巨大IT規制、監視を強めよ~米首都ワシントンの司法長官、アマゾンを独禁法違反で提訴~
■巨大IT規制、監視を強めよ
産経Biz 2020.8.8
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200808/mcb2008080500001-n1.htm
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世界の多くの企業が新型コロナウイルスの影響で深刻な打撃を受けている中で、巨大IT企業の業績はおおむね好調だ。
巨額の利益を稼ぎ出す独占的なビジネスモデルに対する監視が欠かせない。
米司法省では、巨大IT企業に反トラスト法に基づく調査を進めている。
日本や欧州の当局も独占禁止法などを通じてIT企業の規制を目指しており、各国が協調した新たな規制が必要だ。
公聴会に呼ばれたのは、「GAFA」と呼ばれるグーグルやアマゾン・コム、フェイスブック、アップルの大手IT企業の経営トップだ。
議員らは各社が競争を制限し、寡占状態の中で巨額の利益を得ていると批判し、出席したトップたちは防戦に追われる場面が目立った。
巨大なIT企業をめぐっては、その事業形態や取引条件などが不透明だと批判されている。
利用者向けの巨額な広告料収入などによる収益構造も判然としていない。
このため、米司法省は競合他社の参入を妨げている恐れがあるとみて調査している。
こうしたIT企業は世界市場で事業を展開しており、その活動に対する規制も各国が協調しなければならない。
各社が独自に集めている顧客データなどの利用動向を含め、国際的な監視網の構築が不可欠といえよう。
一方、こうしたIT企業に対するデジタル課税は、米政府の反発で協議が難航している。
先月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも具体的な進展はみられなかった。
年内合意の目標達成は微妙な状況だ。
国際デジタル課税をめぐっては、国内に拠点がない企業にも当該国が一定の課税ができるルールでいったんは合意した。
だが、自国企業を守りたいトランプ政権がルール運用の変更を求め、対立が生まれている。
米政府はデジタル課税についても国際的な協調を優先すべきだ。
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■巨大IT規制、監視を強めよ
産経Biz 2020.8.8
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200808/mcb2008080500001-n1.htm
■米首都ワシントンの司法長官、アマゾンを独禁法違反で提訴
BBC(英国放送協会)2021年5月26日
https://www.bbc.com/japanese/57250629
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米首都ワシントンの司法長官は25日、米アマゾンが小売大手としての地位を乱用して商品価格を引き上げ、反トラスト法(独占禁止法)に違反したとして提訴した。
訴状では、アメリカのオンライン販売の最大70%を支配するアマゾンが商品価格の上昇をもたらしているとしている。
「アマゾンのオンライン小売販売プラットフォームは、アマゾンの反競争的なビジネス慣行から恩恵を受け、それに守られている」
コロンビア特別区(首都ワシントン)のカール・ラシーン司法長官が提出した訴状は、アマゾンが自社サイトの第三者販売業者に対し、商品価格の最大40%の手数料を請求し、他のプラットフォームで商品をより安く販売することを阻止していると非難している。
「アマゾンは消費者が最良の商品を最安値で入手できるようにするどころか、アマゾンのオンライン小売販売プラットフォームで販売される商品と、競合他社のオンライン小売販売プラットフォームで販売される商品の両方について、オンライン販売市場全体の価格を人為的につり上げている」
これに対し、アマゾンの広報担当者は、「(ワシントン)DCの司法長官は全く真逆のことを言っている」と反論した。
「アマゾンは幅広い品ぞろえを低価格で提供していることに誇りをもっており、他店舗と同様に、顧客に対して価格競争力のないオファーを強調しない権利を有している」
・「反競争的」慣行の停止求める
今回の訴訟はアマゾンの「反競争的」慣行の停止と、損害賠償や救済措置を求めるもの。
しかし、適用範囲はコロンビア特別区での違反行為に限定される。
アマゾンは、この救済要求によって「より高額での商品の提供を余儀なくされ、奇妙なことに反トラスト法の中心的な目的に反することになる」と付け加えた。
同社は2019年、販売業者が同社プラットフォーム以外でより安い価格で商品を販売することを禁止する契約条項を廃止した。
だが、ラシーン司法長官は「事実上同一の代替規約」をつくっていたと主張している。
欧州委員会は昨年11月、アマゾンが外部の販売者から集めたデータを自社ブランド商品の販売促進に利用していたとして、EUの競争法(独占禁止法)違反で提訴している。
アマゾンは自社のプライベートブランド商品は反競争的であるどころか、顧客にとって良いものであり、より多くの選択肢を提供しているとした。
「アマゾンほど中小企業を大切にし、過去20年にわたって中小企業を支援してきた企業はない」と、アマゾンは当時主張していた。
・パンデミック下で売上急増、監視が強化
今回の訴訟は、新型コロナウイルスのパンデミックの中で、売上や会員数が急増したハイテク企業に監視の目が向けられるようになったことが背景にある。
例えばフェイスブックやグーグルは、アメリカやイギリスの規制当局から、市場における「支配力が強すぎる」と非難されている。
こうした中アマゾンは、新型ウイルス対策のロックダウンにより消費者が自宅待機を余儀なくされたことを受け、売上を急激に伸ばした。
同社の2021会計年度第1四半期の純利益は81億ドル(約8820億円)と、前年同期の3倍以上だった。
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■米首都ワシントンの司法長官、アマゾンを独禁法違反で提訴
BBC(英国放送協会)2021年5月26日
https://www.bbc.com/japanese/57250629
■米富裕層「税金ほぼ払わず」 ベゾス氏らの納税記録暴露
日本経済新聞 2021年6月9日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08F810Y1A600C2000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1623186102
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非営利の米報道機関プロパブリカは8日、米アマゾン・ドット・コム創業者ジェフ・ベゾス氏ら富裕層の納税記録を独自に入手したと発表した。
上位25人の合計保有資産価値は2014年~18年に約4010億ドル(約43兆円)増えた一方、連邦所得税の支払額は136億ドルにとどまった。
富裕層に有利な税制が格差拡大を助長していると主張した。
プロパブリカは寄付を元に調査報道を手がける非営利メディアだ。
米内国歳入庁(IRS)で機密扱いにされている納税記録を独自に入手し、分析結果を公表した。
プロパブリカは入手方法を明らかにしていないが、報道は公共の利益に資すると判断したとしている。
一方、IRSのチャールズ・レティグ長官は8日の議会公聴会で「違法行為があった場合、捜査対象となる」と話した。
プロパブリカは、米国の富裕層が蓄えた富のほんの一部しか税金を払っていないと主張する。
例えばアマゾン創業者のベゾス氏は07年、会社の株価が2倍以上になったにもかかわらず、所得税を払っていなかった。
11年には損失を計上し、節税していた。
子供のために4000㌦の税控除を申請し、受け取っていたこともあった。
富裕層が保有する会社株式や不動産といった資産は、売却されて利益が実現しないかぎり、課税所得とみなされない。
プロパブリカは米誌フォーブスのデータを基にベゾス氏の富が06年から18年までに1270億ドル増えたと推計。
この間の連邦税の支払額は14億ドルで、富の増加に対する「真の税率」は1.1%にすぎないと主張する。
借り入れを使った節税テクニックもある。
著名アクティビスト投資家のカール・アイカーン氏は16年と17年に調整後総所得を計上しているにもかかわらず、連邦所得税を支払っていなかった。
借入金の利子の支払いが収入を上回っていたからという。
アイカーン氏はプロパブリカの取材に対し、節税目的の借り入れとの見方を否定した上で「勝負に勝つためだ」と主張した。
ベゾス氏やアイカーン氏のほか、バークシャー・ハザウェイを率いる著名投資家ウォーレン・バフェット氏や、米メディアのブルームバーグ創業者マイケル・ブルームバーグ氏、テスラ創業者イーロン・マスク氏らの納税情報が暴露された。
上位25人の富裕層合計でみても富の増加分に対する税金支払額の比率は3.4%にとどまった。
平均的な米国の勤労家庭は富の蓄積以上に税金を支払っている。
米国では富よりも勤労所得への課税に重点が置かれていることが一因だ。
富裕層増税の導入を主張する民主党のエリザベス・ウォーレン議員は8日、報道を受けて「我々の税制は収入で財をなさない億万長者によって不正に操作されている」とツイッターに投稿した。
バイデン政権は格差是正を政策の柱に掲げる。
連邦所得税の最高税率を37%から39.6%に上げ、年収100万ドル超の富裕層の株式などの譲渡益(キャピタルゲイン)にもこの最高税率を適用することを提案した。
ただ今回のプロパブリカ報道によって所得税の最高税率を上げても、納税額はあまり増えないことが明らかになった。
ウォーレン議員らは保有資産への課税を主張している。
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■米富裕層「税金ほぼ払わず」 ベゾス氏らの納税記録暴露
日本経済新聞 2021年6月9日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN08F810Y1A600C2000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1623186102