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『シン・ウルトラマン』雑感レビュー?

一言で評するなら、「ここから始まる」物語

「ウルトラマンを見たことない人にも〜」みたいなフレーズもよく見かけるけど、大掴みに本作の位置付けを考えるなら、「再発見」とか「再スタート」かな。『ウルトラQ』も含めて半世紀以上が経ったシリーズものに、門外漢な一見さんも、かつて見ていたお戻りさんにも「いらっしゃい」と門戸を開くのが一つの試みというか、目的なんだろうな。

このタイミングで、円谷のサブスクが入会しやすくなってるらしいし、今作を機に過去のシリーズ作品や最近の完結済みのニュージェネ作品、あるいは夏から始まる新TVシリーズを視聴するという流れもあるでしょう。

物語の世界観的にも、まだまだ続編ができる仕掛け、きっかけはあったように思うし、続編を期待する声も実際にありそうだし、『シン・ウルトラマン』としても、ここから始まるお話だった気もする。

「日本の特撮、なめんじゃね〜ぞ」な気概を感じた

個人的には、「低予算ゆえの苦肉の策」的な要素もあるいわゆる着ぐるみというか、スーツを着てセットを組んでのアナログと職人技溢れるスタイルの方が好きだけど、ハリウッドも見越したモーションアクター+VFXだって良いもん作れるんだぜ、ってのを見せてくれた感もある。

もちろんアナログな操演、爆破もやってただろうし、こだわりの光線描写も多々あっただろうし。その上で、創意工夫で見せてたシーンも多々あった。予算がついたらもっとやれんぜ、とか、日本の巨大モンスター映画も悪くないでしょ、と『シン・ゴジラ』に続けて披露してくれた。

スマホで撮ったというインタビューも雑誌に出てたし、TVシリーズでもご活躍中の田口監督も「特撮の撮り方」的なコンテンツも出されてるし、クロスオーバー作品を手掛けてくれている坂本浩一監督の貢献もあって、日本の特撮も稼げる、世界へ打って出れるっていう状況作り、証拠づくりの一環でもあるんだろうなぁ、とも思う。

その分、お話的に物足りない感があったのも確かかな。

『平成ガメラ』の樋口監督と、オタク参加の庵野さん?

予告編からも若干出てたとは思うけど、世界観も含め、割と『平成ガメラ』っぽさもチラホラあった。その辺りは、「樋口監督カムバック」的な思いもあったのかな? このところ、ヒット作には恵まれてない印象の彼を引っ張り上げたい思惑と、スタジオカラー的にも作品の幅を広げたい思いとが相まって、今回の座組みになったんだろうね。

だから、「つまんないお話は嫌だ」と企画・脚本をやり、あとはオタク的に細かいところをこだわりたかったのかな。ありとあらゆるところに、「庵野秀明」のクレジットも載っていた。監修、プロデュースもやってるから庵野さんの思惑もかなり乗っかりつつの、基本は樋口さんって感じ?

本流らしいカタルシスは、『超ウルトラ8兄弟2(仮)』で?

2時間で最初から最後まで描く映画と、半年から1年かけて描くドラマシリーズの最終回とを直接比較しても、それは「なんか違う」になるだろうし、そもそもそういうお客さん向けには作られてないから、「そういうお客さん」的に物足りないのも仕方ないかな。

どうやらもう一本一般の方向け作品が進行中らしいけど、それも微妙に違うのかな。「そういうお客さん」としては、TDG25周年で全員出揃ってから、TDGと受け継いだ作品の客演作が来ることを期待して、そこまで熱い思いは取り置いておこうかな。

長野博にもう一回スパークレンスを掲げて欲しいんよ。
胸熱のがんばれシーンもおなシャス。

とはいえ、1本の映画としてはよく出来てた。ウルトラ(マン)の映画として見に行ってしまうと違うかもだけど、ウルトラシリーズの一作として見れば全然そんなことはない。

初登場シーンから、ちょっとずつAタイプ、Bタイプ、Cタイプっぽいマスクに変わってる気がするな〜、とか、昔ながらの人形使った撮影だったのかな〜と思うシーンがあったりとか。ぼーっと見てるだけでもキャストでニヤニヤする場面もチラホラあったので、長澤まさみ目当てで見に行くのは全然アリ。佳い映画でした。

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