ナインティナインについて

今年はナイナイにとって節目となる年だった。結成してちょうど30周年。そして今年の事件として、大きくはコロナ禍における岡村の失言、矢部の公開説教、そして岡村の結婚だ。
カジサックチャンネルでゲストに出た矢部はナイナイ第二章だと思っている、と語っていた。

彼らは出世が早すぎて苦労したコンビの先駆けだ。
彼ら以降、吉本で出世が早いコンビはロンブー、キングコング、オリラジと続いていく。
ナイナイはサッカー部の先輩後輩コンビ。夕焼けニャンニャンの話題から仲良くなったというから、やはり2人はお笑いで繋がっているのだろう。

最近は久しぶりにテレビでちゃんとした持ちネタのコントをやっていた。というのも、めちゃイケでのネタバトルの場面ではパクリネタでやり過ごしていたが、ちゃんとネタをやるのは久しぶりだっただろう。
ネタ番組の司会なども多いが、正月のような特別な時でも、2人は頑なにネタをやらなかった。
彼らのネタに関して言うと、デビュー当時のネタは岡村が動くネタが主流で、ドライブのネタなどが代表的。
天然素材時代のビデオで、MCハマーに扮した岡村が踊りまくって矢部のインタビューに答えるコントネタがあった。

岡村「アイ ライク ウッチャンナンチャン」

矢部「あ、ウッチャンナンチャンがお好きなんですか?ちなみにどちらが好きなんですか?」

岡村「松ちゃんのほう」

矢部「いやそれダウンタウン‼️」

というまさかの先輩芸人をネタにする場面もありつつ、雨上がりやFUJIWARA、バッファロー吾郎らが若手らしい動きまくるネタをやっている一方で、
道端に落ちているスーパーボールの気持ちを表現したネタや、靴が揃ってないと気が済まない異常な靴屋の店員を演じる少しシュールなコントなどもあった。

この辺りの芸風の変化について、カジサックチャンネルに岡村がゲスト出演した際に語っている。
そして、これは語られていない半分私の想像の部分もあるが、おそらく同期の
よゐこも岡村に対して影響を与えていると思う。

というものナイナイとよゐこはほぼ同期。そして立場や売れ方、芸風が大きく違う。
同じ大阪出身だが、ナイナイは吉本、よゐこは松竹芸能。
吉本はとにかく同期、先輩の数が多い。
天然素材では常に、リーダーの雨上がりやFUJIWARAなど先輩で実力者が常に脚光を浴び、ナイナイは数合わせの日陰的な存在だったと聞く。さらに、ダウンタウンや千原ジュニア、ぜんじろうら先輩との確執など、普通にやっていたらまず前に出て行くことができないかなり劣悪な環境で、ここからよく這い上がれたな、と思う。
ナイナイはハングリー精神が凄かったということで、とぶくすりやめちゃイケのメンバーに選ばれたと、当のよゐこが語っていたが、こんな環境ならそうなるだろう。
そしてこの辺りの岡村の戦略はいろんな媒体で語られている。

対するよゐこ。松竹芸能は今と違い、若手がほとんどいなかった時代。松竹を選んだあいつらは賢い、と岡村は後に語っている。
少し後輩にオセロやTKOなどがいるが、先輩のほとんどは大御所の寄席に出てるような芸人ばかりだったそう。
生意気盛りだったため、怒られたりネタの小道具を隠される、といった指導や多少の嫌がらせを受けるものの、芸風に対しての指摘はあまりなかったようで、それが幸いしてか、あのようなシュールなコントが生まれたのだろう。

めちゃイケでも、よゐこがネタをやった時に、かつて業界を震撼させたよゐこの世界をご堪能ください、的な紹介だった。東京でもそうだったのだから大阪でもかなり驚きの芸風だったであろう。
そんなナイナイとよゐこはめちゃイケ以前にABCお笑い新人グランプリの決勝で激突している。
この時、ナイナイがグランプリ、よゐこは審査員特別賞だった。

公開説教でも矢部から語られていたが岡村はプライドが高い。矢部のことをずっと下に見ていた、と語っていた。
これはよゐこに対しても感じることで、
めちゃイケでもナイナイがメイン。よゐこは同じメンバーではあるけれど、どこか脇役的な下に見ているフシがあった。
しかし、岡村はどこかでよゐこの芸風に対しての憧れが見え隠れしていた。

カジサックチャンネルでも、しきりにセンスが欲しい!バカリズム的なセンスがあればここまで苦労はしない!としきりに語っていた。
センスといえばかつてはよゐこがそうだった。しかしプライドの高い岡村。自分より下に位置している(と思っている)よゐこに対しての憧れなど、口が裂けても言えない。
それを誤魔化すかのように、事あるごとによゐこのセンスや、濱口のバカっぷり、有野がゲームで売れているのをいじり倒していた。
しかし、印象に残っているのは、めちゃイケのモー娘。の修学旅行の企画において、メンバーが岡村の応援に来ていた。
そんなメンバーに岡村が1人ずつビンタするシーンがあり、1人1人軽く叩いて、最後に有野にオチとして思いっきりビンタをし、一言
「俺はお前のことを天才だと思っていた!」と語っていたのが印象的だった。
これは本音だったのだろう、と思う。

もう辞めてしまっているが、99年あたりから、年一回大阪でナイナイライブを始めた。当時ネタをしなくなってしまったナイナイがお笑い的なストレスを発散するために始めたライブだ。
これはDVDとしての記録が残っている。当時はWOWOWの加入者と大阪でのライブでしか観られなかった。
当時の映像を見て思うのが、かなりブラックでシュールなネタが多い。
岡村、というよりナイナイらしいとも言える動きのネタは非常に少ない。
先日のぐるナイで久しぶりに披露したコントもここでやっていたネタだ。
テレビウケするネタというより、ナイナイがやりたかったネタがここに凝縮されてるような気がする。

岡村はもはやネタに関して勝負していない、という。確かに今のM-1などの賞レースを見ていると、こんなレベルの高い場所で勝負したくないのは当然だろう。
今の若手はネタの1分1秒に命を削っている。
しかしナイナイライブのコントを見ていると、短時間で爆発的に笑わせる今のお笑いとは真逆で、長尺でじわじわ変な世界観を見せていくコントが多い。
勝負というより、土俵が違う。
ただ、岡村は著書で番組で中川家の漫才を見て、自分たちも漫才したいな、という気持ちが芽生えたそうだ。
今の芸人のようなネタではなく、寄席でやるような長尺の誰でも楽しめる漫才。
確かに芸人としてネタ番組用ではなく、たまの営業とかで出来るネタを数本持っておくというのはとてもいいことだと思う。
NSC時代の講師の本多先生もナイナイのネタ作りに喜んで協力する、とのことだ。これは楽しみだ。

そして今回の失言騒動で、矢部の重要性が再認識された。
正直、ナイナイのラジオで、ネタのコーナーはハガキ職人が非常に優秀なのと、岡村の表現力が抜群なので面白いが、
フリートークに関して言えば残念ながら面白くはない。これは本人達も自覚しているし、キングコング西野も岡村さんはすべらない話に出れないと突っ込まれていた。
とはいえ、すべらない話というのはネタの一つだ。岡村も矢部も改めて面白い話をしてくれ、となれば芸人である以上、鉄板のものは数本は持っているはずではある。
ただ、さんまや鶴瓶のようにずっと面白い話をし続ける、ということは出来ない。
岡村はこれに対しても憧れはあるようで、鶴瓶の番組にゲストで出た時に鶴瓶ように日々起きた面白いことをメモするようになった、いつかトークライブもやりたい!とは言っていたが、鶴瓶は世間は岡村に対してそんなことは求めてないよ、と諭していた。

それはさておき、岡村1人のオールナイト時代のフリートークはニュースなどに対するご意見番のようになってしまっていてなんか悲しかった。毒舌芸人のようにそれが面白ければいいのだが、そうではなかった。1人で模索し、どこかで暴走していた。そもそもそういうトークが性に合ってないのだろう。そんな中に起きた失言事件。
公開説教を経て、岡村の軌道修正、そして、矢部が戻って来てからのフリートークだ。
面白い、というより2人揃ったときの安心感といったらなかった。
これこそが国民に愛されるナインティナインなのか、ということがなんとなくわかった気がした。
岡村は結婚したことで、さらに安定感が出てくるような気がする。
結婚出来ないネタや風俗ネタはもはや過去のネタ。
これからの第二章はどんなナインティナインになるのか、
お笑いファンのみならず、国民みんなが注目していきたいところだ。
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