幸せ

最近幸せを感じることが少ない気がする。でも幸せって元々そんなに感じるものでもない気がするし、良く感じてたら薄れちゃう気もするし、まあいいや。

でも今日幸せって感じた時あった。
僕のバイト先には常連のおじいちゃんがいるんだ。松本さんっていう人。松本さんはよく来てくれてたんだけど、最近来てなくて心配してた。歳も歳だからね。そう思ってたら今日久しぶりに来て元気そうで安心した。

松本さんは色んなことを直ぐに忘れちゃうんだ。昨日来たのに僕の顔を覚えてないし、一日に来たことを忘れて2回来て2回とも同じもの頼む時だってあるし、何屋さんか忘れてる時もある。今日だってもう忘れられてて「お兄さん身長高いね」っていつもと同じセリフを言われた。でも嫌とかそんな気持ちはひとつも無くて、その言葉にはなんの偽りもないから何回言われても嬉しい。だって松本さんからしたら、何回初めて会ってもそう思ってくれてるってことだもんね。

松本さんが席に着いて、僕はふと足元を見た。
「今日履いてる靴カッコイイですね。」
松本さんはいつもと違って黄緑色の派手な靴を履いていて、僕はそう言った。
「えへへ、そうかな。ちょっと若者風にね。」
少し照れながら松本さんは喜んでた。
その時、凄い暖かい気持ちになった。多分これは幸せってヤツ。なんで自分でもこんな気持ちになったのかわからないけど。

その後は、特になにか会話をしたわけではなかった。多分次会うときはまた僕のことを忘れてる。でも、次もその靴を履いてきたら褒めてあげよう。それでまた同じ会話をしよう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?