雑記 2021.08.02
お金について読んだ何冊かの本で非常に面白い共通点があった。
本多静六、安田善次郎、ジョージ・S・クレイソン、ベンジャミン・グレアム。彼らは異なる生い立ちに生まれ、異なる文化に生き、職業も公務員、実業家、投資家とまったく違う。 しかし彼らは超資産家である点において大きな共通項がある。
国、生まれ、育ち、職業が異なれば、当然お金に関する考え方やアプローチはまったく違うだろうと読む前は思っていたのだが、全員が不思議なくらい同じことを言っている。
今の世の中、資産を成すその手法に関しては千差万別である。それらをものすごく強引に「一般解」と「特殊解」の二つに切り分けるとするならば、彼らが教えてくれる手法は「一般解」である。「特殊解」が天才の手法であるならば、「一般解」は凡人の手法であり、そして凡人の手法であるからこそ、誰しもが実践可能である。
この「一般解」のやり方は2行で表現できる。
1.月収入の1割ないし2割を貯蓄すること
2.毎月の貯蓄分を元本の安全性を担保できるモノに投資すること
簡単に見える。少なくとも字面だけは。でも実際に実践できるだろうか。
生活費を切り詰めて計算してみると、存外かなりの人が机上では可能であるという結論に至るだろう。しかし「月収入の1割ないし2割を貯蓄する」は決意であり決心である。よって何があっても絶対にやる必要がある。欲しいものがあっても、月収の2割を貯蓄できないのであれば買わない。 これを例えば10年間、継続できるだろうか? ちなみに私はまったく自信がない。
「.毎月の貯蓄分を元本の安全性を担保できるモノに投資すること」も果たしてできるか。まず元本の安全性が担保された投資を今の世の中で見つけることが難しいのは間違いないが、それは各々が見つけるとして、年利平均3%-5%でこつこつ、こつこつとやることが果たしてできるか。貯蓄が溜まれば溜まるだけ、投機の誘惑は大きくなる。喉から手がでるほど欲しいモノが買えてしまう。打ち勝つことができるのか。
とどのつまり、自分の克己心が試されているということになる。そしてもう一つ、少し蛇足かもしれないが、この一般解を実行する上で非常に難しい問題がある。それを一言で表現するなら、焦り だ。
複利というものがどれだけ巨額の富を生み出すのかに関しては、複利計算をすれば誰でもわかることだ。だから理性的に考えれば、上記のような資産に関する一般解が示されているわけであるから、そのやり方を踏襲すればよい。
しかし、そのやり方で自分の豊かな将来への現実感を持つことが極めて難しい。なぜならば、心に焦りがあるからである。今なんとかしないといけないという焦りが。20代ならまだしも、30代、40代になるにつれ、どんどん焦りが強くなり、その結果衝動的な投機に走ったり、「お金はあの世に持っていくことはできない。だから今使う方がいい」というような、悟ったのか自暴自棄なのかよくわからないことを言いながら、その日暮らしをやる人が増えていく。
この焦りを現代社会で人が極めて強く感じてしまうのは、コミュニケーションに悪い意味での革命が起きたからだと考える。相対的な自分の社会的立ち位置というものを極度に低く感じてしまうところに起因している。けれどそれはまた別の話。
長くなってきたので総括。当たり前のことを当たり前にやる。ただそれだけでよい。しかしこの当たり前を継続して行うのは、やはり難しそうである。
私は過去の偉人たちが示してくれた、資産を増やすための一般解を20代からやり続けている人間をたった一人だけ知っている。彼への尊敬の気持ち.は年と共に深まるばかりであり、この信頼は彼と接する人ならば誰しもが持っているだろう。 そのような意味で、この手法を継続することで得ることができる最大の資産は信頼にあるという安田善次郎さんの言葉は、やはり正しいと、そう考える。
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