奈落の擬死者たち(仮) 第十一話
「依頼人の身を案じるのは、そんなに可笑しいか?」
オレの言い分に、ルリ子はハッと息を呑んで目を丸くした。
「とっても自然だわ。それが、その日出会って、一緒にドライブしただけの相手であっても、真っ当な反応ね」
納得したのなら、そのまま引き下がってくれれば良いのだが、ルリ子は「でも」と話を続ける。
「アナタの信条は一応、ハードボイルドじゃなかったかしら。依頼人とは言え、ほぼ赤の他人にそこまで思い入れる理由は、何なのかしら?」
「オレのやり方に、ケチをつけようって言うのか」
「