
あの時叫んだ遺言は、まだボクの中にしまっておく事にする。
そして大切な人達に囲まれ、今の時間と明日を生きて生きたい。

そろそろ最後の包帯が取れるから。

『ねぇ、まだ生きていてもいいよね』
本当の終わりが来るまで、もう少し頑張って今日と明日を生きてゆきたい。


こんな駄文を長々と読んでいただき、ありがとうございます。身体や心に空いた穴は、もう塞がりつつあります。生死とは身近に存在するモノだと教えられ、身近にあるからこそ生きた証として、自分の存在意義を探す、そんな残りの人生を歩んでいこうと思っています。

最後に自分に関わった全ての人が、
幸せでありますように♫

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