見出し画像

【廃線跡探訪】名古屋港~堀川口の貨物線跡の今を見に行った

 先日、JR貨物からこんなニュースリリースが出てきました。

東海道線 山王信号場~名古屋港駅間の廃止について

廃止予定区間
https://www.jrfreight.co.jp/info/2023/files/20230919_01.pdf

 JR貨物の通称「名古屋港線」が2024年に廃止されることが決まったようです。当路線は1911年開業とかなり歴史が長く、港湾に直結した貨物線として長らく使われていました。しかし、現在は週3往復の列車しかなく、この列車も運用が終わることに伴い、とうとう廃止が決まったようです。Mastodonにて共有した際も多少の反応がありました。


 さて、この名古屋港線は、現在はガーデンふ頭の北の「名古屋港駅」が終点となっていますが、最盛期にはさらに線路が伸びており、海岸沿いを取り囲むような形で「堀川口駅」まで通じていました。

←1968年頃 2023年→
名古屋港駅周辺の地形図
地理院地図の比較図を「今昔マップ on the web」を使用し作成

 この名古屋港~堀川口は1980年に廃止された区間ですが、この機に、その廃線跡をたどってみることにしました。


0.調査概要

調査日時:2023年9月24日(日曜) 午後
調査方法:自転車
調査員:1名
撮影機材:Zenfone 5z 内蔵カメラ

 自転車で散歩しながら、スマヒョのカメラで撮った写真なので、クオリティについてはご容赦ください。私はカメラマンでなないし撮り鉄でもない。

1.堀川口駅周辺

1968年ごろの地形図
①終点付近
②より南を望む アスファルトの下の線路跡?
③ここにも線路をたどるような舗装が
④いかにも廃線跡のようなカーブ
線路跡が茂みのあたりなのか、白いコンクリートの下なのか、倉庫のあたりなのかは不明

 終点の堀川口付近です。船着き場を取り囲むようにぐるりと線路があったようです。現在はほとんどが倉庫になっていたり舗装されていたりで、
ほとんど廃線跡らしい痕跡はありません。しかし、②や③のあたりには線路を思わせるような舗装の跡が。場所によっては線路のようなものも埋まっていましたが、幅が明らかに1067mmよりも広いので線路そのものではなさそうです。


2.名古屋港跳上橋周辺

1968年ごろの地形図
①防波堤上から
②防波堤に登れば近くで観察できる

 かつてここにあった運河を渡る形で、跳ね上げ橋が残されています。もちろん現役ではなく、動くことはありませんが、線路ごとほぼそのままの形で残されています。四日市の臨港橋を思い出す見事な跳ね橋です。この「名古屋港跳上橋」は、国の登録有形文化財に指定されているとのこと。
 なおこの前後には線路跡はなく、工場などの敷地となっており入ることはできません。


3.現在の(貨)名古屋港駅

1968年ごろの地形図
①県道227号線より現役の駅を見下ろす
②現在の終点付近 この看板もなくなるのだろうか?

 跳上橋から現在の名古屋港駅までの間は、「ガーデンふ頭」として公園として供用されており、廃線跡らしきものはほとんど見られません。名古屋港水族館とかがあるあたりです。水族館の北にある遊園地「シートレインランド」はもともと名古屋港駅があった場所であり、「トレイン」という名がその名残です。いまも土地の持ち主はJR貨物だとかそうでないとか。
 そしてその北、県道227号の高架橋(跨線橋)の北に現在の名古屋港駅があります。草が生えているものの、線路の踏面が輝いているのと閉塞信号が光っていることから、いまも現役の路線であることが伺えます。この日は日曜日なので列車の運行はありませんでした(手元の2022年貨物時刻表によれば、火・木・土のみ1往復列車が走る)。

 余談ですが、名古屋港駅の隣には名古屋市交通局の名城・名港線の車庫(名港工場)があり、横を通る道路からその様子が見られます。ここに車庫を作ったのは、貨物駅がすぐ近くにあったからなんでしょうか?

名古屋市交通局名港工場
実は名城・名港の車両は2つの色がある

4.おわりに

 以上、貨物線の廃線跡を辿って参りました。跳上橋以外に主だった痕跡はほとんど見られないものの、ところどころ線路を思わせる風景がありよい散歩となりました。まあ廃線から43年も経っているのでそうそう何も残っていないのはそう。
 いやー、貨物線っていいですよね。「えっこんなところに線路が??」という光景に一番遭遇しやすいのが海沿いの貨物線だと思います。

 そして、冒頭にも述べたとおり、名古屋市内にある一つの貨物線が間もなく廃止されます。港区を走るキヤ97系とDLが見られるのも今のうちです。旅客線として存続するという道も考えられなくはないですが、地下鉄名港線が並行して走っているのでほぼないでしょう。
 これからは名古屋港の貨物は、あおなみ線荒子駅にある名古屋貨物ターミナルや笠寺駅に集約されるということでしょうか。よくわからない。
 まあともあれ、何かが廃止されるというのは、仕方ないとはいえ、少し寂しいですね。

 それではまた。次の貨物線廃線探訪記「名古屋臨海鉄道汐見町線 休止線編」でお会いしましょう(書くとは言ってない)。

名古屋臨海鉄道汐見町線(休止) 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?