キングオブコント2020感想(1stステージのみ)

ジャルジャルが優勝で幕を閉じた今大会。彼らにとっては悲願だっただろう、お笑い大会のタイトル。長い戦いだったと思う。素直に祝福したいと思う。
今大会はコロナの影響もあり、舞台数が少ないことから、完成されたネタが少ない印象を受けた。終わりもなんかふわっとしてるネタも目立った。
M-1もそうだが、この手のコンテストはとにかく必要である2本のネタを徹底的に磨きあげることが優勝への近道だ。
今回はなかなかそれが出来なかったようだ。コントの場合は漫才より、少し戦い方が異なる部分もある。
漫才と共通する部分としては笑いのポイントを増やす。
コントの世界観を押し出す、漫才よりフリが長くなりやすいので、回収をいかに爆発させるか、そしてバイきんぐのように爆発的なパワーワードやポイントを作る、ことが点数を稼ぎやすい。

パワーワードについては、滝音がもっと弾けていれば、トップでもさらに点を稼げたと思うが、バイきんぐと比べるのは酷。しかし、フレーズ自体は良かったので、磨きあげればさらによくなると思うので、今後に期待したい!

GAGは、よくもまぁこんなコントを思いついたものだ。中島美嘉が出てくるところはピークになってしまった。入れ替わるという設定はよくあるが、3人という特性を上手く使っていたとは思う。発想は良かったが、笑いどころが少なかったのが、点数に出てしまっていた。

ロングコードダディ。噂は聞いていたが初めて観た。コンテストに不向きなネタだと思う。個人的に好きなタイプの発想だがフリが長すぎた。もう少し2人のキャラを出しても良かった。フリの部分でも少し笑いが欲しい。最初にダンボールをどかしていく部分は面白さを伝える上で仕方ないが、2回目以降は笑いがないことでかなりタイムロスしてしまったように思う。

空気階段。霊媒師のネタ。周波数が似ていることでラジオの電波を受信してしまう発想はいい。まとまってはいたが、個人的には消化不良な感じはした。

ジャルジャル。新人歌手が野次に耐えるネタ。野次なのか本気なのか分かりにくいところで笑いをとってくる。
テンポは今まで一番良かった。コントというより漫才のテンポだ。両刀使いのいい部分と場数やキャリアがここで生きてきた。笑いの数も多かった。

ザギース。新聞配達をやめるおじさんにハープを聞かせるネタ。ハープがもう少し受けていれば良かった。ハープと紙切りがウケることがこのネタの生命線だったが、そこを少し外してしまっていたように思う。設定で笑わせるギースだが、少し趣向を変えて来たか。大好きなコンビなだけに今回はなんか惜しい。残念。

うるとらブギーズ。陶芸家のネタ。
うーん、そこそこ面白かったがネタ選びに失敗してしまったと思う。ジャルジャルもそうだが、持ちネタの多いコンビほど勝負ネタに困る。
個人的には本人達のYouTubeで出しているコンビニ店員のネタや、迷子センターのネタを出して欲しかった。
2本目に出すつもりはあったのかも知れないが、過去の大会は2本出来たが、最近の大会は3位以内に入らないと2本出来ない。つまり、一本目も3位までに食い込める確実にウケるネタでなくてはならない。
大会後に、うるとらブギーズのコンビニのネタを観たが、過去二回くらい見たのに、今大会のどのコンビのネタよりも笑ってしまった。

余談だが、立川志らく師匠の一番弟子に立川こしらという人がいる。エキセントリックで面白い落語家だが、本人がやりたいネタとお客さんにウケるネタにギャップがあった。ある時、真打昇進をかけたトライアルバトルがあった。
師匠である志らく師匠とお客さんの判定で真打に上がれるというイベントだ。
そこでネタ選びは、こしらを大きく評価している評論家の広瀬和生氏がやっていたようだ。広瀬氏は落語こそしないが、客目線のプロだ。彼のネタ選びのアドバイスを受け、こしらは真打昇進の大事な場面でダントツの客票を得ていた。志らく師匠の評価は低かったが、客が彼を評価しているということでその時に真打に昇進することができた。

うるとらブギーズもネタ選びに慎重になって欲しいと思った。もちろん第三者が選ぶネタが正解とは言わないが、主観だけで選んでしまうとせっかくのチャンスを失ってしまうこともあるからだ。
応援してるコンビなので、来年に期待したい!

ニッポンの社長は、そういう意味では好きなネタをとことんやっていた印象を受けた。ケンタウロスと馬の頭で人間(ミノタウロスか)の出会い。
歌ネタだが、ひたすらバカバカしくてよかった。初登場なら優勝をあえて狙わず、インパクトを残すということも大事だと思う。
ビジネス的観点から見ると、それで注目されて仕事が増えるから。優勝の名誉や賞金も大事だが、人生を賭けるのなら戦略も大事だ。せっかくゴールデンタイムで自分たちにスポットが当たる絶好のチャンスだ。一番を目指すのも、オンリーワンをアピールするのも同じくらい大事だと思う。

そしてニューヨーク。最近メキメキと頭角を表しているコンビ。テレビ出演も増えて、YouTubeも好調だ。結婚式のやり過ぎる余興のネタ。
個人的にすごくよかった。
バカバカしいし、非常に弾けていた。

ファーストステージのトリはジャングルポケット。
今や売れっ子トリオ。ネタをやるだけで、ほかのコンビにはない華やかさが出る。異常に自分の周りの事情に詳しい裏社会の人たち。ジャンポケらしい流れ。とても見やすい。楽しくていいコントだった。

決勝は空気階段、ニューヨーク、ジャルジャル。今回のネタなら妥当だと思った。

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