FP1級基礎2024年9月+α 1/6様
FP1級学科試験 2024年9月 基礎編
この度はお立ち寄りいただきありがとうございます。
2024年9月に実施されました学科試験の基礎編の私見を書かせていただきました。
今回は、年金分野の問1~問8までになります。
また、これまでどおり下記のテキストでの取り上げ具合もざっくりではありますが数えてみました。テキストの取り上げ具合ですが、これまで何度かカウントをしてみましたが、今回の直撃率が最も高かったようです。
ただ、計算問題はすべてAで数えていますので、その辺りを差し引くともう少し難易度は上がる感じがするかもしれません。。
それでも、消去法で解答ができそうな問題も幾つかあり、また、推測からなんとかという問題も見かけました。
過去に出題されていたまたはされていたような気がするけれどまだ見つけることができない問題も上乗せできれば、そこそこの点数をものにできていたかもしれません。
また、今回のポイントとしては、計算問題と複数選択問題(?)でした。
計算問題は、純粋なところで6問出されていて、解くための思考が似ているような気がする定期保険の経理処理も含めると7問でした。
そのほとんどが、2024年5月で出題されたような突拍子もないことろからのぶち込みではなく、基礎的な知識(または基礎的な知識の定着度合い)で迎え撃てる範疇に収まっていました。
特に、問20損益分岐点に関する問題で、しょっぱなに閃光が(経営安全率)炸裂して一瞬目が眩みましたが、正答は見慣れたところで傷は拡がらずにすみました。
ただ、計算問題は、一度道を迷いだすとなかなか元の道に戻れないなど手強くもあります。
また、複数選択を求める問題(問15、18、31)のうち特に問18(投資信託基準価額)は見慣れない問題の一つでした。
他にも、印紙税など見かけないところも出されましたが今回はそれほど印象強い感じでもなかったような気がします。
テキストに正解が直接書かれていた問題をカウントしてみた結果は以下の通りです。最新版はまだ一つしか仕入れていませんので、テキスト(B)は昨年版でカウントしてみました。
[Ⅰ]テキスト直撃率
書籍(A) 「’24~’25版 FP1級技能士学科合格テキスト」→37/50 74(%)
書籍(B) 「’23~’24版 みんなが欲しかった!FPの教科書」→32/50 64(%)
(書籍名の使用は出版社より了解をいただいています。ご対応いただきましたご担当者様には改めてお礼を申し上げます)
なお、3冊を購入するのはきつくなってきましたので、今回より上記の2冊にさせていただこうと考えています。
テキスト(B)は近々購入するつもりです。
[Ⅱ]テキストや過去問などで正解が導き出せそうな問題について
●正解を取れそう。
A:テキストにあるし見慣れたところ:下記以外34問
B:正解以外テキストに回答有り(消去法可):問2、問9、問28、問32、問46、問48、合計7問
C:過去に出題されている:問49 合計1問
D:感覚で回答できる:問31、問40 合計2問
●難問になりそう。
E:テキストにあるけれど文面をなぞって終わる可能性がある:問26 合計1問
F:改正等(直近):問 合計0問
G:見覚えないorあやふや:問18、問23、問30、問33、問38、 合計5問(問30資本的支出は過去に見かけた気がするのですが見つけられませんでしたのでGにしました)
正解が可能と思えるのは、A~Dの44問のようでした。44/50 88%
計算問題を4問しくじったとして、40/50 80%でした。
題名にあります+αは以下の通りになります。
【周辺情報等】テキストではみかけるのに又は見かけないけれど、のところの情報。
【法改正等】ここ数年の間に法律が出来たり変わったりまた何か動きがあって、探し当てられた情報。
【問ア、問イ…】応用問題の穴埋めで過去に出題されているところを絡めた一問一答。
なお、こちらに関することは私見の域をでていませんので、気になるところがありましたらお調べ直していただきますようお願いいたします。
また、試験問題の使用は了承をいただいていませんのでお手数ではありますがお手元にご用意いただけますと助かります。
どうぞよろしくお願いいたします。
問1 ③ A 独占業務について
肢1、〇 設問通りです。「業」とは「反復継続して行い、又は反復継続して行う意思をもって行うことをいい、必ずしも有償であることを要しない」(基通2-1)こととされています。また、「相談に応ずる」とは、「租税の課税標準等の計算に関する事項について、具体的な質問に対して答弁し、指示し又は意見を表明すること」(基通2-6)をいいます。テキスト:(A)P2(B)P
◆「税理士の業務」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/qa/02.htm
肢2、〇 設問どおりです。
不動産鑑定評価とは、「土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、その結果を価額に表示すること」(不動産の鑑定評価に関する法律第2条第1項)です。
そして、「他人の求めに応じ報酬を得て、不動産の鑑定評価を業として行うこと」が「不動産鑑定業」と定義され、不動産鑑定士(不動産鑑定士補を含む 以下同様。)以外の者が鑑定評価を行ってはならないとされています。(下記◆参照)テキスト:(A)P3(B)P
◆「不動産鑑定評価の基礎知識」:(一般財団法人日本不動産研究所ホームページより)
https://www.reinet.or.jp/?page_id=372
肢3、× 設問の「労使紛争に関する訴訟手続きの代理」は訴訟に関する業務になりますので原則(肢4参照)として弁護士の独占業務になります。
社会保険労務士は、定められた研修を修了し、試験に合格した特定社会保険労務士となることにより「個別労働関係紛争の解決手続(調整、あっせん等)の代理」を行えますが、訴訟ではなく調整、あっせん等までになります。テキスト:(A)P3(B)P
◆「社会保険労務士の適正な業務の確保について」:(大阪労働局・大阪府社会保険労務士会ホームページより)
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/library/osaka-roudoukyoku/H25/kantoku/251203.pdf
肢4、〇 テキスト:(A)P2(B)P
司法書士の独占業務は以下の通りです(司法書士法第3条第1項第1号~第5号、第73条第1項)
《司法書士の独占業務》
*登記又は供託に関する手続の代理
*法務局に提出する書類の作成
*これらの審査請求の手続の代理
*裁判所又は検察庁に提出する書類の作成
*上記に関する相談
そして、司法書士法第3条第8項において「司法書士は、第1項に規定する業務であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うことができない。」ともされています。
つまり、他の法律に別段の定めがある場合はそちらが優先されることになります。
以下の業務がその代表的なところだそうです。
*土地家屋調査士は、土地家屋調査士法第3条に基づき、不動産の表示に関する登記の手続代理をします。
*弁護士は、弁護士法第3条の「その他一般の法律事務」として、登記申請代理業務を行うことが認められています。
司法書士は、法務大臣の認定を受けることにより「簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟、民事調停、仲裁事件、裁判外和解等の代理及びこれらに関する相談」の業務が可能になります。
◆「司法書士の業務」:(日本司法書士連合会ホームページより)
https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/business.html
【周辺情報】グリーンリフォームローン:断熱性・省エネ性を高める省エネ専用リフォームローンです。新築は2025年4月建築よりすべての建物に省エネ基準の適合が義務付けされます。また、既存住宅も省エネ基準へのリフォームが推奨されてきています。
そこで、一定の要件を満たす省エネや断熱工事用の融資が住宅金融支援機構で新設されました。テキスト:(A)P×(B)P×※(※リスク分野)
《対象物件》・契約者の居住住宅。・セカンドハウス。・本人または配偶者(婚約者、内縁関係・パートナー等は対象外)の直系親族。(限定的に3親等内の姻族)
《条件》(年齢)79歳未満、親子リレーは79歳以上可能。(年収)400万円未満で30%以下、450万円以上で35%以下です。
《融資限度額》500万円(省エネ工事の2倍が限度。例:省エネ工事200万円、その他の工事300万円の場合、200万円×2=400万円が限度となります。)
《融資の対象となる工事》
(必須工事)必須工事に加えてその他の工事も限度額内で対象になります、
*断熱改修工事。省エネ設備設置(交換)工事⇒「グリーンリフォームローン」対象。
*住宅内の1区間をZEH水準とする断熱改修工事「グリーンリフォームローン」S(金利引き下げ)対象。
《その他》・融資手数料無料、担保・保証人不要・60歳以上には利息のみの返済ができる高齢者返済特例(ノンリコース型)があります。
◆「グリーンリフォームローン」:(住宅金融支援機構ホームページより)
https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/grl/index.html
【改正等】令和6年度より後期高齢者医療保険の仕組みに一部改正がありました。
後期高齢者医療保険より出産育児一時金に要する費用の一部を支援する仕組みが始まりました。支援分は「出産育児一時金に必要な費用のうち一部(7%)を、後期高齢者の保険料から支援することとし、急激な負担とならない方策として令和6・7年度については、後期高齢者は半分の3.5%になります」
また、同時に負担を和らげるために以下の措置もとられています。
(ⅰ)被保険者の約6割の方(例:年金収入153万円相当以下の方)は、制度見直しに伴う増加はありません。
(ⅱ)一定以下の収入の方(例:年金収入153万円~211万円相当の方)は、収入に応じてご負担いただく定率部分(所得割)について、令和6年度は制度見直しに伴う増加はありません。
(ⅲ)収入が高い方(約1000万円を超える方)は、保険料負担の年間上限額(賦課限度額)について、段階的に引き上げられます(令和6年度は73万円、令和7年度は80万円)。
また、令和6年4月1日より、国民健康保険税の後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額が現行の22万円から24万円に改正されています。
今回の改正によりそれぞれの課税限度額は、
国民健康保険限度額:65万円 後期高齢者限度額:22万円⇒24万円 介護保険限度額:17万円 になりました。
◆「令和6年からの後期高齢者医療の保険料について」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_00009.html
◆Ⅱ「国民健康保険法施行令の一部を改正する政令の公布について(通知)」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc8236&dataType=1&pageNo=1
【問題ア (a)にはいる数値は】傷病手当金支給額は、支給開始日以前の連続した12ヶ月間の標準報酬月額の平均額を(a)で割った額の3分の2になります。
(答え:信用取引の委託保証金の必要最低金額(万円)と同じ数値です。)単位違い
問2 ② B 後期高齢者医療保険について
肢1、× 生活保護を受けている方は、医療費が扶助されますので後期高齢者医療保険から除かれます。テキスト:(A)P32(B)P
◆「生活保護の医療扶助について」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1104-3b_0002.pdf
肢2、〇 年金収入のみで年間収入が153万円以下の場合、所得割は賦課されません。テキスト:(A)P31(B)P
◆「よくわかる後期高齢者医療制度」P4 ※3個目:(熊本県後期高齢者医療広域連合ホームページより)
https://www.kumamoto-kouikirengo.jp/information/pdf/leaflet_10_h31.pdf
肢3、× 現役並み所得者の負担金割合は、3割です。現役並み所得は、「世帯内に課税所得の額が145万円以上の被保険者がいる場合」を基にして単身世帯のケース、二人以上世帯のケースにおける収入の合計額(所得税法上の収入額であり、公的年金等控除、必要経費等を差し引く前の金額)で判定します(下記◆Ⅰ参照)。
なお、2割負担を判定するときの世帯収入は合計所得金額等で判定します。(下記◆Ⅱ参照)テキスト:(A)P32(B)P
◆Ⅰ「医療保険制度の「現役並み所得者」について」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000033002.pdf
◆Ⅱ「後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しについて(お知らせ」3ページ(▪)2個目;(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000977090.pdf
肢4、× 後期高齢者医療保険でも、広域連合をまたいで病院や施設等に入所し住民票を移した場合は、被保険者(保険料を納めていた)時の住所地の保険者から給付を受けます(住所地特例)。
保険料の納付は別の住所地で行われていて給付のみを住民票の移し先の保険者となる負担を避けるための措置になります。
住所地特例は、国民健康保険、公的介護保険でも適用されます。ただ、国保・公的介護は市町村単位のところ、後期高齢者は後期高齢者医療広域連合(都道府県内)単位で適用されます。テキスト:(A)×P32(B)P(×公的介護保険の説明有P35)
【周辺情報】労働者災害保険法について。「労災保険は、仕事上や通勤によるケガや病気に対して、必要な補償給付を行う制度」になります。テキスト:(A)P36~(B)P
《被保険者》個人、法人および短期労働者、季節労働者、パート、アルバイトなどの区別をすることなくすべての労働者が対象になります。
《保険料》事業者全額負担です。
《業務災害》業務災害には、業務と傷病等の間に一定の因果関係にあることが必要で、それを「業務上」と呼んでいます。
一定の因果関係とされるのが「業務遂行性」と「業務起因性」になり、その両方の要件を満たしているときに認められます。
《通勤災害》通勤とケガ、病気に因果関係があることが必要です。また、合法的な経路および方法により住居と就業場所を通勤していることも必要になります。その経路を中断または逸脱した場合はその中断・逸脱のあいだとそれ以後は対象外になります。
住居は単身赴任の住まいや介護を行う両親の住居(継続性が必要)なども住居となります。また、就業場所も営業の直行直帰における最初の訪問先までや最後の訪問先から住居までなど、また、事業主が異なる複数事業所間の移動も原則として通勤とされています。
なお、日用品の購入や理容・美容など厚生労働省令で定める行為の場合は、合法的な経路から逸脱等しても合法的な経路に戻ってきた場合、それ以降は対象になります。
《第三者行為災害》業務中(通勤中)に工事現場の資材が当たりケガをしたなど、「労災保険給付の原因である災害が第三者の行為などによって生じたものであって、労災保険の受給権者である被災労働者またはその遺族に対して、第三者が損害賠償の義務を有しているものを「第三者行為災害」といいます」(下記◆Ⅰ参照)
『第三者行為災害に関する労災保険給付の請求に当たっては、労災保険給付の請求書とともに「第三者行為災害届」などの関係書類を提出します』
『第三者行為災害届は、第三者行為災害であることが業務または通勤による災害であるか否かの判断を左右するものではありませんが、正当な理由なく「第三者行為災害届」を提出しない場合には、労災保険の給付が一時差し 止められることがあります』とされています。
《給付内容》その状況により、「療養(補償)等給付」「休業(補償)等給付」「障害(補償)等給付」「遺族(補償)等給付」「葬祭料等」に分かれます。
また、給付分類も「保険給付」「特別支給金」があり、「保険給付」は「給付基礎日額」で見積もられ、「特別支給金」は「算定基礎日額」が見積の基礎になります。
「給付基礎日額」以前3ヶ月の賃金総額÷以前に3ヶ月間の総日数
「算定基礎日額」算定事由発生日以前1年間の特別給与(賞与)の総額を365で割った金額です。
☆労災給付事業のほかに「社会復帰促進等事業」も行っています。(下記◆Ⅱ参照)
◆Ⅰ「労災保険給付の概要」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001241566.pdf
◆Ⅱ「労災補償」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/index.html
【改正等】令和7年度より「多子世帯(3人以上)の学生等について、大学等の授業料・入学金を無償とする制度」が始まります。
《開始時期》令和7年より。(令和6年以前に在学中も対象)
《所得要件》所得制限はありません。
《対象世帯》子供3人以上の世帯。
《減額支援》授業料70万円、入学金26万円
《対象となる学校》一定の要件を満たした大学、短大、高専、専門学校です。
《学業要件》(下記◆Ⅱ参照)
学業要件が定められていて、その要件を満たさない場合に、警告および廃止(打ち切り)の措置がとられます。
*出席率:8割以下で警告、6割以下で廃止。
*修得単位数が7割以下で警告、6割以下で廃止。
*成績評価が下位4分の1で警告。
*警告要件2回連続で廃止。(成績評価のみの場合は次の判定まで支給停止)
◆Ⅰ「大学等の無償化子ども3人以上の世帯への支援を拡充します!」:(文部科学省ホームページより)
https://www.mext.go.jp/content/20240704-mxt_gakushi_100001505_2.pdf
◆Ⅱ「高等教育の修学支援新制度」:(文部科学省ホームページより)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm
【問題イ (a)に入る数値は】法律の改正により年金の繰下げが75歳まで可能になりました。(a)歳以降に老齢厚生年金を請求する場合に繰下げ請求をしないときは、みなし繰下げ制度が適用されます。
(答え:取引き相場のない株式の評価において大会社とされる従業員の人数と同じ数値です)単位違い
問3 ③ A 雇用保険基本手当について
肢1、× 会社の倒産など本人の都合ではなく離職したときは、原則として離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上が雇用保険の基本手当支給の要件になります。
被保険者期間とは、賃金の支払の基礎となった日が11日以上または労働時間数が80時間以上となることです。テキスト:(A)P47(B)P
肢2、×基本手当の支給を受けるためには、離職者の住所を管轄する公共職業安定所に出向いて手続きをとります。設問にある、事業所の所在地を管轄する、は誤りです。テキスト:(A)△P47(B)P(△ハローワークとだけなっている)
肢3、〇 基本手当日額は「最後の6ヶ月に支払われた賃金総額(賞与除く)÷180」で求めますが、年齢に応じた割合が定められています。テキスト:(A)P49(B)P
(60歳未満)賃金日額×50%~80%
(60歳以上)賃金日額×45%~80%
肢4、× 60歳以上の定年退職者は、離職後2ヶ月以内に申請をすることで、受給期間(原則1年間)を最大2年間まで延長できます。(通常1年+延長分1年)テキスト:(A)P48(B)P
【周辺情報】2022年1月1日より雇用保険において、「マルチジョブホルダー制度」が開始されました。
《マルチジョブホルダーとは》複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、一つの事業所で雇用保険の加入条件を満たさなかったとしても、複数の事業所のうち二つの事業所において一定の要件を満たすことにより雇用保険の被保険者になれる制度です。テキスト:(A)P46(B)P
(要件)複数の事業所のうち事業所を二つ選び、
(ⅰ)二つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
(ⅱ)2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること、になります。
(手続き)住所または居所を管轄するハローワークに本人が手続きをします。手続きをしたその日より被保険者となります。
《給付金》離職をする日以前一年間に通算して6ヶ月以上の被保険者期間があること。
*要件を満たすことにより、基本手当日額の30日(被保険者期間1年未満)または50日分(被保険者期間1年以上)を一時金で受取れます。
*基本手当額=離職日以前6ヶ月の日額総額÷180×50%~80%
《注意》
*事業所のうち一方を退職して、その後に再就職をした事業所と残りもう一方の事業所がマルチジョブホルダーの対象になる場合は、そのまま雇用保険の被保険者期間として継続します。
*一方の事業所を退職して雇用保険の申請をした場合、給付金の算定は退職をした事業所の実績のみで行います。
*そのほか、育児休業給付・介護休業給付・教育訓練給付等も対象になります。
◆「雇用保険マルチジョブホルダー制度を新設します」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000838540.pdf
【改正等】雇用保険の「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」の給付割合が2024年10月1日より一部改正されます。(下記◆P5参照)
《共通要件》*被保険者であった期間が3年以上(初回のみ2年以上)あること。*受講開始時点で被保険者でない場合は、被保険者喪失から1年以内(期間の延長が行われた場合は最長20年)であること、*教育訓練の受講開始1ヶ月前までに訓練前キャリアコンサルティングをうけ職務経歴等記録書(ジョブカード)を作成すること、等です。
☆特定一般教育訓練給付金
《給付額》教育訓練経費の40%相当額(年間20万円が上限)
⇒2024年10月1日より「資格取得し就職等した場合に10%を追加で支給」されます。
☆専門実践教育訓練給付金
《給付額》教育訓練経費の50%相当(年間40万円が上限)。また、資格取得等の上で就職に結びついた場合は、20%追加され70%(年間56万円が上限)が支給される。
⇒2024年10月1日より「訓練の受講後に賃金が上昇した場合に、10%が上乗せ支給」され、最高80%の給付率になります。
◆「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001255172.pdf
【問ウ (a)にはいる数値は】経営セーフティ共済の一時貸付金は機構解約の場合に支払われる解約手付金の(a)%が限度になります。
(答え:2007年3月31日以前に取得した有形減価償却資産は旧定額法や旧定率法により償却しますが、その償却費を計上できる限度割合と同じ数値です。)
問4 ① A 標準報酬月額について。
肢1、× 標準報酬月額は4月、5月、6月の3ヶ月に支払われた報酬を基礎として標準報酬が決定され、その年の9月から翌年の8月まで使われます。(定時決定)
なお、報酬の範囲は、基本給に加えて勤務地手当、家族手当、通勤手当等労働の対価として事業所から受取る現金および現金以外のすべてが対象になります。年4ヶ月以上で支払われる賞与も標準報酬月額の対象となります。テキスト:(A)P24(B)P
肢2、〇 厚生年金の等級表は1等級から32等級までになります。32等級は、635,000以上が対象となり、標準報酬額は65万円です。
設問にある標準報酬月額が100万円は32等級なので設問通りになります。テキスト:(A)P58(B)P
◆「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)」;(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/ryogaku/ryogakuhyo/20200825.files/R06ryogaku.pdf
肢3、〇 厚生年金保険の標準賞与額は、設問の通り、1,000円未満切り捨てて、一月につき150万円までが保険料を求める上限になります。テキスト:(A)P24(B)P
肢4、〇 保険料率は18.3%で事業主との折半です。ただ、第4号厚生年金被保険者(私立学校の教職員)は2027年度に保険料率が同じになります。テキスト:(A)P58(B)P
☆標準報酬月額・標準賞与額とは
《標準報酬月額》厚生年金、健康保険、介護保険(会社員、公務員等)の保険料を求める際のベースになります。
定時決定の標準報酬月額の求め方は以下の通りです。(短時間就労者除く)
算定対象月である4月、5月、6月の算定基礎日数は17日以上がベースになります。17日以上の一定のルールで判定をして、次に15日以上17日未満の決まりごとになり、その次に11日以上で算出します。
*等級(健康保険・介護保険)1等級から50等級 (厚生年金)1等級から32等級
*報酬の範囲
「標準報酬の対象となる報酬は、基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等、労働の対価として事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。なお、年4回以上の支給される賞与についても標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。」(下記◆より)
《標準賞与額》健康保険は年間(4月1日から翌年3月31日)573万円まで。厚生年金は、1ヶ月につき150万円までで算出します。
◆「標準報酬月額・標準所与額とは」:(協会けんぽホームページより)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3165/1962-231/
【周辺情報】雇用保険にある就職促進給付とは、一定の要件のもと、再就職にむけて活動を行ったり再就職された場合に、給付金を支給する制度です。
《就業手当》令和7年3月31日で廃止されます。(下記◆参照)
《再就職手当》本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。支給額は、所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額(一定の上限あり)となります。
《再就職定着手当》就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた人が、引き続きその再就職先に6か月以上雇用され、かつ再就職先で6か月の間に支払われた賃金の1日分の額が雇用保険の給付を受ける離職前の賃金の1日分の額(賃金日額)に比べて低下している場合、就業促進定着手当を受取れます。
そのほかのところでは、
《常用就職支度手当》基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満である基本手当受給資格者や高年齢受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者のうち、障害のある方など就職が困難な方が安定した職業に就いた場合で、一定の要件を満たした場合に受取れます。
*支給額:「90(原則として基本手当の支給残日数が90日未満である場合には、支給残日数に相当する数(その数が45を下回る場合は45))×40%×基本手当日額」(上限有)
《移転費》ハローワーク等の紹介による職業に就くためまたはハローワークの所長が指示した職業訓練を受講するために住所又は居所を変更する必要がある場合に、受給資格者本人とその家族(その者により生計を維持されている同居の親族)の移転に要する費用を支給することです。
《広域求職活動費》ハローワークの紹介により遠隔地にある求人事業所を訪問して求人者と面接等をした場合支払われるもので、交通費及び宿泊料になります。
《求職活動関係役務利用費》受給資格者等が平成29年1月以降に求人者との面接等をしたり、教育訓練を受講するため、子について保育等サービスを利用した場合に、保育等サービスの利用のために本人が負担した費用の一部(上限額あり)を支給される制度です。
◆「就職促進給付」:(ハローワークホームページより)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_stepup.html
【改正等】雇用保険法が一部改正され、2025年4月1日施行されるものも幾つかあります。
☆2025年4月1日施行日
(イ)自己都合離職者の給付制限が見直されます。(下記◆P4参照)
*2ヶ月給付停止から1ヶ月給付停止に短縮されます。
*自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、給付制限が解除されます。
(ロ)教育訓練支援給付金(初めて専門実践教育訓練を受講し、修了する見込みのある45才未満の離職者が対象)が80%から60%に見直されます。(下記◆P8参照)
(ハ)就職促進手当が見直されます。(下記◆P9参照)
*就業手当が2024年3月31日で廃止されます。
*現行の支給額『(離職前の賃金日額-再就職後の賃金日額に相当する額)に再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数を乗じて得た額の一時金※基本手当支給残日数の40%相当額(再就職手当として支給残日数の70%が支給された場合は、30%相当額)が上限』とされているところ、就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げます。
◆「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001255172.pdf
【問エ (a)にはいる語句は】離婚時年金分割制度に「3号分割制度」があります。この制度は一定の要件のもと厚生年金を分割できる制度ですが、その分割割合は一律(a)になります。
(答え:不動産取得税は土地(宅地)を取得した場合の課税標準額が軽減されています。その軽減割合と同じです。)
問5 ③ A 特別支給の厚生年金がらみと新繰上げ率の計算問題です。テキスト:(A)P69~(B)P
肢1×、肢2×、肢3〇、肢4×、
計算を行ううえでのポイントは幾つかあります。
(ⅰ)特別支給の老齢厚生年金の支給開始日の判定が必要になります。
女性の場合は、生年月日1966年4月1日までが対象になり、‘64年~’66年生まれまでが64歳支給開始、’62年~’64年4月1日生まれまでが63歳支給開始です。設問のAさんは63歳から支給開始されますので、61歳0ヶ月に繰り上げすると63歳支給から61歳支給に繰り上げますので2年間(24ヶ月)になります。
(ⅱ)適用する繰上げ率は、1962年4月2日以降に生まれた方は0.4%です。ちなみに、1952年4月2日以降に生まれた方は、繰下げ年齢の上限が75歳までになりました。
(ⅲ)経過的加算と付加年金は繰上げ・繰下げの対象ですので、経過的加算も繰上げによる減額は発生します。また、経過的加算は65歳から開始のため、繰下げは4年ですので繰下げ月は48ヶ月です。
上記の流れで計算をして見ます。
(ア)特別支給の老齢厚生年金計算 63歳から61歳に繰上げのため2年×12ヶ月=24ヶ月×0.4%=9.6%
1,110,000‐(1,110,000×9.6%)=1,110,000-106,560=1,003,440円
(イ)老齢基礎年金 65歳から61歳に繰上げのため4年×12ヶ月=48ヶ月×0.4%=19.2%
765,000‐(765,000×19.2%)=765,000-146,880=618,120円
(ウ)経過的加算繰上げ:250-(250×19.2%)=250-48=202円
(エ)経過的加算の減額分(48円)は、経過的加算ではなく特別支給の老齢厚生年金報酬比例部分から減額します。(1,003,440‐48)+618,120+250=1,621,762円 ∴3)1,621,762円
☆老齢基礎年金の繰上げをすると何点か注意が必要です。
*寡婦年金の受給権を失います。
*障害基礎年金の受給権を失います。
*国民年金の任意加入者になれません。
*振替加算は65歳からの支給開始になります。また、繰下げは老齢基礎年金と同じ支給開始になりますが、増額はされません。
【周辺情報】年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金受給者の生活を支援するために、年金に上乗せして支給されます。
年金生活者支援給付金の支給対象期間について年金生活者支援給付金は、1年ごとに前年の所得等に基づき継続支給の判定を行います。継続支給の判定結果は、毎年10月分(12月支払)から1年間反映されます。
《給付額》令和6年給付基準額:5,310円/月(年金ごとの求め方により増減します)
☆老齢年金生活者支援給付金
《要件》
*65歳以上で老齢基礎年金を受取っている。
*世帯全員が市町村税非課税である。
*前年の年金収入金額とその他の所得の合計が878,900円以下である。※
※前年の年金収入金額とその他の所得の合計額が
778,900円以下:「老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
778,900円超から878,900円以下:「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます、などです。
《給付》下記◆「支給要件と給付金額 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」の参照をお願いいたします。
☆障害年金生活者支援給付金
《要件》
*障害基礎年金を受取っている。
*前年の所得額(障害年金等の非課税年金は含まれません)が「4,721,000円+扶養親族の数×38万円(※)」以下である。
※ 同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円となります、などです。
《給付》
障害等級1級:6,638円 傷害等級2級:5,310円
☆遺族年金生活者支援給付金
《要件》
*遺族基礎年金を受取っている。
*前年の所得額(非課税年金は含まれません)が「4,721,000円+扶養親族の数×38万円(※)」以下です。
※同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円となります、などです。
《給付》子供が複数いる場合は、頭割りになります。
◆「年金生活者支援給付金」:(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/shienkyufukin/20190805.html#cmsseido
【改正等】育児休業給付金の支給期間は原則1年で、保育園が見つからないなどの理由により1年6ヶ月(再延長で最長2年)になります。ただ、延長を確保するため故意に行う「落選狙いの保活」が目立つようになりました。
そこで、対策により、延長申請の厳格化をおこなうために提出書類を増やしています。
改正前:市区町村の発行する入所保留通知など
改正後:上記の書類に加えて、保育所等の利用申込書の写しが必要になりました。併せて、利用申込書を印刷したものまたは画面印刷などを行ったものを保管しておく、事が追加されました。
◆「育児休業給付金の支給対象期間延長手続き」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00040.html
◆「2025年4月から保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変わります」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/001269748.pdf
【問オ (a)に入る数値は】加給年金は、配偶者自身に(a)年以上の老齢厚生年金の受給権を有した場合に支給停止になります。
(答え:個人型確定拠出年金を有期年金で受取る場合の上限期間と同じです)
問6 ① A 併給調整 年金本体(基礎、障害、遺族)の併給を考えるときは、4の法則とされている掛け合わせ図が整理しやすいようです。
肢1、〇 障害基礎年金と遺族厚生年金の併給は、65歳以降はどちらも受取れます。テキスト:(A)P94(B)P
肢2、× 65歳経過において老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権を取得した場合は、以下の中から受給権取得者が選べます。テキスト:(A)P94(B)P
(ⅰ)老齢厚生年金で受取る。(ⅱ)遺族厚生年金で受取る
(ⅲ)遺族厚生年金×2/3+老齢厚生年金×1/2で受取る、の3通りです。
設問にある遺族厚生年金または老齢厚生年金のどちらか、の二者択一ではありません。
(ⅲ)の場合、遺族厚生年金>老齢厚生年金では、超えた部分だけが遺族厚生年金になります。
肢3、× 労災の遺族補償年金と遺族厚生年金が受取れる場合は、遺族厚生年金が全額支給され、労災の遺族補償年金が支給調整されます。
障害基礎年金・遺族基礎年金と傷病(補償)年金等や障害(補償)年金、遺族(補償)等年金との調整は0.88など支給調整の数値もそれぞれで決められていますので下記◆をご参照ください。テキスト:(A)P43(B)P
◆「労災保険給付と厚生年金の両方を受け取ることはできるのでしょうか」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000154486.html
肢4、× 労災の障害手当金と障害厚生年金の一時金を受取れる場合は、障害厚生年金の手当金が支給停止されます。(厚生年金保険法第56条第1項第3号)テキスト:(A)P43(B)P
(障害厚生年金手当金)初診日から5年以内に症状が治った(症状が固定化)場合、その時点で障害厚生年金を受取るための症状より軽いときに支給となる一時金です。(下記◆ⅡP2参照)
*要件:初診日に厚生年金の被保険者であること。
*納付要件:初診日の前日において、保険料の納付要件を満たしていること。(下記◆ⅡP5参照)
また、申請は治った日から5年以内に行う必要があります。
*納付金額:報酬比例額の年金額×2(障害厚生年金3級の最低補償額×2が最低補償額)
◆Ⅰ「年金の併給または選択」:(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/shikyu/20140421-02.html
◆Ⅱ「障害年金ガイド」:(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03-2.pdf
【周辺情報】企業年金連合会が運用している制度に「通算企業年金」があります。テキスト:(A)×P104(B)P
「通算企業年金」とは、企業年金連合会が支給する年金種類の一つです。
加入中の企業年金が退職などにより脱退することになった場合に、一定の要件を満たすことにより「通算企業年金」に移し変えることが出来ます。
預かった資金は企業年金連合会が運用します。
☆通算企業年金の特徴(下記◆Ⅱ参照)
《受取り期間》終身年金になります。
《保証期間》受取り開始年齢から80歳までです。
《受取り開始》原則として65歳からになります。
*選択一時金:年金を受けられる年齢になったときまたは年金の受取り後でも保障期間内であれば一時金を受取ることができます。
*死亡一時金:万が一年金を受取れる前または年金を受取り後でも保障期間内であれば死亡一時金が受取れます。
《移管について》非課税で移すことが出来ます。
〇通算企業年金に移管可能⇒*確定給付企業年金、退職にともなうことによる確定拠出年金(企業型)
〇通算企業年金から移管可能⇒確定給付企業年金、確定拠出年金(企業型)、確定拠出年金(個人型)
◆Ⅰ「通算企業年金にうつしカエル」:(企業年金連合会ホームページより)
https://www.pfa.or.jp/tsusan/tokusetu/files/pamphlet.pdf
◆Ⅱ「通算企業年金の特徴」:(企業年金連合会ホームページより)
https://www.pfa.or.jp/tsusan/tanki/tokucho.html
【改正等】社会保険における特定適用事業所の範囲が2024年10月より拡大されます。
特定適用事業所と認識される厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が、101人以上(2024年9月まで)から51以上(2024年10月以降)となり、特定適用事業所に勤務する一定の要件を満たす短時間労働者は、社会保険加入(健康保険、厚生年金保険)が義務化されます。
『用語について』
☆強制適用事業所:適用事業所のベースになります。法人はすべて適用業種の個人事業所は常時5名以上が該当します。
(一般従業員以外の以下の要件すべてを満たす場合も加入になります)
*1週間の所定労働時間が、一般従業員の4分の3以上
*1ヶ月間の所定労働日数が、一般従業員の4分の3以上、のどちらにも該当する従業員です。
☆特定適用事業所:強制適用事業所のうち上述の被保険者数(2024年10月より51名以上)の場合に『特定適用事業所』となります。
☆任意特定適用事業所:2024年10月以降の場合、被保険者数51名以上の要件を満たさない企業などでも、被保険者の同意に基づき、短時間労働者の適用拡大の対象となった事業所です。
《人数判定期間》1年のうち6ヶ月間以上、強制適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が上記の通りとなる事業所です。
《厚生年金保険の被保険者の総数》
*法人事業所の場合は、同一法人格に属する(法人番号が同一である)すべての適用事業所の被保険者数の総数になります。
*個人事業所の場合は、適用事業所単位の被保険者数になります。
《特定適用事業所での被保険者要件》以下のすべての条件を満たすことにより社会保険への加入が義務化されます。
*1週間の所定労働時間が20時間以上
*賃金月額88,000円以上
*学生でない者 です。
《雇用期間が2ヶ月と見込まれるもの》(下記◆Ⅲ参照)
特定適用事業所での被保険者となるための要件の一つですが、2022年10月に見直しがされています。
それまでは、雇用期間が2ヶ月以内とされていても、2ヶ月を超えて雇用された場合は、2ヶ月を経過したときから被保険者とされてきました。
その辺りの見直しが2022年10月にされて、「2ヶ月以内の期間を定めて使用される者」に「当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの」との要件を追加して、2ヶ月を超えて雇用される可能性がまったくない場合は被保険者とされないと限定されました。
その見直しにより、過去に延長された事例があるや定款に延長の条件などが示されているなど当初の契約が2ヶ月以内とされていても延長される可能性がある場合は、当初から被保険者となる道筋を作りました。
《手続き》特定適用事業所に該当することになった場合に「健康保険・厚生年金保険 特定適用事業所該当/不該当届」を提出します。
社会保険に関する届出書は、事由が発生してから5日以内に提出とされていますが、該当届出は、提出がされなかったとしても、対象の適用事業所を特定適用事業所に該当したものとして「特定適用事業所該当通知書」が送付されます。(下記◆Ⅱ参照)
◆Ⅰ「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」:(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.html
◆Ⅱ「特定適用事業所に該当したとき、該当しなくなったとき」:(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/jigyosho/20200912.html
◆Ⅲ「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行(令和4年10月施行分)に伴う事務の取扱いに関するQ&A集」P4問1答え:(日本年金機構ホームページより
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.files/kinmukikan-qa.pdf
◆参考「厚生年金保険健康保険制度のご案内」:(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kouseinenkin.files/seidoannai.pdf
【問カ】障害厚生年金の額を計算するときに、被保険者期間がある月数に満たないときはある月数として計算します。その数値はいくつでしょうか。
(答え:特定の事業用資産の買換において買換えた土地の条件にある面積と同じ数値です)単位違い
問7 ③ A 確定拠出年金の個人型について
肢1、× 障害基礎年金の受給により保険料納付を免除されていても個人型確定拠出年金に加入できます。テキスト:(A)P102(B)P
加入できない者とは以下の通りに記載されています。
「iDeCoに加入できない者」とは以下の者です。
・国民年金第1号被保険者であって、保険料の免除を申請している、または、生活保護法による生活扶助を受給していることにより国民年金保険料の納付を免除されている者
・日本国籍を有しない海外居住者。(下記◆Ⅰ(5)給付 注の一つ目)
肢2、〇 国民年金の任意加入者であれば、加入できない要件を除いて、原則として個人型確定拠出年金に加入できます。テキスト:(A)P102(B)P
(国民年金の任意加入制度)
60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額を希望するときは、60歳以降でも国民年金に任意加入することができます。(厚生年金保険、共済組合等加入者を除く)
ただし、申出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません。(60歳の誕生日の前日より任意加入の手続きをすることができます。)
(任意加入者)
次の1.~4.のすべての条件を満たす方が任意加入することができます。
(ⅰ)日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
※日本国籍を有しない方で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・(ⅱ)保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」で滞在する方を除く
(ⅲ)老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
(ⅳ)20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
(ⅴ)厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
上記の方に加え、次の方も加入できます。
(ⅰ)年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の方
(ⅱ)外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の方
です。(下記◆Ⅲ参照)
肢3、× 個人型確定拠出年金加入者は確定給付企業年金(確定給付企業年金を実施している企業に移ることにより)に移ることは可能です。(下記◆2-(4)参照)テキスト:(A)P105(B)P
肢4、× iDeCo+の設問です。テキスト:(A)P103(B)P
☆iDeCo+とは
「iDeCo+」(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)は、企業年金を実施していない中小企業(従業員300人以下に限る)の事業主が、iDeCoに加入している従業員の掛金に上乗せして、掛金を拠出できる制度、になります。
以上より、設問の、確定給付企業年金のみを実施している事業所はiDeCo+を取り扱えませんので、誤りになります。(下記◆Ⅳ参照)
◆Ⅰ「確定拠出年金制度の概要」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html
◆Ⅱ「任意加入制度」:(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140627-03.html
◆Ⅲ「iDeCoの加入者、加入ご検討中の皆さまへiDeCoに加入できる年齢の要件などが拡大されます」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000884281.pdf
◆Ⅳ「iDeCo+とは」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194195.html
【周辺情報】国民年金基金とは。国民年金基金は、国民年金法に基づいて設立されています。テキスト:(A)P105(B)P
☆自営業やフリーランスの方(第1号被保険者)が、会社員にある厚生年金に相当する制度として、ご自身で上乗せする年金制度です。「全国国民年金基金」と3つの職種別となる「職能型国民年金基金」(歯科医師、司法書士、弁護士)があります。
《前提》第1号被保険者や第3号被保険者、60歳以上65歳未満の方や海外居住されている方で国民年金に任意加入されている方など国民年金の被保険者である必要があります。
《加入種類》一口目と二口目以降では種類が異なり、一口目の選択は必須になります。
*一口目(2種類):(65歳支給開始):15年保障期間付終身年金、保障期間なし終身年金
*二口目(1口目と別に5種類):
(終身年金)一口目と同じです。
(確定年金)以下の5種類です。
65歳支給開始:15年保証期間、10年保証期間
60歳支給開始:15年保証期間、10年保障期間、5年保障期間
《掛金》年齢、性別、口数、型によって決まります。一口目は一度選ぶと口数の増減や型の変更等はできなくなります。
掛金は全額「社会保険料控除」の対象になります。
《給付》老齢年金と遺族一時金があり、障害一時金や脱退一時金はありません。
遺族一時金は、保障期間無しの終身年金は1万円が支払われ、保障期間有の年金はその状況にあわせて遺族一時金が遺族に支払われます。(下記◆Ⅰ P6参照)
《主たる特徴》
*65歳から受取る終身年金がベースになります。
*繰上げ繰下げは付加年金部分だけが計算されます。
*国民年金を免除されていると加入が出来ません。ただ、法定免除は一定の要件のもと加入が出来ます。(下記◆Ⅰ P3参照)
・法定免除の方が年金事務所に国民年金保険料の納付申出をした期間は加入することができます。
・産前産後期間の免除をされている期間も加入することができます。
*任意での解約は出来ません。事情により停止等ができます。
*保険料免除を受けていた方が、免除保険料全額を追納した場合に国民年金基金に加入できなかった期間に相当する期間(5年を上限)について、月額102,000円まで納付ができる特例があります。(掛金特例)(下記◆Ⅰ P14参照)
◆Ⅰ「国民年金基金パンフレット」:(国民年金基金連合会ホームページより)
https://www.npfa.or.jp/system/令和6年度パンフレット.pdf
◆Ⅱ「国民年金基金とは」:(国民年金基金連合会ホームページより)
https://www.npfa.or.jp/
【改正等】確定拠出年金掛金上限額変更について。令和6年12月より、確定拠出年金(企業型・iDeCo)に関する掛金上限額の求め方が変わります。
☆対象は「第2号被保険者」のみです。細かい取り決めはありますが、上限はiDeCo、企業型DC、DB等(※)全体において月額5.5万円になります。上限枠内で掛金を振り分けることになりますが、iDeCoのみ2万円の上限が設定されています。(iDeCoには5,000円の最低掛金額も決められています)
※DB等とは、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金、私立学校教職員共済制度、石炭鉱業年金基金、公務員の退職等年金給付(共済)になります。
これまでは、企業型DCの上限額は、企業型DCのみと企業型DCとDB等とを扱っているケースで違っていました。企業型DCのみのとき月額5.5万円が上限となり、DB等が扱われている場合はDB等の掛金を個々の事情は関係なく一律2.75万円で見積り、残高2.75万円が限度額となっていました。
今回の変更により、DB等の掛金を実情にあわせることとし、「月額5.5万円-確定給付型ごとの掛金相当額」と変更することによりDB等の掛金を差し引いた金額が企業型DC掛金の限度額となりました。(下記◆Ⅰ参照)
また、併せて、iDeCoの掛金の支払可能額算出方法も変わります。(下記◆Ⅱ参照)
これまで、第2号被保険者は、加入できる年金により上限枠が異なっていました。
今回の変更により、その計算方法は以下の通りに統一され、一律2万円が上限となっています。
「iDeCo掛金額=月額5.5万円‐(企業型DCの事業主掛金+DB等の他制度掛金相当額)」(2万円が上限)
なお、企業型DCにおいて「マッチング拠出」をされている方はiDeCoに加入できません。
◆Ⅰ「企業型DCを実施する事業主・従業員の皆さまへ(令和6年12月からは)」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000823725.pdf
◆Ⅱ「iDeCoの拠出限度額が1.2万円→最大2万円に変わります」:(厚生労働省ホームページより)
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001252820.pdf
【問キ (a)に入る数値は】加給年金額の支給要件において、受給権者と生計維持関係にある人の収入額は将来にわたって(a)万円以上の収入が得られないこととされています。
(答え:所得金額調整控除の子供・障害者等を有する者等の適用を受ける条件となる給与の収入金額の下限額と同じです)
問8 ① A 中小企業の資金調達
肢1、〇 設問にあるとおり「国民生活事業における新事業活動促進資金は、経営革新計画の承認を受けた者など新事業活動に取り組む者」が利用できます。テキスト:(A)×P19(B)P
また、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)もそのとおりになります。(下記◆Ⅰ参照)
肢2、× 新規開業資金(女性、若者/シニア企業家支援関連)は「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、女性または35歳未満か55歳以上の方が融資の対象」になります。設問にある「既に事業を開始している者は融資の対象とならない」は誤りです。下記◆Ⅱ参照)テキスト:(A)×P20(B)P
肢3、× マル保融資とは、「信用保証協会」が保証人になる融資のことです。利用するためには資本金または従業員数のどちらかの要件に該当することが必要です。
設問にある「売上高および資本金または出資金の額の要件」とされているところが誤りです。テキスト:(A)×P21(B)P
信用保証協会は、正式な法律により設立された公的な機関となります。その全体像は以下の通りです。
『信用保証協会は、信用保証協会法(昭和28年8月10日法律第196号)に基づき、中小企業・小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関です。
事業を営んでいる方が金融機関から事業資金を調達される際、信用保証協会は「信用保証」を通じて、資金調達をサポートします。
47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、各地域に密着した業務を行っています。』(信用保証協会連合会ホームページより)(下記◆Ⅲ参照)
肢4、× 経営セーフティ共済は「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」が扱う制度です。テキスト:(A)P20(B)P
設問にありますとおり、「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度」になります。
制度の概要は、倒産により資金が必要となった場合に、「無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れ」できます。また、掛金は損金または必要経費に算入できます。
設問にある「納付した掛金総額の5倍を限度として共済金を借り入れることができる」の部分が間違いになります。(下記◆Ⅳ参照)
◆Ⅰ「新事業活動促進資金」:(日本政策金融公庫ホームページより)
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_sjkakushin_m.html
◆Ⅱ「新規開業資金」:(日本政策金融公庫ホームページより)
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
◆Ⅲ「中小企業の定義について」:(中小企業庁ホームページより)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/2024/download/01teigi.pdf
◆Ⅳ「共済制度 制度の概要」:(中小機構ホームページより)
https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/features/index.html
【周辺情報】『終身建物賃貸借事業』について。平成13年に成立しました。(下記◆Ⅰ参照)
☆高齢者単身・夫婦世帯等が、終身にわたり安心して賃貸住宅に居住できる仕組みとして、賃貸人が、知事の認可を受けた場合に、借家人が生きている限り存続し、死亡した時に終了する(相続性を排除)、借家人本人一代限りの借家契約により、高齢者に対して住宅を賃貸する事業を行うことができる制度になります。
《居住者年齢要件》
・60歳以上
・単身または同居者が高齢者親族であること(配偶者は60歳未満でも可)
《高齢者が死亡した場合の同居者の継続居住》
・同居者は、高齢者の死亡後1ヶ月以内の申出により継続して居住可能です。
《賃貸人からの解約要件》
・家主からの解約申入れは、住宅の老朽等の場合に限定されます。
《賃借人からの解約要件》
・療養、老人ホームへの入所、親族との同居等が理由の場合は、解約申入れ1か月後に契約は終了します。
・上記以外の理由の場合は、解約申入れ6か月後に契約は終了となります。
《その他の借家人への配慮》
・借家人が希望すれば、終身建物賃貸借契約の前に定期借家により1年以内の仮入居が可能です。
《大家側のメリット》
①無用な借家契約の長期化を避けることができる。
②残置物の処理等を円滑に行うことができる。
③相続性を排除していますので相続人への明渡し請求に伴う立退料を請求されるおそれがない等 です。
☆制度の開始以来、その認可実績は高いとはいえず、利用状況は伸び悩んでいました。原因としては、事務作業の煩雑さや適用要件の厳しさなどがあげられます。
そこで、2018年に一部が改正され、添付書類の簡略化(一部の申請書類を削除)や適用要件の緩和(一定の要件のもと居室面積が9㎡や階段の要件の削除など)などがされました。
また、「住宅セーフティネット制度」要件にリンクさせるようにも考慮し住宅セーフティネット制度の申請と同時に行えるような仕組みに変更されました。
①セーフティネット住宅(SN住宅)における終身建物賃貸借の活用が促進されるよう、SN住宅と同様に9㎡シェアハウス型についても可能とする。
②既存住宅の場合は、既にバリアフリー基準の緩和がされているが、更に緩和し手すりの設置のみで足りることとする。
③高齢者居住安定確保計画による強化又は緩和可能な対象は床面積だけであったが、設備・バリアフリー基準も強化又は緩和可能とする、などです。
『住宅セーフティネット制度』(下記◆Ⅲ参照)2025年秋ごろに改正される予定です。
SN制度は2017年に始まりましたが、現行の制度は、行政が間に入って聞き取りをおこなったり支援できるだろう事業者を紹介したりという仲介業務の役割となり具体的な支援を行う内容ではありませんでした。
そこで、SN制度の仕組みの見直しを行い、具体的な支援策や事業者への認可制度など創設し、令和7年秋ごろから施行される予定です。
見直しの部分とされる概要は以下の通りです。
住宅確保要配慮者(障害者、高齢者にかぎらず低所得者、DV被害者、外国人なども含まれる)が居住場所を確保できるための周辺環境の整備(事業者の認可制度、残置物処理への対応、家賃債務保証業者の認定など)と支援内容(家賃の代理納付制度、居住サポート住宅の認定制度、家賃債務保証の引受制度など)、行政サポート(総合的包括的な支援体制の整備など)の整備を強化し、より連携が出来るようにパッケージとして整えた制度になりました。
◆Ⅰ「終身建物賃貸借事業の概要と実績」:(国土交通省ホームページより)
https://www.mlit.go.jp/common/001253060.pdf
◆Ⅱ「高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針」P6:(国土交通省ホームページより)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001603480.pdf
◆Ⅲ「住宅セーフティネット制度」:(国土交通省ホームページより)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000055.html
【改正等Ⅰ】経営セーフティ共済の税制が一部変わります。
共済倒産防止共済(経営セーフティ共済)掛金の税法上の取り扱いを規定している租税特別措置法 第28条および第66条の11が改正され、それにより、令和6年10月1日以降に共済契約を解除し、再度共済契約を締結(再加入)した場合、その解除の日から2年を経過する日までの間に支出する掛金については、必要経費または損金の額に算入できなくなりました。(下記◆参照)
◆「税制の特例に関する内容の変更について」:(中小機構ホームページより)
https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/news/2024/aihbak0000001tdr.html
【改正等Ⅱ】マル保融資において、保証料を上乗せすることにより経営者の保証を求めない制度が令和6年3月15日より施行されています。(下記◆Ⅰ参照)
《経営者保証とは》
中小企業など信用力が弱い企業などの経営者が連帯保証をして金融機関より借入れを行うこと。
企業が倒産した場合に、経営者が返済をしなくてはいけなくなります。
《問題点》
経営者保証には一定の効果も認められますが、経営者による思い切った事業展開や早期の事業再生、円滑な事業承継を妨げる要因とも指摘されていました。
その問題点の緩和策として、全国銀行協会と日本商工会議所が「経営者保証に関するガイドライン」を策定しました。
《経営者保証に関するガイドライン》法的拘束力はありません。
3要件(①法人・個人の資産分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保)を定めて、要件の全部または一部でも満たすことにより「経営者保証を求められない」「経営者保証を見直す」事ができる可能性が出てきます。なお、判断は金融機関に委ねられています。(下記◆Ⅲ参照)
《ガイドラインの3要件を緩和》
ガイドラインの3要件を緩和する代替として「保証料の上乗せ」により経営者保証を見直す方策が制定されました。
一定の要件を満たすことにより、0.25%または0.45%を上乗せする。なお、3年間の時限措置として期間ごとに上乗せの軽減措置が図られています。(下記◆Ⅱ参照)
◆Ⅰ「保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始します」:(中小企業庁ホームページより)
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2024/240315.html
◆Ⅱ「保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度」:(経済産業省ホームページより)
https://www.meti.go.jp/press/2023/01/20240123002/20240123002-1.pdf
◆Ⅲ「経営者保証に関するガイドライン」:(一般社団法人全国銀行協会ホームページより)
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/adr/sme/guideline.pdf
【問ク (a)に入る数値は】経営セーフティ共済の貸付限度金額は原則として(a)万円~8,000万円(5万円きざみ)です。
(答え:バリアフリー改修工事で税額控除の対象となるために一定の工事金額を超える必要があります。その金額と同じです。)
文中にある問題の答えです。こちらは、過去に出題された応用問題の穴埋めを絡めています。
問ア 30(万円)(2024年9月問56)単位違い
問イ 70(人)(2022年5月問65)単位違い
問ウ 95(%)(2023年9月問57)
問エ 2分の1(2017年9月 問60)
問オ 20(年)(2018年9月問52)
問カ 300(㎡)(2019年1月問60)単位違い
問キ 850(万円)(2021年1月問57)
問ク 50(万円)(2017年1月問61)
問ケ 無し
以上となります。
最後までお読みいただき誠にありがとうございます。