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自然と喋るってどういうこと?

尾鷲"海と森”コース/1回目/2020年11月14~15日
三重大学生物資源学部所属

この投稿をご覧の皆さん、初めまして。「かまざえもん」と申します。こんな一世代も二世代も飛び越したような名前ですが、この名付け親はどこかの大学の学科長の息子くん(高校の同級生)だったりします。渋いねえ。

そんな身内ネタはどうでもいいとして、自分は三重大学生物資源学部に所属しておりまして、その中で開講されている「自然環境リテラシー」なる学問を学んでおります。以下の記事はそのプログラムの一環で尾鷲に行ってきたぜ、そんな内容となっております。

あ、ちなみに「リテラシー」というのはLiteracy(=読み書き/能力を身につける)に由来するもので、自身の体験・実感を言葉で書き表すことを意味します。

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某モータースポーツの街から特急南紀で2時間ジャスト、尾鷲に辿り着きました。具体的には尾鷲駅から車で数分の「黒の浜」、三重県立熊野古道センター(https://kumanokodocenter.com/)の近くですね。お天道様からの手厚い歓迎を受けつつ、これから共に学んでいく仲間と初顔合わせです。

にしても色んな人がいますよ。愛知から来た人、大阪から来た人、文系から理系に転身した人、元ワンダーフォーゲル部、元ヨット部、1人だけ特急代2180円はたいた人…良い意味で個性が光ってます。

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今回のコース名に「海と森」とある通り、まずは彼らの実態を探ることが目的です。カヤックと呼ばれる小型の1人用カヌーに乗り込んで、いざ大海原へ…とは行かず、近くの矢ノ川で練習です。

当方こんな経験初めてですし、何せ水泳は得意ではない(小中高全て安定の泳力Cクラス)なもんですから、タイタニック的沈没を恐れたのも事実。恐る恐るパドルをくねくねさせると、、、

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これがまたスイスイ漕げるんですわ。川の穏やかな流れに合わせてリズミカルに、ここまで簡単にできるとは思わなかっただけに「んなもん自然ってやつは優しいやっちゃのう!」と盛大なるフラグを立ててみたり。

それはともかく、川の透明度にも驚きました。写真でも分かる通り底がよく見えますし、実際橋梁近くには魚が群がっている様子を観察することができました。さすがにここまで透き通っていると飲料水として飲めるのでは…と浅はかなことを思ってしまうほどです。

「自浄作用」という言葉があるように、微生物の力で河川の水質が維持されております。もちろん地元の方々による人為的な影響もありますが、肉眼ではほぼ見えないちっこいお掃除屋の威力は計り知れません。

【一口メモ:BOD(生物化学的酸素要求量)】
水質指標の一つにBOD(=Biochemical oxygen demand)が挙げられます。これは水中の汚濁物質を微生物が分解するときに消費される酸素の量で、この値が大きいほど微生物が張り切って分解しようと酸素をバカくらい吸う、すなわち汚い水であると言えます。

試しに矢ノ川のBODを確認すると、2016年~2018年の3年間における75%値(データを順に並べたとき、(全データ数)×0.75の位置にあったデータの値)は0.5より小さい値を取ったとのこと。これは三重県内1位タイであり、相当綺麗な川であることが分かります。

三重県庁ホームページ(https://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0012500088.htm)に詳しい記載がありますので、興味のある方はぜひご覧下さい。

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図鑑やテレビで2次元的に観るものとは違う、3次元、いや五感を使っているので4次元の水面下の世界とでも言いましょうか。触れ合おうとした者だけが確認できる自然の「姿」を、身をもって実感した次第です。

このような体験をしたことがない人にとっては、自然は怖いイメージもあるかもしれません。それは突発的な異常気象などが起因しているものだと思いますが、普段はおおらかに佇んでいることがほとんどです。また、当然ですが自然が言葉を発することはありませんので、いくら頑張っても対話(物理)はできません。それなら体の付き合いじゃ!!!…という対話(身体)という形でコンタクトを取ってみると、案外喋れるものです。

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ひと段落した後は今宵の宿を設営します。本来なら5~6人で1つの大型テントを使うそうですが、このご時世なので間隔を空けて1人1つの小型テントで寝ます。

いくら天気が良くとも陽のない夜、しかも川辺は極寒と化します。そこで登場したのが焚き火。金属製のやかんが燃え尽きそうな勢いですが、この方が心身ともにじんわりと染み渡るものです。

これもまた、実際に行動しなければ味わうことのできない経験です。便利なものから距離を置いた状態、野暮ったい言い方をすれば原始的な状態だからこそ、先人の知恵で暖を取る。普段は「良い子は危ないから火遊びやめようね!」なんて危険扱いされますが、この時は有難い別の存在のように見えました。状況次第で捉え方が変わる、典型例を思い知りました。

…あ、だからといって近くの公園でキャンプファイヤーはダメ、ゼッタイ。

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さてさて、2日目はいよいよ沖に出ます。前日の川とは違い波揺れも起こるため、一筋縄ではいきません。絶え間なく漕がなければえんやえんやと流されます。誰だよ自然は優しいとか調子乗った奴は。

幸い快晴だったので”シー”カヤック日和ではありました。写真はとある先輩のお気に入りスポット「ゾウさんの鼻」。んまあ見えんくはないが「鷲のくちばし」とかのほうが尾鷲市PRにつながるんじゃね?(無茶)

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そんな滅茶苦茶なことを言うと、こんな感じで見事にしてやられます。一瞬の隙が命取りとなるとはこういうことで、仲良くなったかと思えば一気に見放されるんですよねえ。同じnoteライターかつ同じプログラムに参加した舞妓(note ID:doraem0n5103)ちゃんの言葉を拝借すれば「海はツンデレ大魔王」、なんか炭治郎も苦戦しそう。

よければ舞妓ちゃんの記事もどうぞ、多分喜びます。

力勝負で言えば自然のほうが人間より圧倒的有利です。かと言って成すすべもなく茫然と立ち尽くすのは「逃げ」でもあります。対話(身体)の意義はここにもあるわけで、どうすれば順応できるのか、どうすれば対処できるのか、現地で自問自答することに、自然環境を理解する上での重要ポイントが隠されている気がします。

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海、川、カヤック…どれもこれも遊びじゃん?と思う方はそれでいいと思います。しかしそこには長年知らぬ間に築き上げられた自然の軌跡が潜んでいるわけで、我々はその一欠けらを知っているだけです。

くどいようであれですが、自然と対話することでその全貌を明らかにできるのではないでしょうか。深淵を探るには座学だけにとどまらないアクティブな姿勢、それこそが我々を未知なる世界へと引きずり込んでくれる原動力になるのだと感じました。

まあここまで偉そうに書いときながら自分も自然についてよく分かっておりません。今後月1ペースで開催されるので、時間をかけながらじっくりと発見できたらなと思います。

以上、自然環境リテラシー尾鷲コース第1回についての独り言でした。最後までご覧頂きありがとうございました。

~続きはこちらから(2021/01/23追記)~


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