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重松清『せんせい。』

この本は本当によかった。
重松清の短編集で、主に学校を舞台とした、先生と生徒にまつわる物語。

あー、学生の頃似たようなことがあったなぁとか、あのとき先生はこんな風に考えてたのかな、とか、色々懐かしい思いになったり、
人間として考えさせられることであったり。

重松清の何がすごいって、よくこれを言葉にできるなっていう人間の細かい感情とか思いを、正確に文字にしているところ。
最近伊坂幸太郎とか原田マハを読んでて、こんなお洒落な表現があるんやって驚かされたけど、この人は、直球勝負。飾り気のない素直な気持ちを書いてるなと思った。
読んでいて何回も涙出そうになったし、グッと胸にくるものがあった。

中でも「にんじん」という話が印象に残っていて、先生だけど人間なところ。完璧ではないことを書いた話。
簡単に言うと、先生の目線から語られていて、どうしても好きになれない生徒との話。
書けば簡単やけど、その話の中には
自分でもダメやと分かっていても、論理的にあかんと思ってても湧き出てしまう負の感情であったり、愛であったり、
こんなん初めて。っていう感じの話。

重松清これから読んでいこーっと。