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「スーツを脱げ、タイツを着ろ」(江上喜朗著)を読みました

1. 読む前の期待

江上さんは、僕が今業務でメインで携わっているプロジェクトのお客様のトップの人。その江上さんと南福岡自動車学校(以下、ミナミ)のことをもっと知りたいと思った。

2. 感想

読む前は、タイトルと表紙から「みんなジョーシキに捉われず楽しいことやっちゃおーよ!いえーい!」みたいな内容かと思ったのだが、初っ端から自分が社長になってからどんどん人が辞めていく。ハゲができるほど辛い。みたいな内容から始まって意外なスタートだった。(やられた)

2-1. ミナミは古臭くなった習慣に血を通わせる天才

僕自身が教習所に通った時、免許を取る以外のことを何も期待していなかった。座学の教習など、ほぼイメージすら覚えていないほど平凡なものであったろうし、指導員やスタッフに笑顔や他の教習生との交流など何も期待していなかったと思う。そんな発想すらなかった。

江上さんはそういうもの全てにメスを入れた。時代に遅れて経営が危なくなりそうだと思ったら、他の事業に手を出すとか、投資運用とかも考えられそうだが、江上さんはまず本業を思いっきり改革した。しかもその目玉はコストカットとか合理的なものではなく、愛あるおせっかいをしようという一歩間違えれば煙たがられそうなもの。というか実際に一部の人には煙たがられていたみたい。その軸を持って改革を進めたから、教習生、スタッフ、指導員の間に交流が生まれ、そこには体温が通った。卒業後の教習生が、教習所に戻ってきて旅行のお土産を渡すというものにもつながっている。

もちろんこれらの改革の根底には、営利活動を安定的に行うという目的があるのだが、それとこのような極めて人間的な活動が相反することなく、両立しているというか、融和させているのはすごい。

本書の中で紹介される数々の施策の中で「やられた!」と思ったものがある。「おキモチ、とどけます」というもの。卒業時にお節介なことに、教習生に感謝の手紙を書かせて、それを投函しておきますというサービスらしい。これだけ聞くとちょっとむず痒くなりそうな企画なのだが、この手紙を受け取った人は、読んだ後それを折ると、なんと交通安全の御守りになるらしい。これなら教習所がやる意味があって筋が通る。脱帽です。

2-2. 江上さんは人が好きで考え方が合理的で柔軟

本を通じて、きっと江上さんは人が好きなんだろうなーと感じた。上に挙げた事業改革からもわかるが、お客さんである教習生にいかに自分のサービスで楽しい思いをしてもらうかを真剣に考えているし、それだけでなく、社員も大切にしている。ある社員が今のポジションで力を発揮できていなかったら、じっくり観察して他の才能を見抜き、別の仕事を提案する。本の中でも社員のニックネームやイニシャルを出して、それぞれの才能を称賛している。

そして、社員から「社長って頭悪いですね」と言われても「そうなんだよ、だから助けて」と言えるらしい。これはある意味で合理的だと思う。人間、誰しも自分バカだなと思うことがあると思うが、他人から、しかも立場が下の人から言われたらムカついて、人によってはその地位を使って、その人を貶めるかもしれない。でも「そうなんだよ、だから助けて」と言えるのは、なんというか合理的な気がする。なぜならどんなに才能がある人でも何から何まで100点でこなせるわけではない。しかも人を使う社長ともなれば、いかに社員から助けを得るかが大切なはず。だから江上さんのこの言葉は合理的だ。
実際に江上さんと同じ会議に出たことがあるが、社員さんからめっちゃイジられている。さすがに頭悪いとまでは言われていないけど、言っても大丈夫そうな雰囲気はある(笑)

節操のない採用という話もあるが、本当にいろんなところで優秀な人を口説くらしい。なんと一回自分の会社を退職した人も対象らしい。すごく合理的で柔軟だなと思うし、自分は社長になったことはないけれど、こういう対応というのは共感できる。

3. アクションアイテム

  • 僕も形式的で錆びついたものを違うやり方するの好きなので、Fusicで、日常で実践していきたい!

  • 仕事相手のミナミさんにも愛あるおせっかいをしていきたい!

いや、僕にサポートだなんて...僕にお金渡されても楽器に使ってしまうので、、、あなたのお金はあなたのために使ってくださいw