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FP1級応用問題 2023年9月問64について 代襲相続と養子の権利をもつ二重身分の相続税額計算

FP1級応用問題 2023年9月問64について
代襲相続と養子の権利をもつ二重身分の相続税額計算
~素人なりに~

 これまでいくつか投稿をさせていただきましたが、しっかりした挨拶がまだでした。大人としてお恥ずかしい限りです。

 始めましてkameconfpと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは早速本題でもある「2023年9月応用問題 問64」に入らしていただきます。
 答えあわせというよりも、人数の数え方と二重身分者の計算方法をまとめてみました。

 まず、前提がありますのでその辺りからはじめたいと思います。
 この系統の問題のポイントはここだけといってもいいかもしれません。

 FPの問題で相続に関するときは、相続人の数え方は以下の二通りあります。
① 相続人全員を数える方法。
② 含められる普通養子の人数を実子がいる場合1名、実子がいない場合2名までとする数えかたです。

 では、どちらを使って数えるかですが、
 ②の数え方をする場面は決まっています。以下の答えを求める場面で使います。
(ⅰ)相続の基礎控除を求める場合の相続人数。3,000万円+600万円×【人数】
(ⅱ)生命保険金から控除する計算式。500万円×【人数】
(ⅲ)死亡退職金から控除するときの計算式。500万円×【人数】
(ⅳ)相続額の総額を求めるときに参加させるメンバー人数。
です。
 
 【人数】は「相続税法上の法定相続分」や「(法定)相続人の数」といわれています。一方①の人数は、「民法上の法定相続分」や「相続人」または「法定相続人」などといわれています。

 ここからは蛇足エリアになりますので、直接[B]に飛んでも支障はないようです。

[A] 設問はまず相続額の総額を求める必要が有りますので②を使います。
 では、「法定相続人の数」の原則に従った手法で2023年9月問64の問題を解いてみます。これからの計算は間違ったやり方になります。

(ア)【人数】に入る該当者です。
妻Bさん、孫Eさん、孫Fさん、長女Dさん、養子身分として孫Eさん、孫Fさんのどちらか一人
計5名になります。
基礎控除:3,000万円+600万円×5名=6,000万円 21,400万-6,000万円=15,400万円

(イ)相続額の配分割り振り
妻Bさん:2分の1 (15,400万円×2分の1)×30%‐700万円=1,610万円

子供:長女Dさん、長男Cさん(死亡)、養子一人の計3名になります。
子供計算:2分の1×3分の1=6分の1 (15,400万円×6分の1)×15%‐50万円=334.99…(割り切れていませんのでこの時点で?です)

代襲身分:孫Eさん、孫Fさんの計2名になります。
代襲身分計算:2分の1×3分の1×2分の1=12分の1 (15,400÷12分の1)×15%‐50万円=142.499…(ここでも?です)

養子身分:孫Eさんか孫Fさんのどちらか一人:2分の1×3分の1=6分の1

代襲身分と養子身分を合算します:12分の1+6分の1=12分の1+12分の2=12分の3
(15,400×12分の3)×20%‐200万円=570万円

ご存知の通りこれでは不正解です。

[B] 原則通りで不正解になるのは、なぜ?となります。
 実は養子身分と代襲身分をもつ二重身分には別枠の計算方法があります。
それが、「相続税法基本通達 15-4」です。

◆「相続税法基本通達 15-4」
相続税法基本通達 15-4 代襲相続人が被相続人の養子である場合の相続人の数

相続人のうちに代襲相続人であり、かつ、被相続人の養子となっている者がある場合の法第15条第2項に規定する相続人の数については、その者は実子1人として計算するのであるから留意する。
(注)この場合の相続分は、代襲相続人としての相続分と養子としての相続分との双方を有するのであるから留意する。

◆「第15条《遺産に係る基礎控除》関係」URL:
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/04.htm
(国税庁ホームページより)

  上記の「法第15条第2項」は「相続税法基本通達15-2」のことのようです。

  代襲相続身分と養子身分を持つ場合いわゆる二重身分のときは、控除人数(相続人の数と表現されています)では実子身分でのカウントになります。  このときの養子身分はまったく考慮されず一時的に消滅させられているようです。

 (注)は、その相続分の計算をするときは養子身分と代襲身分の二重身分で計算する、の意味らしいです。

  それでは「相続税法基本通達 15-4」に従った手法で計算をしてみます。

(ア) 法定相続人の数
 妻Bさん、長女Dさん、孫Eさん、孫Fさん(孫二人は実子身分のみでカウントする)の4名です。
基礎控除 3,000万円+600万円×4名=5,400万円 21,400万円-5,400万円=16,000万円

(イ) 相続税額配分の割り振り(孫二人は実子身分と代襲身分で参加できる)
妻Bさん:2分の1 (16,000万円×2分の1)×30%-700万円=1,700万円

子供たち:長女Dさん、長男Cさん(死亡)、孫Eさん、孫Fさん(孫二人は養子身分)
子供たち配分:2分の1×4分の1=8分の1
長女Dさん:2分の1×4分の1=8分の1(16,000万円×8分の1)×15%-50万円=250万円

代襲身分:孫Eさん、孫Fさん
代襲身分配分:2分の1×4分の1×2分の1=16分の1

二重身分合算(養子身分と代襲身分):
孫Eさん、孫Fさん:8分の1+16分の1=16分の2+16分の1=16分の3
(16,000万円×16分の3)×15%‐50万円=400万円

妻Bさん+長女Dさん+(孫Eさん+孫Fさん)=1,700万円+250万円+(400万円×2)=2,750万円
となるようです。

いかがでしたでしょうか。

ポイントは二つです。
① 控除額算出の人数や相続税の総額計算に参加するメンバーなど相続税の総額計算に影響を与えるときは実子がいるときは養子1人、いないときは養子二人までの数え方を使います。
② 養子身分と代襲身分をもつ二重身分者には別枠の計算方法があります。

です。

最後までお読みいただきありがとうございました。