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FP1級基礎 2024年5月+α 2/6様

FP1級基礎 2024年5月 6分の2

 この度はお立ち寄りいただきありがとうございます。

 2024年5月に実施されました学科試験の基礎編の私見を書かせていただきました。今回は、リスク管理分野の問9~問15までになります。

 また、これまでどおり下記のテキストでの取り上げ具合もざっくりではありますが数えてみました。前回の2024年1月と同程度の直撃率になっていますが、推察可能かも、は含めませんでしたので、数値はもうちょっと上乗せされるかもしれません。
 消去法を使って残り一つに絞りこめる問題や過去に出題されている問題も今回はそれなりにありますので、なんやかやを考えると直撃率にいくつか足した数を正解できる可能性もありそうです。

 今回の出題傾向でまず目に付くのは、計算問題です。ステルス計算問題である問43 2)以外で、問1、問22、問31の3問と少な目でした。なのに、そのうちの2問は思いもよらないところからやってきました。もう、ほとんどびっくり箱状態です。

 その、びっくり箱の正体ですが、問22は、現物と先物の収支をそれぞれで算出し両者の差額に「×1億÷100円」を掛け合わせて正答になるようでした。果たしてこれで正しいのかどうか調べなおしている最中です。

 そして、問31は、計算式が「No.5651特定資産を買い換えた場合の圧縮記帳」として国税庁のホームページにありました。

 全体を通しては、濃淡の違いは若干あるとしてもこれまでの出題傾向を踏襲している様子でした。これまで頻繁に扱われていないところで、テキスト目線で眺めてみますと、「以上」「未満」「超える」「以下」「かつ」「または」など文章に埋もれがちなところからの出題は少ない様子で(例えば問6「各種加算」)、その項目で印象的なところが選ばれて出されていた感が強いようでした。

 例えば、問3の「高額療養費の合算可能被保険者」、問4「教育訓練給付におけるキャリアコンサルティングとジョブカード」、問9「保険会社が破綻した場合の保険料支払について」、問10「保険募集人の罰則規定」、問24「個人情報の有料開示について」、問34「35条書面(重要事項説明書)と37条書面の違い」、
 問35「実測面積と公簿面積」(問題文とうまくリンクできないかもしれません)、問37「土地区画整理法について」、

 問46「相続・贈与の納税義務者について」(単語の長さに惑わされそうですが、ざっくり覚えるのは思いのほかいけそうです。事が起こったときに日本に住所がある→居住、国内・国外の資産に課税される→無制限、になります。そして、該当しない方は非居住、制限になります。
 国内に住所があるけれど例外とされる方、10年以内に住所があるけれど例外とされる方、10年以内に住所がない方、など同士のときに、居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者になります)
 問50「非上場株式についての納税猶予・免除の特例における提出書について」などになりそうです。

 すみません、おもいっきり横道にそれてしまいました。それでは、次にいきます。

[Ⅰ]テキスト直撃率
書籍(b) 「’23~’24版 FP1級技能士学科合格テキスト」→32/50 62(%)
書籍(c) 「’23~’24版 合格テキストFP技能士1級 TAC FP講座」→29/50 58(%)、
書籍(d) 「’23~’24版 みんなが欲しかった!FPの教科書」→29/50 58(%)
(書籍名の使用は出版社より了解をいただいています。ご対応いただきましたご担当者様には改めてお礼を申し上げます)
なお、書籍(a)は’22~’23版のため、今回より上記の3冊にさせていただきました。

[Ⅱ]テキストや過去問などで正解が導き出せそうな問題について
●正解を取れそう。
A:テキストにあるし見慣れたところ:下記以外26問  
B:正解以外テキストに回答有り(消去法可):問3、5、6、9、11、12、17、18、20、30、35、合計11問
C:過去に出題されている:問26、29 合計2問
D:感覚で回答できる: 合計0問

●難問になりそう。
E:テキストにあるけれど文面をなぞって終わる可能性がある:問19、34、46 合計3問
F:改正等(直近): 合計0問
G:見覚えないorあやふや:問2、7、21、22、31、42、47、48 合計8問
正解が可能と思えるのは、A~Dの38問のようでした。39/50 78%

 なお、こちらに関することは私見の域をでていませんので、気になるところがありましたらお調べ直していただきますようお願いいたします。

 また、試験問題の使用は了承をいただいていませんのでお手数ではありますがお手元にご用意いただけますと助かります。

 どうぞよろしくお願いいたします。

問9 ③ B 保険契約者保護機構について。生命保険契約者保護機構と損害保険契約者保護機構があります。

 保護機構の財源が不足した場合に、一定の手続きを踏むことにより国から機構に対して補助金を交付することが可能になっています。(2027年9月末まで)こちらの仕組みは生命保険契約者保護機構のみが対象になります。

 生命保険契約補償でちょくちょく顔を出す契約に高予定利率契約があります。「高予定利率契約」は、破綻時に過去5年間常に予定利率が基礎利率を超えていた契約とされています。計算式は以下の通りです。
(計算式)高予定利率契約の補償率 = 90%-{(過去5年間における各年の予定利率-基準利率)の総和÷2}。

肢1、× 生命保険契約者保護機構の対象となる生命保険契約は、高予定利率契約を除き責任準備金の90%まで補償されます。テキスト:(b)P117(c)P54(d)P92
◆「生命保険会社の保険契約者保護制度」Q1 Answer②:(生命保険契約者保護機構ホームページより)
https://www.seihohogo.jp/pdf/pamphlet.pdf

肢2、× 生命保険契約者保護機構は、国内で事業を行う生命保険のすべてが加入している組織になり、「保険契約の移転等における補償対象契約は、運用実績連動型保険契約の特定特別勘定に係る部分を除いた国内における元受保険契約で、高予定利率契約を除き、破綻時点の責任準備金等の90%まで補償されることが、保険業法等で定められています」となるため、国内で事業を行う生命保険会社が扱う場合、外貨建終身保険も対象になります。テキスト:(b)△P117(c)△P54(d)△P92(△国内における元受保険契約とある)

肢3、〇 生命保険会社の破綻では、破綻後の処理方法が決まるまで手続き(解約、転換、貸付など。死亡保険金は一定のルールのもと支払われます)のほとんどが停止されます。

 ただ、破綻をしたとしても保険が消滅するわけではないので保険料の支払は続きます。保険料の支払が滞ると取り決めに沿って失効になります。

 また、引継ぎ保険会社は資金の流出を出来るだけ避けたいため、解約には「早期解約控除制度」が適用され通常の解約返戻金から一定額が控除される可能性もあります。テキスト:(b)P117(c)×P54(d)×P92
◆「生命保険会社の生命保険契約者保護機構Q&A Q25」:(生命保険契約者保護機構ホームページより)
https://www.seihohogo.jp/qa/qa25.html

肢4、× 任意の自動車保険は破綻後3ヶ月以内の保険金支払は全額が対象になり、契約者の属性は問われません。

 契約者の属性が問われるのは、火災保険と損害賠償保険(労働者災害補償責任保険も含む)で対象となる契約者は、個人、小規模法人(常時勤務する従業員が20人以下の日本法人)、マンション管理組合(住居用途として管理組合)になります。また、第三分野のうち、短期傷害保険と海外傷害保険は3ヵ月以内100%の対象になります。

 満期返戻金や解約返戻金は、保険金支払いと異なります。テキスト:(b)P118(c)P56(d)P93
◆「損害保険契約者保護機構Q&A」:(損害保険契約者保護機構ホームページより)
http://www.sonpohogo.or.jp/02_a1.html

【周辺情報】介入権は、保険をどうするかについてその権利を持たない受取人や親族に一定の権利を与えるシステムです。

 保険には、保険法で「契約当事者以外の者による解除の効力等」(保険法89条)とされているいわゆる「介入権」制度があります。
 こちらの制度は、保険の当事者ではない保険金受取人等が保険の解約を差し止めることが出来る制度です。

 保険には、当事者以外の者(差押債権者、破産管財人等)が保険を解約できる解除権があります。債務者である保険契約者の保険を解約して解約返戻金を受取り、債権の返済にあてるためにある制度です。(保険法第60条)

 ただ、被保険者など保険金受取人が高齢な場合など再加入ができないなど解約により生活に支障をきたしたりすることもありうるため、一定の要件を満たすことにより保険金受取人や親族がその解約をやめさせる権利とされているのが「介入権」です。

 一定の要件とは、
(1)介入権の行使は契約者の同意を得る。
(2)解約返戻金相当額を破産管財人に支払う。
(3)上記(2)の支払の事実を保険会社に伝えること、になります。

 また、差押債権者や破産管財人の解除権が実行されるのは保険会社が解除権者から通知を受けて、1ヶ月経過後になります。上記の要件は、その1ヶ月以内に行う必要があります。テキスト:(b)P109(c)P57(d)P95
◆「Q90 介入権制度とはどのような制度ですか」:(一般社団法人日本損害保険協会ホームページより)
https://soudanguide.sonpo.or.jp/body/q090.html

【改正等】2020年保険法改正により生命保険契約の評価方法が見直され、解約返戻金の評価を低くできる保険を法人から個人(役員や使用人)に名義変更して、支払い総額をいくらでも減らす方法が出来なくなりました。

 名義を法人から個人に移した場合に保険の評価はそのときの「支給時解約返戻金の額」で評価しますが、低解約返戻金型保険を利用して評価額の低いうちに名義を変更して、低解約返戻期間が終了した後に解約をして解約返戻金を受取る手法がありました。

 保険法の改正後からは、「支給時解約返戻金の額」が「支給時資産計上額」の70%未満となるとき、「低解約返戻金型保険」とされ、「支給時資産計上額」の方で評価をします。2021年7月1日以降に行う保険契約等から実施されました。テキスト:(b)×P151(c)P(d)P229

 前述の改正とともに、「低解約返戻金型保険」を復旧可能な「払済保険」に形だけ変更して、解約返戻金の評価がほとんどない等の保険に移し変える方法も、その後に払済保険を復旧したとしても実態に合った評価方法に変わりました。

 払済保険の名義を変更するときは「支給時資産計上額」に使用者が損金に計上した額も加算して評価します。
 「低解約返戻金型保険」「復旧可能な払済保険」とも法人間で権利の移動が行われた場合も、この法令に準じた処理となります。
◆「保険契約等に関する権利の評価に関する所得税基本通達の解説」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/210621/pdf/02.pdf

【問ア (a)にはいる数値は】経営セーフティ共済に加入が出来る企業には資本金の額等または常時使用する従業員数で一定の要件があります。そのうち、卸売業は、資本金等が(a)円以下または常時使用する従業員数が100人以下です。
◆「中小企業・小規模企業者の定義」:(中小企業庁ホームページより)
https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
(答え:損金の額に算入することが出来る欠損金の額が繰越欠損金額控除前の所得額が限度となる中小法人の事業年度終了の日における資本金額等と同じです)

問10 ① A 生命保険募集人の募集行為について

肢1、〇 保険募集を行うためには内閣総理大臣の登録が必要です。登録をせず募集行為を行うと無登録募集とされ、1年以下の懲役または100万円以下の罰金もしくは併料となります。(保険業法317条2項の4号)

 代理店登録をせずに募集行為を行ったり名義貸しを行ったりなどすると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその併料です。(保険業法315条1項)テキスト:(b)P108(c)P46(d)P80

肢2、× 生命保険募集人(代理店も含めて)に代理権はないため、保険契約者及び被保険者が事実の告知に応える義務は保険者に対してとされています。(保険法第37条)

 また、口頭での告知とされるのは保険会社が指定した医者になります。医者が聞き取りをして告知書を作成し、最後に被保険者等が署名することにより成立します。

 ちなみにですが、損害保険代理店は代理権を有しています。したがって、代理店で保険を受け付けたことにより保険の申込日とされる保険もあります。テキスト:(b)P108(c)P71(d)P116
◆「正しい告知を受けるための対応に関するガイドライン」P7:(生命保険協会ホームページより)
https://www.seiho.or.jp/activity/guideline/pdf/announce.pdf
◆「損害保険代理店とは」:(日本損害保険協会ホームページより)
https://www.sonpo.or.jp/exam/dairiten/about/index.html

肢3、× 「募集関連行為とは」契約見込客の発掘から契約成立に至るまでの広い意味での保険募集のプロセスのうち保険募集に該当しない行為のことを言います。

 保険募集とされる行為は、契約書の一連のやり取りはもちろんのこと具体的に保険を勧める行為や同一の保険群を推奨する行為等です。

 設問の行為は、保険募集とされる行為にはならないため「保険募集行為に該当するとされている」は誤りです。テキスト:(b)△P106(c)△P46(d)△P82(△推察可能)
◆「保険監督上の評価項目 (2)募集関連行為について 注1」:(金融庁ホームページより)
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/ins/02d.html

肢4、× 事業性資金の融資先には保険の募集は原則として出来ません。

 ただし、一時払い終身保険、一時払い養老保険、積立傷害保険、積立火災保険等のほか事業関連保険(銀行等のグループ会社を保険契約者とするものに限る)の募集については、規制対象から除外されています。
 また、従業員が50名以下の場合は、従業員への募集行為も禁止されています。

 設問にある「すべての保険商品について当該金融機関の事業性資金の融資先に対する保険募集行為が禁止されている」と「融資先の従業員に対する保険募集行為は禁止されていない」のどちらも誤りになります。(保険業法施行規則(以下、「規則」)第212条第3項第1号、第212条の2第3項第1号等)テキスト:(b)P107(c)P47(d)P82
◆「銀行等による保険募集に係る弊害防止措置等の見直しについて」:(金融庁ホームページより)
https://www.fsa.go.jp/access/23/201109b.html

【周辺情報】支払調書は、法定調書といわれる公的書類の一種で、支払調書にもたくさんの種類があります。

 法定調書は、給与所得・退職所得の源泉徴収票や特定口座年間取引報告書、各種支払調書など63種類あります。
 どれも、資金や資金化する権利の移動等を支払者から税務署に報告をする書類になります。

 生命保険や損害保険などの支払に関する支払調書は、所得税関連と相続税関連で6種類あり、保険会社が作成をします。(所得税法第225条、相続税法第59条第1項)

 生命保険は、一定金額以上の支払があったときや死亡により契約者が変わったときに保険会社が作成をして支払者の営業所等を管轄する税務署に提出します。主な項目は以下の通りです。

・1回の支払金額が100万円を超える保険金や解約返戻金など。・同一人に対する年間20万円を超える年金。ただし、年金受取人と契約者が異なる場合は、年金額に係らず提出します。

[2018年1月1日以降から]・解約返戻金相当額が100万円を超える保険において死亡により契約者が変わった場合。(相続税法第59条第2項)
・死亡した保険契約者の払込保険料の額。・契約にかかる契約者変更の回数。・既払込保険料総額 などです。
 期限は、事が生じた日が属する年の翌年1月31日までです。テキスト:(b)P140(c)P132(d)P209

「支払調書」等において必要な情報は税務署に伝わっていますので、年金保険における受給権の有無や保険金の支払の開始・金額等についてその情報を税務署は事前に把握していることになります。
◆「生命保険と税金」P141:(公益財団法人生命保険文化センターホームページより)
https://www.jili.or.jp/files/consul/consultation_manual_9.pdf
◆「法定調書の種類及び提出期限」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/01.htm

【改正等】「損害保険会社の独占禁止法遵守のための指針」に、昨今の立て続けに起きた損害保険会社のコンプライアンス違反を受けて「保険契約引受」の項目が新設されました。

 損害保険においても「独占禁止法」は遵守しなくてはいけない制度であり、保険を引き受ける際にも「保険契約引受の際の競合する他の損害保険会社(以下「他社」という)との接触、情報交換(以下「情報交換等」)は、原則として行ってはならない」とされています。

 損害保険には共同引受という仕組みがあり、複数の保険会社が一つの保険の契約をする保険です。(下記◆Ⅱ 《参考資料》共同保険について参照)その場合に、「幹事保険会社」「非幹事保険会社」に分かれますが、共同引受が、「独占禁止法」の適用除外(保険業法101条)にはならないことが注記されています。

 また、他社とやり取りをする際には、メールなど記録が残る方法を活用し、電話でやり取りをした場合には、後ほど記録を作成して相手方にメールで送信し保管するなど、履歴を残すことを求めています。
◆Ⅰ「損害保険会社の独占禁止法遵守のための指針」:(一般社団法人日本損害保険協会ホームページより)
https://www.sonpo.or.jp/about/guideline/ev7otb0000000cjp-att/action_dokkinho.pdf
◆Ⅱ「保険契約引受にかかる独占禁止法上の留意点」:(一般社団法人日本損害保険協会ホームページより)
https://www.sonpo.or.jp/about/pdf/dokusen.pdf

【問イ (a)にはいる数値は】日本政策金融公庫が扱う新規開業資金を利用するためにはいくつかの条件があります。その条件にある事業開始項目は、新規事業または事業開始後(a)年以内になります。
(答え:労災保険で障害補償年金の対象となる障害等級数の上限数値と同じです。)単位違い

問11 ③ B 個人年金保険について

肢1、× 平均寿命が長いと想定される女性が年金受給期間は長いとされますので、女性の方が保険料は高く見積もられます。テキスト:(b)P129(c)P89(d)P△137(△推察可能)

肢2、× 個人年金保険料控除が適用されるためには「個人年金保険料税制適格特約」を付加する必要があります。「税制適格特約」がつく年金保険にはいくつかの条件があります。

 条件の一つに「払込期間が10年以上で定期的支払」がありますので、設問にある「一時払い」は個人年金保険料控除の対象外になります。
 なお、設問の一時払保険料は保険料を支払った年の控除対象となる、はその通りです。テキスト:(b)P132(c)P126,P128(d)P196

肢3、〇 円換算支払特約や円入金特約等の為替レートは保険会社ごとに決められていて、保険会社のホームページや約款などで調べることが出来ます。テキスト:(b)△P126(c)△P88(d)△P142(△保険会社が決めるの記述は無し、推察可能)
◆「税金に関するQ&A」:(公益財団法人生命保険文化センターホームページより)
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/9330.html

肢4、× 確定年金などの年金受取り中に被保険者が死亡した場合、確定期間中は相続人に年金として支払われるか、または契約時に決められている内容での一時金が支払われます。

 設問にある既払保険料が見積もりの基準となるのは年金受取り前に死亡した場合になります。

 また、死亡により既払保険料相当額で受取った一時金は死亡保険金となり「500万円×法定相続人の数」の対象になります。テキスト:(b)P137~(c)P128~(d)△P202~(△推察可能)

【周辺情報等】個人年金の評価について。

《基本的な原則》
・課税は年金受取が開始した場合になり、名義人が変わっただけの時は原則として課税の対象になりません。
 保険料負担者の死亡による契約者の変更は、保険会社より税務署に支払調書が提出されます。

(ア)《計算方法は3通り》

(1)受給権無しの年金評価
公的年金以外の雑所得の金額=総収入金額(基本年金額+増額年金額+増加年金額)‐必要経費
必要経費=その年に支給される年金額×正味払込保険料の金額/年金支給総額(見込み額)

 年金支給総額の計算方法は、年金の種類で変わってきます。

 年金支給期間が決まっている確定年金は「年金額×支給期間」で求めます。

 年金支給期間が未確定の場合の年金支給見込み額は、年金支給時点での余命年数を取り入れる手法をとります。

・有期年金:年金額×有期期間と余命年数の短い期間。
・終身年金:年金額×余命年数
・保障期間付年金:年金額×保障期間と余命年数の長い期間
◆「個人年金保険の年金を受取って所得税がかかるときの計算方法」:(公益社団法人生命保険文化センターホームページより)

(1”)保険料負担者(受取人が同一)が年金受取り前に死亡すると、原則として既払込保険料相当分が一括で契約時指定した受取人に支払われますので年金評価は不要のケースです。

(2)受給権評価計算式
 年金の種類で評価方法は異なってきます。
 下記(ⅲ)を求める方法は、期間を数えられる年金(確定年金、保障期間部分)は年金額を現在価値に評価する手法が使えますが、終身保険や有期保険など見込み額の場合は平均余命を元に算出します。
 
 おおよそ以下の通りになります。(下記◆Ⅰにある無期年金はほとんど見られなくなったそうです)

(ⅰ)解約返戻金
(ⅱ)定期金を一時金で受取れる場合は一時金の額。
(ⅲ)年金の種類で保険期間を割り出し、予定利率の複利年金原価率等で算出された額
の3通りのうち最も高い金額です。
◆Ⅰ「定期金に関する権利の評価が変わりました」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/pdf/teikikin.pdf

(3)受給権評価後の年金課税部分計算式。
(ⅰ)所得税の対象となる金額を、一定の公式で求めます。
(ⅱ)算出された収入額を一単位{(ⅰ)÷(年金期間×(年金期間‐1)÷2)}の額に見積をします。
(ⅲ)一単位の収入額×経過年数により該当年の収入額を求めます。
(ⅳ)収入額‐必要経費((ⅲ)×保険料総額/年金支払総額)
(ⅳ)がその年の所得額となります。
◆Ⅱ「相続等により取得した年金受給権に係る生命保険契約等に基づく年金の課税関係」:(国税庁ホームページより)

(イ)税金の種類見分け

(ⅰ)年金受給権評価が不要の場合は、所得税。
(ⅱ)年金受給権評価が必要な場合は(年金受給権評価までに保険料負担者が変わった場合は保険料負担者単位で判断をして按分評価する)
保険料負担者が死亡で当事者が一人→相続税
相続税以外→贈与税

(ウ)簡単な流れ
受給権無し⇒所得税
受給権有り⇒保険年金の種類で評価(アー2)⇒税金種類判定⇒年金受け取り時所得税計算(アー3)

【改正等】2020年に大幅な民法の改正があり、それに伴い「約款」の扱いが民法で「定型約款」として規定されました。

 「約款」は、「不特定多数のものと同じ契約をする場合に用いる契約方法」です。身近なところでは、保険や航空券、普通預金口座、そして、ネットでの売買などは約款が用いられているケースが多いです。
 ただ、日常生活に浸透してきた約款ですが法律で定義はされていませんでした。

 そこで、2020年民法改正で、「定型約款」として契約書となるための決まりごとが規定されました。(民法548条の2~)
 「定型約款」とは、約款のうち民法の規定を遵守し、個別に取引き相手の合意を受けることなく契約書として認められた約款になります。

 「定型約款」定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。(民法第548条の2第1項)

 「定型取引」ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。(民法第548条の2第1項)

 「定型約款」の課題をクリアした場合の主なる特徴は
(ⅰ)定型取引の合意をしたものは、定型約款の個別条項も合意したものとみなす。(みなし合意 民法548条の2第1項)
上記(ⅰ)になるために
(ⅱ)定型約款を契約の内容とすることを合意したもの
(ⅲ)定型約款を準備したものがあらかじめ定型約款をその契約の内容とする旨を相手方に提示した場合。
(ⅳ)相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるもの、は合意しなかったものとみなす。
などです。

 大きな特徴は「みなし合意」です。
 みなし合意は、契約の合意(航空・鉄道・バスチケットなどは購入にあたります)をすることにより定型約款の細かいところを知らなかったとしても合意したことになる、と言うことです。
 ただ、そのためには約款の提示を求めてもいます。ネット売買や保険などでは提示をされますが、航空券を直接購入する場合や、バス代、電車代ではその都度提示されません。それでは、「みなし合意」の条件を満たさなくなりますので、定型約款が機能しなくなります。

 そこで、関連するそれぞれの法律において、事前に「公表」することにより提示要件を満たすことになると緩和されています。(鉄道営業法、航空法、道路運送法)

(ⅴ)定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。(民法第548条の4第1項)
 変更を行うときも利用者の利益に反しないなど一定の要件を満たすことにより契約者の合意を不要としています。

【問ウ (a)にはいる数値は】不法行為により損害を受けた場合の損害賠償請求には時効があります。損害・加害者を知ったときから3年(人身傷害の場合は(a)年)。不法行為のときから20年とされています。(民法第709条、第724条、第724条の2)
(答え:医療費控除の申告で領収書等の添付は必要ありませんが、税務署から提示や提出が求められる場合もあります。その提出等が求められるとされる確定申告期限等からの期間と同じです。)

問12 ① B 年金の課税関係について

肢1、× 個人年金保険の源泉徴収方法は、年金額から一定の必要経費を差し引いた金額の10,21%が源泉徴収されます。
 ただし、25万円未満の場合、また、契約者と年金受取人が別の場合は源泉徴収されません。テキスト:(b)P138(c)P129(d)P205
◆「税金に関するQ&A」:(公益財団法人生命保険文化センターホームページより)
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/568.html

肢2、〇 一時払変額個人年金保険(10年確定年金)は、保険期間5年以内(5年以上でも5年にならないうちに解約)に該当しないため解約により受取った解約返戻金は一時所得として総合課税の対象になります。テキスト:(b)P136(c)P130(d)P201

肢3、〇 一時払外貨建養老保険は、2020年に契約をして2023年中の解約となりますので金融類似商品となります。
 金融類似商品の場合は、源泉分離課税の対象となり、20.315%が源泉徴収されます。テキスト:(b)P136(c)P130(d)P201

肢4、〇 65歳以上の年金受給者は、公的年金等が400万円以上または公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以上の場合は、確定申告が必要になります。

 Aさんは、一時所得となる解約返戻金の所得額だけで25万円の所得がありますので、確定申告の対象になります。
《計算式》設問②解約返戻金の所得額:1,100万円‐1,000万円‐50万円=50万円、50万円×1/2=25万円 ∴一時所得額25万円 テキスト:(b)P91(c)P44※(d)P84※(※タックス分野)

【周辺情報等】2019年7月7日までの定期保険における法人の経理処理について

 定期保険(第3分野も含む)の法人経理処理は2019年7月8日以降から解約返戻率をもとにして資産計上と損金算入配分割合が区分されています。

 それ以前は契約時年齢と保険期間の関係性が損金算入割合の基準でした。
 その基準は、長期平準保険と逓増定期保険で異なっていました。(長期平準定期保険は加入時年齢+保険期間、逓増定期保険は満期時年齢とされています。以降Aとします。)テキスト:(b)P145(c)P137(d)P218

《長期平準定期保険(2019年7月7日まで)》
年齢・保険期間要件(A)>70歳かつ加入時年齢+保険期間×2>105歳
資産計上:保険期間6割で2分の1、残り4割で資産計上を等分して損金算入

《逓増定期保険(2008年7月8日から2019年7月7日)》
(ア)(A)>45歳 保険期間の前半6割で2分の1を資産計上。残り4割で資産計上を等分して損金算入です。
(イ)(A)>70歳かつ加入時年齢+保険期間×2>95歳 保険期間前半6割で3分の2を資産計上残り4割で等分して損金算入です。
(ウ)(A)>80歳かつ加入時年齢+保険期間×2>120歳 保険期間前半6割で4分の3を資産計上残り4割で等分して損金算入です。
◆「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/870616/01.htm

【改正等】生命保険料控除の中身について見直しの要望が出されていました。令和6年度は見送りとなっていますが、令和7年度の税制改正でその結論が出されるようです。これからの成行が要注視項目になりそうです。
◆「令和6年度税制改正に関する要望について」:(一般社団法人生命保険協会ホームページより)
https://www.seiho.or.jp/info/news/2023/20230721_1.html

【問エ (a)にはいる用語は】年金保険が個人年金保険控除の対象になるためにはいくつかの要件を満たすことが必要です。そのうちの一つに、年金受取人は、保険契約者(保険料・掛金を払い込む人)または(a)であること、があります。
(答え:傷害等級1級または傷害等級2級に該当する者の障害厚生年金は、一定の要件を満たすある人がいると加給年金が加算されます。そのある人と同じです。)

問13 ① A 自動車保険の等級について

肢1、〇 3等級ダウンになります。一度の事故での等級ダウンは3等級が上限です。18等級で3等級ダウンの事故を起こした時は(この一度きりとして)、翌年の等級は15等級です。テキスト:(b)P162(c)P116(d)P180

肢2、× 自己責任により車両保険を使用した場合は3等級ダウンになり、不可抗力的な天災や盗難は「ノーカウントではなく1等級ダウン」となるため、4等級ダウンになります。16等級‐4等級で翌年は12等級です。テキスト:(b)P162(c)P116(d)P180

肢3、× 適用期間中(1年間)で複数回事故を起こして保険を利用した場合の等級ダウンの上限は「8年ではなく6年」になります。テキスト:(b)×P162(c)×P116(d)×P180

肢4、× 事故無等級と事故有等級の違いがありますので、同じ7等級でも割引率は違ってきます。事故有等級は事故無等級と比べて割引率が低く(保険料が高い)なります。設問の「保険料の適用される割引率は同じ」は誤りです。テキスト:(b)P162(c)P116(d)P180

【周辺情報】フリート契約について。テキスト:(b)P162(c)P116(d)P181

 自動車保険には、ノンフリート契約とフリート契約があります。ノンフリート契約は等級(1等級~20等級、共済は22等級が上限となる別建てもあります)を物差しにして車両ごとに保険の料率を導き出す仕組みになり、加入も解約も車両ごとで手続きを行う必要があります。

 一方「フリート契約」は、契約者ごとに料率を決める方式なので保険料は契約者単位で決まります。保険期間の途中で車両を追加しても料率は所有中の車両と同じになります。

《フリート契約の概略》
・車両は10台以上。中途で9台以下になっても契約期間中に10台に戻れば継続できます。
・料率は1年に一度契約者ごとに審査をします。診査日を「料率診査日」といい、「全車両一括特約」が付保されていると、「料率診査日」は1年後の応答日になり、付保されていない場合は、1年6ヶ月後になります。

 「全車両一括特約」:フリート契約は、10台以上所有している場合に強制的に加入する方式になりますが、保険会社は一社である必要はありません。保険会社Aに5台、保険会社Bに5台でも可能です。
 この特約は、複数の保険会社ではなく全車両を同じ保険会社にして保険証券を1枚にすることを言います。

・フリート契約は、等級ではなく保険金の支払額で算定されますので、保険金の支払が少ないと保険料が大幅に割安となり、支払がかさむと翌年の保険料が一気に跳ね上がる可能性があります。

 《ノンフリート契約の複数台所有》ベースとなる建て付けはノンフリート契約ですので、保険料の算定は車両ごとになりますので、それぞれで年齢や運転者などの条件を設定します。
 ノンフリート契約でも複数台車両を所有している場合に、保険料が軽減される加入方法がいくつかあります。

 「セカンドカー割引」現在所有している車両が11等級以上の場合に新規で保険に加入するとき7等級から始められる仕組みです。保険証券は別になりますので、保険始期日や補償内容も車両ごとに契約します。

 「複数台割引(ノンフリート多数割引やミニフリート契約とも)」9台以下であることが前提になり、ベースはノンフリート保険ですが、一つの保険証券にすることにより割引を受けられる申込方法です。つまり、保険証券を一つにするために保険期間を揃える必要があります。

 例えば、所有している保険の保険始期が4月のところ、6月に車両を追加するとしたとき、6月保険始期の保険に一度加入をしてその翌年4月の更新のタイミングにあわせて6月保険始期を解約→保険始期を4月にあわせて4月の証券番号(加入中の保険を解約して新規にあわせるも可能)に追加をする、となる手続きをします。

 保険の等級は1年間継続の義務を果たさないと1等級アップにはなりませんので、保険始期を揃えるために解約をした車両は、4月からも6月保険始期の等級を継続することになります。保険始期を揃える際には、車両の購入時期を事前に保険会社と調整をするなど工夫が必要になります。

 ただ、複数台割引の割引率より等級が上がることにより適用される割引率のアップ幅が大きいため、希望されるときには事前に計画を立てて揃えていく必要があります。

【改正等】電動キックボードの保険について
 電動キックボードは、2023年7月の道路交通法の改正により、「一般原動機付自転車」と「特定小型原動機付自転車」に分けられました。その車両区分は、定格出力や速度上限等でいくつかに分類されていますが、結論から言いますとすべて車両扱いになります。
 したがって、自賠責保険(共済)への加入が義務付けられています。

 つまり、電動アシスト自転車や電動車いすなどとは違い、他人をケガさせたときに個人賠償責任保険では補償されません。
 また、自賠責保険で対象外となる対物や対人補償の超える部分には、任意保険が電動キックボード用保険として発売されているようです。どの保険に該当するのかなどの取扱いについては事前に保険会社への確認が必要です。

《車両区分概略》一般原動機付自転車は要免許、特定原動機付自転車は免許不要。
定格出力・速度:(一般)0,6kW超(特定)0.6kW以下、時速20kまで(特例特定)時速6kまで
◆「特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について」:(警視庁ホームページより)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/electric_mobility/electric_kickboard.html
◆「電動キックボードについて(特定小型原動機付自転車以外)」:(警視庁ホームページより)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/electric_mobility/kickboard.html

【問オ (a)にはいる数値は】地震保険の保険金額の上限は、建物が5,000万円、家財が(a)万円です。
(答え:直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与の子育て資金において贈与税の課税価格に算入しない限度額と同じです。)

問14 ② A 労働災害総合保険について

肢1、〇 労働災害総合保険は、法定外補償保険と使用者賠償責任保険を組み合わせている保険になります。独立した保険同士(特約ではない)になりますのでどちらか一方のみに加入することもできます。
 また、それぞれの保険は単独の約款もあります。保険料は2024年1月現在の情報として損金処理ができます。テキスト:(b)P166(c)P122(d)P189

肢2、× 労働災害総合保険の法定外補償保険は、労災の上乗せ補償になるため、設問にある労災の保険給付が行われない場合となる部分は誤りです。
 労災とは違い、下請負人(その被用者)は対象外のため対象とするためには特約が必要です。テキスト:(b)P166(c)P122(d)P189

肢3、〇 「使用者賠償責任保険」は、労災保険および自動車保険、企業向けの保険等から支払われた保険金を越える部分と慰謝料や費用など「法定外補償保険」では対象とならない部分が保険金の対象になりますので、設問の「当該保険給付の額を差し引いて算出される」はその通りです。テキスト:(b)△P166(c)△P122(d)△P189(△直接の記述は無し、推察可能)

肢4、〇 被用者は原則として政府労災保険等で給付を受けることが出来るすべての被用者になりますので、アルバイトやパートも含まれます。
 ただ、下請負人は特約が必要になりますので含めるときは、保険会社への確認が必要です。テキスト:(b)P166(c)P122(d)P189

【周辺情報】契約転換制度とは、加入中の保険を解約することなく、解約返戻金や責任準備金を元手(いわゆる下取り)にして新たな保険(同一の保険会社に限る)の一部に充当する方法です。

 解約返戻金や責任準備金が新しい保険の保険料に充当されるため新たに契約するより支払保険料の負担額が軽減されます。(転換方法によっては一部の期間などもありうる)

(注意事項)・告知が必要です。・クーリングオフの対象です。・同じ生命保険会社の場合で可能です。・保険料は転換時の年齢や料率で計算されます。等。

(生命保険会社の義務)転換する前に他の方法などの説明が必要で、事前に重要事項説明書をもって内容の説明が義務付けられています。また、重要事項説明書の説明には契約者の署名が求められています。テキスト:(b)P124(c)P76(d)P125
◆「転換制度」:(公益社団法人生命保険文化センターホームページより)
https://www.jili.or.jp/knows_learns/basic/change/101.html

【改正等】2022年9月以前の火災保険の保険期間は5年超も選べていましたが、2022年10月より保険期間は最長で5年までとなっています。
 契約期間5年超の火災保険が廃止された主な理由は、大規模な自然災害の増加にあります。地震保険の保険期間は大元になる火災保険の期間に倣えになりますので、火災保険と同じ期間か、1年ごとの更新になります。

 火災保険の保険料算出は、面積や用法などで建物の価値を見積もる方法です。増築や改築、リフォームなどをした際には、通知義務に該当するかもしれませんので保険会社に連絡が必要になります。通知義務は約款に記載されています。

【問カ (a)にはいる用語は】個人情報漏洩保険は、個人情報が漏洩して法律上の賠償責任を負うことによる損害等をカバーする保険ですが、個人情報の中に(a)も含まれます。
(答え:高額療養費は、限度額適用認定証と被保険証を保険適用医療機関窓口に提示することにより窓口において負担限度額の支払とすることができますが、限度額適用認定証がなくても負担限度額の支払とできるカードの通称名と同じです)

問15 ② A 個人契約の損害保険の課税関係について

肢1、〇 個人契約において損害の補償に係る部分は非課税になります。そのため、相手方の対物賠償責任保険から受け取った保険金は所得とはみなされないため課税されません。テキスト:(b)P168(c)P145(d)P234

肢2、× 人身傷害保険は、過失割合に係らず保険金額を限度に支払がされます。被保険者の死亡により受取った人身傷害保険金のうち相手方の過失割合分は、賠償保険の扱いになるため非課税です。

 そして、自分側の過失分は課税の対象になります。課税対象となる税金は、誰が保険料を負担したかにより所得税、相続税、贈与税に分かれることになります。

 相手側ではない自動車保険(知人の車を借りていたなど)から死亡に関する保険金を受取った場合は課税対象にるようです。テキスト:(b)P168(c)P145(d)P235
◆「交通事故の損害賠償金」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4111_qa.htm

肢3、〇 雑損控除は、損害額から保険等より保険金など損害を補填する目的で受取った金額を差し引いた金額になります。
義援金など損害補填を目的としない場合は含まれません。

 また、詐欺や恐喝など、どのような事情や経緯であれ渡した事実に当事者の意思が係る場合は雑損控除の対象外になります。テキスト:(b)P294(c)P58※(d)P104※(※タックス分野)

 雑損控除の算出は、以下の①、②のうち多い金額になります。
①(損害金額+災害関連費用金額‐保険金等の額)-総所得金額等×10%
②(災害関連支出の金額等‐保険金等の金額)‐5万円 
◆「災害により被害を受けられた方へ」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/0018008-045/pdf/fukko-tokubetsu.pdf

肢4、〇 所得補償保険は「介護医療保険料控除」の対象になります。

 所得補償保険は、病気やケガにより働けなくなったときに保険金額を限度に保険金が支払われる保険になります。
なお、所得補償保険は損害保険会社が扱う保険です。

 一方、生命保険会社の同様の保険は「就業不能保険」になり「介護医療保険料控除」の対象です。
 また、生命保険には「収入保障保険」があり、こちらは定期保険になりますので「一般生命保険料控除」になります。テキスト:(b)P132(c)△P126(d)△P198(△推察可能)
◆「生命保険料控除の対象となる保険契約等」:(国税庁ホームページより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1141.htm

【周辺情報】少額短期保険業(保険業法第十二章 第272条~)テキスト:(b)P113(c)P59(d)P
少額短期保険とは、保険金額や年間収受保険料に制限を設けた保険になります。

[資格]財務局へ申請して内閣総理大臣への登録制
[年間保険料収受額]50億円以下 [最低資本金]1,000万円 
[保険契約者保護機構]対象外[供託金]一定の供託金(事業開始時1,000万円)を供託所に納める。国債証券等一定の条件を満たす有価証券も可能です。(保険業法272条の5第9項)

 一定の期間を経過するまでに前事業年度の正味収受保険料の5/100を積み増します。(令第38条の4第2号、規則211条の9)

 [登録の拒否]内閣総理大臣は虚偽を申請したなど申請者によっては登録の拒否をすることになります。(保険業法272条の4~)
 その中に、以前に違反をして免許を取り消されたなどした場合も少額短期保険の登録が拒否されます。免許の取消しとは、募集人登録や保険業、少額短期保険業、また、金融関連の資格の取消しなどです。

 どのケースも取消されてから5年が経過するまでは拒否の対象になります。(保険業法代272条の4第7項、第8項など)

[保障]生損保兼営可(一定の制約内)
・損害保険保険金額(期間2年以内):1,000万円以内
・生命保険(期間1年以内):死亡・重度障害(疾病:300万円以内、傷害:600万円以内) 入院給付(日額×通算限度日数が80万円以内)
◆「少額短期保険業とは」:(一般社団法人日本少額短期保険協会)
https://www.shougakutanki.jp/general/consumer/insurance.html

【改正等】少額短期保険業者は、以前に共済とされていた枠組みを2006年4月の保険業法(第272条~)改正で保険業法の適用を受けることになった事業者です。ご存知の通りに、保険金額等に一定の制限があり、また、保険契約者保護機構には加入ができませんし、保険料控除も受けられないなど通常の保険と線引きがされています。

 少額短期保険業者向けの監督指針も決められていて、随時見直しがされています。

 令和5年度でも見直しがされ、少額短期保険業者の破綻等が見受けられたことにより、
 「近年、少額短期保険業者(以下「少短業者」)の登録数は、平成18年の少額短期保険業制度施行時以降増加しており、また、異業種からの新規参入や新たな保険リスクに対応する商品を取り扱うなどその規模・特性や取扱商品もより多様化しています。
 
 このような中で、令和4年の行政措置事例を踏まえると、財務の健全性及び業務の適切性に懸念のある少短業者を早期に把握し適切な対応を促すことがこれまでより必要となっており、モニタリング体制等を整備する観点から、「保険会社向けの総合的な監督指針(別冊)(少額短期保険業者向けの監督指針)」について、所要の改正を行うものです」(金融庁ホームページより一部抜粋)を基にして、事前の評価に具体的な指標等を追加しました。

 新たに追加された評価指針の一部は、(ⅰ)現預金額の水準が十分ではない。(ⅱ)純資産額の水準が十分ではない。(ⅲ)ソルベンシーマージン比率が200%を維持できない恐れがある。(ⅳ)保険経理人の意見書で問題を指摘された。などです。(下記◆Ⅱ Ⅱ‐2-3-2 監督手法・対応(3)対象となる少額短期保険業者)
◆Ⅰ「保険会社向けの総合的な監督指針(別冊)少額短期保険業者向けの監督指針」P16、P17:(金融庁ホームページより)
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/syougaku.pdf
◆Ⅱ「少額短期保険業者向けの監督指針 新旧対照表」:(金融庁ホームページより)
https://www.fsa.go.jp/news/r4/hoken/20230131/01.pdf

【問キ】法人経理において個人年金保険は、死亡受取人、年金受取人の違いで経理処理が変わります。死亡給付金の受取人が遺族、年金受取人が法人の場合、損金算入は(a)%になります。
(答え:非上場株式の評価方法である配当還元方式は、その一株当たりの年配当金額をある値で還元しますが、その値(%)とおなじです。)

 文中にある問題の答えです。こちらは、過去に出題された応用問題の穴埋めを絡めています。

問ア 1億(円)(2024年5月 問59)
問イ 7(級) (2024年1月 問51)単位違い
問ウ 5年 (2023年1月 問58)
問エ 配偶者 (2016年1月)
問オ 1,000(万円) (2017年9月 問65)
問カ マイナンバー(カード)(2023年1月 問52)
問キ 10(%)(2021年9月 問65)
問ク 無し
問ケ 無し

 以上となります。

 最後までお読みいただき誠にありがとうございます。