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実録★警察24時

「お母さーん、今日やるでー」
「え?警察24時?」
「そー」

そのくらい家族は私の「実録★警察24時」好きを認めている。

駅前の派出所を日々訪ねてくるへんてこな人々
酔っぱらってくだを巻く人
お財布を落として帰宅できない人

夜間警らでは、目が合った瞬間に麻薬の売人だとまで感じ取ってしまう洞察力。

ほへー
すっごいわぁ~

交通警察に特化した番組もある。
一番多いのがひき逃げ捜査。
執念で追い詰めるあの痛快さ。
白バイ隊も毅然としてカッコいい。

不祥事とか、とやかく否定的なことを言われる警察だけれども、基本は皆国民のために働いてくれていると感じる。

~~~
ある日、某警察署を一人の主婦が訪れた。
車の左後方をどこかにこすりつけたか、すり抜けたバイクが当たったか記憶がない。
それでも物損事故なら当て逃げになるし、当てられたなら修理をしてもらわねばならない。
家族に警察へ申告するよう説得されたのだ。

いわゆる「デカ室」へ通される。
メインで対応するのはK巡査。
ごはんですよのキャラクターを若くしたような感じ。
三木のり平ではない、アニメの方である。
新婚である。左手のピカピカリングがそう主張している。
今日も愛妻弁当を食べたことであろう。

デスクは、どれも昭和のままだ。レトログレー。
「太陽にほえろ」と同じである。
令和の時代に、黒ひも綴じのファイルがあることにも驚愕する。

入り口から時折、
「ウィッス」と入ってくる面々。
柔道有段者であろう。でないとあのガタイに意味がない。
3Lの青い制服もパツンパツンである。
クッキングするかどうか不明なクッキングパパもいた。
首が無くて襟の上がいきなりでかい顎だ。
若い人から報告を受け、腕組みしながらうなずくスポーツ刈りのごま塩頭さんもいた。こちらもご想像通りずんぐりむっくりである。

「ドライブレコーダーの記録見ましょか?どこかでザリって音が入ってるかもしれんしね」
SDカードを抜いて、パソコンにはめこみ、ちょちょいのちょいと見るのは、別の眼鏡君。
警察にはもちろんヒョロっとさんもいるのだ。
頭脳犯は彼にお任せである。
「ほりゃっ」とエンターを押した右手を、あそこまで跳ね上げるのには意味があるのか。
ないとすれば、警察署のエンターキーにはバネが仕込まれている。

残念ながら上書きされていて、映像は残っていなかった。
免許証、車検証、自賠責保険証のチェックがなされる。

「こんなことでいちいち来るもんでしょうか?」
「まぁ、あなたの家の塀にぶつけられて、気付かなかったからと放置されてるってことですよね。嫌でしょう?だからそれを放置するのはドライバーとしては失格です」

うなだれる主婦。
こんこんと説教するK巡査。

警察官とは何度も同じことを言い続ける人である。
転職するなら塾講師が最適である。

その後、かすかな記憶を頼りに、あそこかなと思うところ2カ所へ。
いずれも違う。同じ高さに傷がないのだ。

「まぁ、今回は場所が特定できないので、事故処理はできませんが、誰か被害を訴える方がいたら連絡します。とにかく自分でこすったことも自覚できていないのはドライバーとして失格です」
またまた炎天下で説教される。

そう、失格なのだわね。でも、

減点も罰金もなーい

(オバケにゃ)学校もーーー試験もなんにもなーい
と同じ韻ではないか!

こんな場合でも警察は、粛々と丁寧に調書を作成する。

うなだれた主婦は、リアル警察24時をリポートすべく今日もnoteを更新するのであった。







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