緩和ケアと離床について①

"対象者はPCUに入院しリハを実施し、退院した76例。方法は診療録やカンファレンス記録を元に患者の毎週のPPI値、そのときの離床能力を後方視的に調べた。離床耐久性とPPI値には負の相関関係を認め、PPI値3.5以下で60分以上の離床を目指すことが可能、PPI値6以上になると離床自体が難しくなってくる"(『緩和ケア病棟におけるリハビリテーション実施患者の希望の調査および離床耐久性と予後予測スコアとの関係』矢木健太郎 著,Paliat Care Res 2017;12(4):801-06 より引用)

どんな状態になったときにどの程度の離床が目指せるのか…非常に参考になりました。

「リハ中止基準」の数値や自覚的疲労度だけを指標にリクライニング車椅子にのせるのは怖い話です。

リハ専門職が、緩和ケアの目的である「その時期における最高のADLを実現すること」を追う中で、ポジティブな面だけに目を奪われないようにするために、こういう指標を知っておくことは重要だな…と。

徐々に身体機能が落ちていくところに鞭打つようなリハビリを!と考えるセラピストはいないと思いますが、実際には行われているかもしれません。調子が少し悪くなっているようなら、メニューをへらしたり、お休みしたりしてもいいでしょう。

大だい問題なのは、高負荷でぐっと全身状態が悪くなること。

寄り添う、支える、という意味を日々問いながら、私も臨床に向かいます。


余談ですが…

私自身、遠方にいる自分の家族が末期がんになったとき、みるみる体力が落ちていく姿をみながら、数日間のうち短い時間だけ身体を少しほぐすくらいしかできなかったといいう悔しい経験をしました。

がん末期に対するリハ体制はほとんどない病院でした。末期と分かってから亡くなるまで1ヶ月程…近くにいてあげられる事がどれだけ大きなことか、実感しました。

状態を客観視できる医療スタッフが側にいて、日々の健康状態(VitalやIn-out)みつつ、痛いところはないか、本人が最期の時をどう過ごしていたら心地良さそうかアドバイスしてくれたら、こんなに心強いことはないなと。

そんなセラピストがどんどん増えていきますように、微力ながら多方面で活動を続けてまいります。

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