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名称未設定世界観(仮)

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物書きとしての本格的な再起、奮起を考えた、既存作品の再構築世界で展開される一連のシリーズ。 各作品、全体の名称すら未決定。 とりあえず、プロローグ的な幕間の話を置いてみる。
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#奈落の擬死者たち

奈落の擬死者たち(仮) 第十九話

 ルリ子は、オレの目の前で忙しそうにしながら、時折こちらへ視線を向ける。自分の仕事で手一…

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奈落の擬死者たち(仮) 第十八話

 年末恒例のイルミネーションも終わり、クリスマスムード一色の神戸でマユミちゃんに連れ回さ…

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奈落の擬死者たち(仮) 第十七話

 野久保はかつて、子どもたちに誇れる父親でいたいと言っていた。自分の手は決して汚さないと…

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奈落の擬死者たち(仮) 第十六話

「それで、次に頼るのが私ってのはどういう風の吹き回し?」  ルリ子は目の前の棚を探りなが…

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奈落の擬死者たち(仮) 第十五話

 ついさっきまでいた対岸を、少し高いところから見下ろしている。間を流れる川は、両岸から降…

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奈落の擬死者たち(仮) 第十四話

「良い加減、しゃべったらどうだ?」  オレは向かいの席に座る小柄な男に言った。元の顔がど…

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奈落の擬死者たち(仮) 第十三話

 遊ぶ暇などないはずなのに、何故かオレは出会ったばかりの女を引き連れ、昼間から街中を歩き回っている。オフィスから少し離れたところにある府立高校の裏辺り、町工場が立ち並ぶエリアまでやって来た。  高層マンションの建設予定地として更地にされながら、その後の開発が進んでいない、関係者以外立ち入り禁止の私有地がある。それなりの公園程度の広さがあるココなら、多少暴れても大丈夫だろう。目隠しになりそうなフェンスも、周囲に張り巡らされている。  オレはこれから殺り合おうという相手を、中へ入

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奈落の擬死者たち(仮) 第十二話

 ロジャーについて何かを喋るまで独房生活から抜け出せないと思っていたが、その日のうちに自…

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奈落の擬死者たち(仮) 第十一話

「依頼人の身を案じるのは、そんなに可笑しいか?」  オレの言い分に、ルリ子はハッと息を呑…

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奈落の擬死者たち(仮) 第十話

 せっかく穴蔵生活から抜け出したというのに、目覚めた瞬間の肌寒さは、それほど変わらない。…

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奈落の擬死者たち(仮) 第九話

 大阪市の西側から、西宮のヨットハーバーまで。ロジャー氏の望み通りに、無理なく時間を割く…

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奈落の擬死者たち(仮) 第八話

 野久保と酒を酌み交わして以来に訪れたキツネ亭は、開店準備中ということもあり、随分と活気…

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奈落の擬死者たち(仮) 第七話

 やりかけの掃除と書類整理に区切りを付けると、オレは薄い上着を羽織りながら外へ出た。まず…

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奈落の擬死者たち(仮) 第六話

 徐々に迫り来る年末に備え、手が空いている間にオフィスで掃除と書類整理に励んでいると、ケータイが鳴った。電話の相手は牧からだった。 「野久保の遺体は、無事に処理されたそうだ」  彼は、研究所の関連施設へ赴いているらしい。彼も係員に又聞きした伝聞調だったが、「街」の手によって、野久保の遺体は適切に処置され、仲間の眠る専用の墓地へ埋葬されたようだ。  あのまま警察が処理していれば、身元不明の変死体で終わっていた。牧や刑部さんの尽力にも感謝しろよ、とオレは空のグラスに向かって呟いた

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