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おいしい「火遊び」

おひとり様の我が家の料理は基本簡潔か作り置き。
電子レンジでチン、湯沸かしてかける、調理家電に入れてほったらかし。
便利さを求め正直おいしくても「たのしい」に繋がるかは微妙。

でも逆に「たのしく」作れば「おいしい」と思う。それを実感させてくれるのは「火を眺めながらつくる、たべる」時。時間の余裕がある時のみできる至福だ。焚火や暖炉などで安らぐのは炎の1/fゆらぎリラックス効果があるかららしい。そこに料理が加わるとどうなるか。例えば焼き芋やバーベキュー、マシュマロ炙り。五感が喜ぶ心躍る体験になる。

あいにく乾燥気味で山火事などが起こる地区に住み、慎重派のビビり気質なので上記のような危険を伴う大掛かりな事は実際にはしていない。
代わりに我が家では小さな炎を揺らめかせ、ささやかな糧を得る。
流し台の横で消火対策も万全。

自分が思い描くおいしい「火遊び」を書いていく。

サイフォンコーヒー

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出会いは地元神戸に本社があるUCC上島珈琲のカフェプラザ。
化学実験のようなコーヒーの淹れ方に魅了された。
今はハリオの1人前ミニフォンで、豆挽きからフラスコにコーヒーが溜まるまで目が離せない儀式だ。聖火の如く着火、癒しの時間が始まる。

茶香炉

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アロマオイルやキャンドルで火の揺らめきと香りを楽しむことは出来るが我が家では猫に精油は毒なのでNG。色々調べたところ茶香炉に辿り着いた。
普段は賞味期限切れの紅茶葉を煎じるけど、緑茶葉を煎じた後ほうじ茶で楽しむことも出来る。あの芳香が漂うと日本人の血が騒ぐ。

懐石コンロ

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旅館や料亭で懐石コンロ料理が出されたときの特別感は何だろう。
レトロなフォルムの調理器具
「私だけの為の料理」を感じるサイズ。
そして調理場から始まり目の前で炎絶やさず続く調理過程。

数年前に浅草の合羽橋で延々と迷いながら購入、まだ使っていない。
固形燃料を使う料理は効率的ではないかもしれない。でも炎を眺めながら料理と向き合う時間は贅沢であろう。ちょうど一回で食べきれる一期一会の食事を心行くまで堪能したくなる。今年の目標だ。

フォンデュ

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地元神戸に行くと必ず行く観音屋、デンマークチーズケーキが絶品。
でも幼い頃の憧れはチーズフォンデュだった。チーズを温め溶かし、パンやソーセージをディップして食べる。なんてロマンのある食事だろう。
だがそんな淡い欲望は父と兄に壊された。二人で食べに行き、感想は「塩辛いだけ」だった。確かに具が何であろうと延々と同じソースで食べているわけだから想像はできる。以来未だにチーズフォンデュを食べたことがない。

時代は流れ、今度はチョコレートフォンデュが登場した。延々と食べるのなら塩気より甘味のほうがいいだろうと友人とカフェで注文。アロマポットに似た器に入ったチョコレートはキャンドルで温められ、イチゴ、マシュマロ、バナナなどを堪能した。

おいしかったなあ、又食べたいなあとポットを購入したが自分一人だと使う気力が沸かない。思うにフォンデュはみんなで集まって食べるからこそ美味しいのだろう。数ある具材を分担で一口サイズに切り、準備ができたら「何から食べよう~」とはしゃぎ、食べては会話を弾ませながら舌休め。そういう「おいしいはたのしい」は今の自分にはハードルが高い。

そしてこのご時世、「分け合う」概念がソーシャルディスタンスやマスク着用で変わってしまった。一つの器から食事を分け合う事が危険視され、ビュッフェ式の食事は禁止になった。職場でもキッチンから共用のコップ、皿、カトラリーが全て取り除かれた。「鍋をつつく」フォンデュにとって致命傷ではないか。

じゃあこのポットは用済みで捨てるべきか。いや、まだ諦めたくない。
時間と心の持ち方に余裕ができ、フォンデュを楽しめる時が来るのを信じたい。その時にはこのポットに火が入れてやろう。「おいしいはたのしい」が増えるはずだから。


#おいしいはたのしい


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