2231(仮) 第五話
再整備が進んでいても、舞洲の片隅、それも陸上競技場の裏まで来ると、人通りはほとんどない。近隣に商店も監視カメラもなく、死角としてはほぼ百点の場所。花束よりも、血まみれの死体の方が似合うよなと、不謹慎なことを考える。
目の前に並ぶ決して多いとは言えない花束、お供えの数に、入駒という人間の価値も見えてしまいそうだ。つくづく、自分という人間が嫌になる。こんなことを考えたり、手放したりするために花を添えに来たわけじゃないのに、ここで故人に思いを馳せることで、自分勝手な免罪符を得よ