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(メモ)『ケースブック租税法』第5版→第6版での変更点

(注)第5版と第6版を見比べながら私的に作成したもので、抜け漏れがあるかもしれません。【5】は第5版、【6】は第6版を指します。
(追記)表題判例・引用判例レベルでは概ねチェックできたかと思います。設問にもかなり手を入れたとのことなので、時間があればそちらも追記するかもしれません。
何か追加・修正等ございましたら、ここのコメント欄・Twitter等任意の手段でご連絡いただけますと幸いです。


新規に収録された箇所

第1編 租税法の基礎理論

§レベルでの新規収録箇所はなし。

第2編 所得税

  • 第2章 所得分類

    • 第1節 利子所得・配当所得

      • §221.01 「預金」の意義(新生銀行デットアサンプション契約事件:東京地判平成17年7月1日裁判所ウェブサイト)

    • 第4節 不動産所得・事業所得(5版の「事業所得」から改題)

      • §224.01 不動産所得の意義(モーターショップ建物無償譲渡事件:名古屋地判平成17年3月3日判タ1238号204頁)

  • 第5章 源泉徴収(新設)

    • §250.01 源泉徴収の法律関係(愛知交通事件:最判昭和45年12月24日民集24巻3号2243頁)

    • §250.02 支払いの無効と源泉徴収義務(クラカグループ事件第二次上告審判決:最判平成30年9月25日民集72巻4号317頁)

第3編 法人税

  • 第2章 法人所得の意義と計算

    • 第1節 法人所得の意義

      • §321.03 公正処理基準ーー前期損益修正(クラヴィス事件:最判令和2年7月2日民集74巻4号1030頁)

      • §321.04 時価主義の拡大

    • 第2節 益金の意義

      • §322.05 受取配当の益金不算入:N&Q3に国際興業管理株式会社事件(最判令和3年3月11日民集75巻3号418頁)

第4編 相続税・贈与税

§レベルでの新規収録箇所はなし。

変更された箇所

第1編 租税法の基礎理論

§レベルでの変更箇所はなし。

第2編 所得税

  • §211.01 包括的所得概念

    • 掲載判例が中高年齢者雇用開発給付金事件(神戸地判昭和59年3月21日訟月30巻8号1485頁)→マカオ2泊3日旅行事件(東京地判平成24年12月25日裁判所ウェブサイト)へ変更

  • §222.07 譲渡所得の応用問題

    • 土地・建物代償分割事件(最判平成6年9月13日家月47巻9号45頁が、【5】§222.07N&Q3より表題判例へ)

  • §225.02 一時所得と雑所得の区別

    • 掲載判例が外れ馬券事件・刑事(最判平成27年3月10日刑集69巻2号434頁)から外れ馬券事件・民事(最判平成29年12月15日民集71巻10号2235頁)へ変更

  • §231.02 必要経費の意義

    • 掲載判例が賃貸用土地贈与事件(大阪高判平成10年1月30日税資230号337頁)からロータリークラブ会費事件(長野地判平成30年9月7日訟月65巻11号1634頁)へ変更

  • §232.02 権利確定主義(2)ーー発展問題

    • 沖縄補償金事件(福岡高那覇市判平成8年10月31日行集47巻10号1067頁)が【5】§232.02N&Q3から表題判例へ

第3編 法人税

  • §312.03 人格のない社団等

    • 掲載判例をネズミ講事件(福岡高判平成2年7月18日訟月37巻6号1092頁)からマンション管理組合事件(東京地判平成30年3月13日訟月65巻8号1228頁)へ変更

  • §312.04 法人成り

    • 引用文献を江頭憲治郎『株式会社法〔第6版〕』5頁(有斐閣、2015)より自由民主党・公明党『令和5年度税制改正大綱』へ変更

  • §324.02 債務の確定

    • 掲載判例を株式会社ケーエム事件(山口地判昭和56年11月5日行集32巻11号1916頁)からポイントシステム事件(東京地判令和元年10月24日裁判所ウェブサイト)へ変更

  • §330.01 税率

    • コラム「BEPS」から「BEPSからふたつの柱へ」へ改題

  • §340.02 行為計算否認の要件

    • 掲載判例を南日本高圧コンクリート株式会社事件(福岡高宮崎支判昭和55年9月29日行集31巻9号1982頁)からユニバーサルミュージック株式会社事件(最判令和4年4月21日民集76巻4号480頁)へ変更

第4編 相続税・贈与税

  • §441.01 時価の評価方法(【5】「時価の意義」から改題)

    • 掲載判例をニチアス株式負担付贈与事件(東京高判平成7年12月13日行集46巻12号1143頁)からマンション評価事件(最判令和4年4月19日民集76巻4号411頁)へ変更

削られた箇所

第1編 租税法の基礎理論

  • 【5】第1章 租税法と憲法→章ごと削除。コラム「国税に関わる『お役所』」は【6】第1編第1章「租税法律主義」末尾に収録。

    • §111.01 租税立法の違憲審査基準(大嶋訴訟)→【6】§121.01に同タイトルで収録。

    • §112.01 スポーツ・娯楽と課税(ゴルフ場娯楽施設利用税事件:最判昭和50年2月6日判時766号30頁)→【6】掲載なし。

    • §113.01 宗教的・文化的行為と課税(奈良県文化観光税条例事件:奈良地判昭和43年7月17日行集19巻7号1221頁)→【6】掲載なし。

    • §114.01 酒類販売免許制度の合憲性(酒類販売免許制合憲判決:最判平成4年12月15日民集46巻9号2829頁)→【6】掲載なし。

  • 【5】第2章 租税法律主義

    • §121.01 租税法律主義の意義と機能(固定資産税名義人課税主義事件:最大判昭和30年3月23日民集9巻3号336頁)→【6】§111.01N&Q1(1)に収録。

    • §123.02 地方税条例主義と課税要件明確主義(秋田市国民健康保険税事件:仙台高秋田支判昭和57年7月23日行集33巻7号1616頁)→【6】§111.01N&Q4(1)に収録。

  • 【5】第4章 租税法の法源

    • §140.01 租税法の法源(金子宏「租税法と告示」)

    • §140.03 アドヴァンス・ルーリング(金子宏「財政権力ーー課税権力の合理的行使をめぐって」)

    • コラム 現行の文書回答制度

  • 【5】第5章 課税権の範囲→章ごと削除。

    • §150.01 法律の施行地(オデコ大陸棚事件:東京高判昭和59年3月14日行集35巻3号231頁)→【6】§115.01N&Q7において5版の参照を指示(引用なし)。

  • 【5】第6章 租税法の解釈と適用

    • 第3節 私法取引と租税法→節ごと削除。

      • §163.01 税負担に関する錯誤(錯誤による財産分与事件:最判平成元年9月14日判時1336号93頁)→【6】掲載なし。

      • §163.02 取得時効の遡及効と租税法(土地時効取得事件:静岡地判平成8年7月18日行集47巻7=8号632頁)→【6】225.01(時効による取得と一時所得)へ移動。

    • 第4節 租税回避と否認の可否

      • §164.03 正当な事業目的の原理ーーグレゴリー事件(金子宏「租税法と私法ーー借用概念及び租税回避について」のうち、グレゴリー事件に関する箇所)

    • 第5節 租税法の適用と事実認定→節ごと削除。

      • §165.01 事実認定による課税の違い(丸紅飯田事件:東京高判昭和55年5月29日行集31巻5号1278頁)→【6】掲載なし。

    • 第6節 租税法における信義則

      • 166.02 固定資産税非課税規定と信義則(文化学院事件:東京高判昭和41年6月6日行集17巻6号607頁)→【6】§144.01N&Q3において、先行裁判例として指示(引用なし)。

第2編 所得税

  • 第1章 所得税の基礎

    • 第3節 所得の帰属

      • §213.04 組合員の所得の計算方法(組合員所得通達課税事件:東京地判平成23年2月4日判タ1392号111頁)→【6】§231.04へ移動。

  • 第2章 所得分類

    • 第1節 利子所得・配当所得

      • §221.01 利子所得の意義(協和興業事件:東京高判昭和39年12月9日行集15巻12号2307頁)→【6】§221.01N&Q4において、所得税法上の「預金」の意義に関する先行裁判例として指示(引用なし)。

    • 第4節 不動産所得・事業所得

      • §224.03 事業所得の範囲(嶋モータース事件:名古屋高金沢支判昭和49年9月6日行集25巻8=9号1096頁)→【6】掲載なし。

  • 第3章 所得の計算と年度帰属

    • 第2節 年度帰属

      • §232.02 権利確定主義(2)ーー発展問題(金子宏「所得の年度帰属ーー権利確定主義は破綻したか」)

    • 第4節 必要経費の範囲(※6版では「必要経費に関する別段の定め」へ変更)

      • §234.01 売上原価(鉄骨財取得価額事件:最判昭和30年7月26日民集9巻9号1151頁)→【6】§324.01N&Q4において、所得税法上の売上原価に関して判示した判決として5版を指示(引用なし)。

      • §234.02 減価償却費(ビニール畳表実用新案事件:広島地判昭和51年3月16日行集27巻3号314頁)→【6】掲載なし。

  • 第4章 所得税額の計算

    • 第3節 税額の計算

      • §243.02 『シャウプ使節団 日本税制報告書』

第3編 法人税

  • 第2章 法人所得の意義と計算

    • 第1節「法人所得の意義」

      • §321.03 収益計上の時期(タイミング)(大竹貿易株式会社事件:最判平成5年11月25日民集47巻9号5278頁)→【6】§322.01N&Q3へ(反対意見を除いて引用)

      • §321.04 売買目的有価証券の時価評価(渡辺裕泰『ファイナンス課税〔第2版〕』

    • 第2節 益金の意義

      • §322.05 法人税法22条2項にいう「取引」(オウブンシャホールディング事件:最判平成18年1月24日訟月53巻10号2946頁)→【6】§322.03N&Q5に「法人税法22条2項にいう『取引』」として紹介(引用なし。5版を指示)。

  • 第4章「同族会社の特例」

    • §340.04 所得税法における行為計算否認規定(パチンコ平和事件:最判平成16年7月20日訟月51巻8号2126頁)→【6】§340.02N&Q6(2)において、所得税法157条の趣旨・適用場面に関する判示部分のみ紹介。

第4編 相続税・贈与税

  • 第1章 相続税

    • 第3節 課税物件

      • §413.04 みなし相続財産(2)ーー特別縁故者への財産分与(特別縁故者財産分与事件:大阪高判昭和59年11月13日訟月31巻7号1692頁)→【6】§413.03N&Q5(6)にて事実・判旨引用。

  • 第2章 贈与税

    • 第2章 課税物件

      • §422.02 贈与契約の無効・取消し・解除等(相続税節税錯誤事件:東京高判平成13年3月15日訟月48巻7号1791頁)→【6】掲載なし。

      • §422.04 みなし贈与財産(2)ーーは行増資(淡路屋増資事件:神戸地判昭和55年5月2日訟月26巻8号1424頁)→【6】§422.02N&Q4(2)において事案と結論のみ紹介。

その他新規に収録された判例(引用されたもの)

  • §141.01N&Q2 堺市溜池跡地事件(最判平成27年7月17日民集69巻5号1253頁)

  • §222.01N&Q2(3) タキゲン株式低額譲渡事件(最判令和2年3月24日訟月66巻12号1925頁)

  • §224.01N&Q3 赤堀農協債務免除事件(東京地判平成30年4月19日判時2405号3頁)

  • §441.01N&Q5(3) 建替え予定マンション贈与事件(東京高判平成27年12月17日訟月62巻8号1404頁)

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