【大金持ちに「富裕税」をかけたら社会はここまで変わります】消費税の逆進性「所得少ないほど負担感重く」~消費税増税の一方、富裕層中心の所得税と法人税は減税ばかり~
■超大金持ちに「富裕税」をかけたら、社会はここまで変わります
~アメリカでは導入に現実味が出てきた~
週刊現代(講談社)2019.12.25
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米国で富裕層が保有する資産に税金を課す、いわゆる「富裕税」の導入が現実味を帯び始めている。
次期大統領選挙をめぐっては、民主党の複数の候補者が富裕税を主張しており、民主党政権が誕生した場合には、具体的な施策が検討される可能性が出てきた。
近年、グローバル経済の発達によって格差問題が議論されるケースが増えている。
かつては貧困問題の方が圧倒的に重要なテーマだったが、この問題に対しては大きな政府という形で弱者支援の支出を増やすというのが定番の解決策だった。
だが、今、米国で議論されているのは貧困という下方向の格差ではなく、特定の超富裕層が富の多くを独占するという、上方向への格差である。
たくさん富を持ったところで、1人の人間が消費する金額には限度があるので、富の多くを一部の富裕層が独占してしまうと、社会全体でお金が回りにくくなるとされる。
(中略)
・中間層以下が資産を持つ方が消費は拡大する
一般的に富裕層は中間層以下と比較して高額な消費を行っており、多くの人が願望としてイメージする「地味で散財しないお金持ち」というのは現実にはあまり存在しない。
だが、いくら富裕層が高額消費を行うといっても、1人の人間が消費する金額には限度がある。
同じ金額を富裕層が独占しているケースと、富の大半を中間層が分散所有しているケースを比較すると、消費の額は確実に後者の方が大きくなるだろう。
中間層以下の場合には、支出過剰で資産を取り崩す割合も高いので、直接的な消費の比率は高くなる。
富裕層の寄付についても同様である。富裕層で寄付を行う人は多いが、寄付には2つの種類がある。
ひとつは、日常的に行われるそれほど金額の大きくない寄付で、これは経済学的にフローを増やす効果がある。
もうひとつは、本人の死亡や現役引退などによってまとまった資金が団体に寄付されるケースである。
この場合、資金を受け取った団体は、それを直接支出せず、運用に回し、運用益をフローとして支出することになる。
そうなると富裕層が個人的に資金を運用し、運用によって得られた利子や配当金を個人的に消費するのとあまり変わらなくなる。
中間層が資産を分散保有しているケースでは、寄付するにしても、大半が日常的な寄付になるので、消費が増える可能性は高い。
富裕層による富の集中が経済にとってマイナスとは断言はできないが、それが行き過ぎた場合、消費停滞の原因になる可能性はそれなりに高いと考えてよいかもしれない。
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超大金持ちに「富裕税」をかけたら、社会はここまで変わります
~アメリカでは導入に現実味が出てきた~
週刊現代(講談社)2019.12.25
■消費増税でまた混乱 法人減税強行の内幕
~消費税増税の一方、富裕層中心の所得税と法人税は減税ばかり~
東洋経済 2013/10/06
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・トータルでは減税ばかり
「日本は戦後、一度も増税をしたことがない」。
ある財務官僚は自嘲ぎみに話す。
1989年の消費税創設と、97年の3%から5%への消費税率の引き上げ。
その本来の目的は将来の高齢化社会に備えることだった。
しかし、当時は個人所得税や法人税などの直接税から、より税収の安定した間接税(消費税)に税体系をシフトさせるという「直間比率の見直し」の側面が強調され、消費税反対の世論大合唱に押される形で、時の政権は個人所得税や法人税の大型減税の同時実施に追い込まれた。
トータルでは兆円単位の減税となり、高齢化社会に備える財政基盤作りは進展しなかった。
酒税など個別の小さな増税を除けば、消費税が絡む過去の抜本税制改革はすべて“減税”だった。
これが今に続く財務省全体の共通認識だ。
その後も、消費税と関係なく減税が繰り返されてきた。
たとえば86年に43.3%だった法人税の基本税率は2000年代には30%まで低下(現在は25.5%)。
リーマンショック前の景気拡大期に当たる06年度、日本の法人全体の税引き前当期純利益はバブル期の40兆円弱を凌駕する50兆円弱に達したが、法人税収は15兆円と、バブル期の19兆円を上回ることはなかった。
個人所得税収もピークの半分程度まで減少。
その結果、一般会計税収全体では、消費税が加わったにもかかわらず、90年度の60兆円に対し、06年度は50兆円にとどまった。
今さら言うまでもなく、現在、名目GDP(国内総生産)比で2倍に達する日本の公的債務残高は、世界最悪の水準にある。
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消費増税でまた混乱 法人減税強行の内幕
東洋経済 2013/10/06
■消費税の逆進性 ~所得少ないほど負担感重く~
日本経済新聞(2012年5月16日)
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・消費税の逆進性
所得の少ない人ほど、消費税の負担感が重くなる傾向のこと。
公平に配慮して、所得税では課税所得が増えるのにつれて高い税率がかかる「累進税率」になっているが、消費税は所得にかかわらず税率は同じ。
単純に払う税額でみれば、所得が多い人ほどモノやサービスを多く買いがちなので、消費税もたくさん払う。
ただ収入に対して、どれだけの消費税を払うかの割合では、所得の少ない人ほど負担率が高くなりやすい。
第一生命経済研究所の試算では、消費税率が10%に上がると、年収約1300万円の世帯の消費税負担は収入の4%程度。
年収125万円では、この比率が9%程度に高まる。
消費税は食料品など生活必需品にもかかるので、所得の少ない人でもある程度の税を負担しなければならないためだ。
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■消費税の逆進性
~所得少ないほど負担感重く~
日本経済新聞(2012年5月16日)
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