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名称未設定世界観(仮)

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物書きとしての本格的な再起、奮起を考えた、既存作品の再構築世界で展開される一連のシリーズ。 各作品、全体の名称すら未決定。 とりあえず、プロローグ的な幕間の話を置いてみる。
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#幕間のメモランダム

織林の調書

 私が自分で持ち込んだティーセットを眺めていると、近くを通りかかった先輩が、後ろから声を…

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米利の独白

 宿直明けの屋外は、春の陽気に満ちていた。  報告業務をオレに任せ、一足先に勤務を終えた…

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江辺野の備忘録

 附属病院のロビーから自分の研究室へ一緒に移動してきた私に、小津教授は意地悪そうな笑みを…

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甲斐家の追想

 天気が良い九月半ばの連休だと言うのに、妻は里帰り出産で二、三日前から留守にしている。部…

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真境名の覚え書き

「本当に、良いんですかい?」  前歯の欠けた男は、しゃがれた声でそう言った。私は、「ええ…

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遊川の日誌 vol.3

 久しぶりに藤倉を連れ立って「街」の外へ出ると、彼は心身ともに相当疲弊しているように見え…

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藤倉の記録 vol.2

 詩恵留の力を借りて一時的に「街」を出た日から、彼女と顔を合わせる機会が格段に減った。私の身の回りの世話をしてくれる係も、他の女性研究員が担当になったらしく、リハビリの現場に付き添ってくれるのも、詩恵留以外の研究員だった。  ずっと世話を引き受けていた詩恵留とは異なり、彼女らはシフトを組んで定期的に入れ替わっているらしい。詩恵留のように自分の専門分野で目ぼしい能力を発揮している人材ではないらしく、新しく入っては出ていく下っ端の小間使い、寿退社を前提とする使い捨ての人材のようだ

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遊川の日誌 vol.2

 彼にノートを差し入れて数日すると、「外で話ができないか」との打診が来た。「街」から外へ…

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藤倉の記録 vol.1

 彼女をきちんと認識したのは、高校一年の春。「街」から外に出て進学した先で、同じ中学校出…

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遊川の日誌 vol.1

 もう何度目か分からない手術を終えた彼は、ひとしきり暴れた後、ようやく眠りに就いた。元の…