藤倉の記録 vol.2
詩恵留の力を借りて一時的に「街」を出た日から、彼女と顔を合わせる機会が格段に減った。私の身の回りの世話をしてくれる係も、他の女性研究員が担当になったらしく、リハビリの現場に付き添ってくれるのも、詩恵留以外の研究員だった。
ずっと世話を引き受けていた詩恵留とは異なり、彼女らはシフトを組んで定期的に入れ替わっているらしい。詩恵留のように自分の専門分野で目ぼしい能力を発揮している人材ではないらしく、新しく入っては出ていく下っ端の小間使い、寿退社を前提とする使い捨ての人材のようだ