BHSミュージカル研究所のBクラスはオススメです!


昨年受講して楽しかった「ミュージカルの音楽分析」の講座が、今年も開講して、会場を昨年より一回り大きくなったので定員に余裕があると聞いたので、推薦tweetをしようと思ったら、書きたいことが多すぎたのでnoteで。

ってわけで、私が「BHSミュージカル研究所のBクラス」が好きな&オススメする理由を書いていきますね。

■1回完結でミュージカルの音楽や歴史について学べる!

「ミュージカルの講座」ってのは、東京だと探せば色々あるんですけど…

・作品上演にあわせて関係者が制作現場について聞くトークショー系
 ⇒宣伝目的で作品か役者のファンであることが前提なものが多い

・何人か業界関係者を集めてテーマについて話すシンポジウム系
 ⇒話が深まらず表面的な内容で終わってしまうことが少なくない

・有名な曲の歌ったり踊ったりを体験するカルチャースクール系
 ⇒音楽的な楽しさはあるが体験レッスン以外は通うの前提

・文学部系で演劇研究をしてる先生による大学公開講座系
 ⇒勉強になるが平日昼間の毎週開講が多くて通いにくい

って傾向があり、当たり外れが大きかったり、受講のハードルが高い感じなんですが、BHSミュージカル研究所のBクラスは、そこらへん問題ないのが良いところなんですよ。

毎回の講座のテーマに、「レミゼラブル」とか「キャッツ」って作品タイトルがついてるけど、あくまでもミュージカルの歴史とか音楽技法の解説の切り口に使うためであって、熱心な作品ファンじゃなくても、そんな歴史が!あのよく聞くパターンって名前があるのね!みたいな、学びがあるんですわ。具体的にはレジメをみていただくのが早いかと思います。

Bクラス 2nd Season 第1回 5月18日(土)
「『レ・ミゼラブル』から『ミス・サイゴン』へ」
〜作詞作曲・ブーブリルとシェーンベルクの進化の過程〜 
♪は演奏予定曲目
1. すべてはシャンソンから
(1) 「オンマイオウン」と「我が心の夢」は双子
曲の構成、作品全体における位置づけなど、共通点が多い二曲
♪ 「我が心の夢」(『ミス・サイゴン』)
(2) 向笠の小噺 「フランス音楽とドリア旋法」
シェーンベルク作品の音楽の特徴を、少しだけ専門的に。
2. ひとつの「核」の変化が、『レ・ミゼラブル』はストーリーに。『ミス・サイゴン』は人物像に。
(1) 「オンマイオウン」と「我が心の夢」はそれぞれ変奏されて作品全体の構成を決める
「我が心の夢」が在って「火がついたサイゴン」が在る。二作品の変奏シーンを洗い出し比較
(2) 「音楽的人物像」の確立がもたらす効果
変奏を多くする=1度しか歌われないナンバーが際立つ
♪ 「星よ」 (『レ・ミゼラブル』) 「もしも」(『ミス・サイゴン』)
(3) なぜ「命をあげよう」は孤立しているのか
・・・・・・・・・・・休憩・・・・・・・・・・・
3. 英訳における「語学的人物像」が必須だった『ミス・サイゴン』
(1) 人種の違いを音楽と言葉で描く問題
(2) 英訳家がイギリス人→アメリカ人へ
韻の踏み方を「キャラクターの教養の物差し」とするのは二作の大きな特徴。脚韻を多く踏む=頭が切れる(エンジニア)
♪「雲の上のお城」(『レ・ミゼラブル』) 「バンコク」(『ミス・サイゴン』)
4. 対位法の進化 「ワン・デイ・モア」から「トゥイの死」「エレンとクリス」へ
(1) 大部の小噺 「対位法とは〜トゥナイト五重唱に始まるミュージカルにおける対位法の歴史〜」
(2) 対位法という作曲技法において二作はどう変化したか
5. 両者の始まる音と終わる音
♪ 「サンアンドムーン」(『ミス・サイゴン』)

 ※内容は予告なく変更になる場合がございます。

めっちゃ内容が濃いでしょ?1回の講座の内容で、同人誌が1冊くらい作れるんじゃないか?ってボリュームなんですわ。これ、準備にどれだけ時間かけてるの?1回1人4000円で大丈夫?って感じなのです。(理由は後述します)

で、更にですね、講座ではこのレジメ作ってる先生の語りの元、実際にピアノで弾いて解説や、ピアノ伴奏+もう一人の先生の歌で実演、があるんですよ!よくミュージカルの本に「○○と□□の登場シーンは、同じ旋律が…」「この曲は特徴的な韻律により…」って書いてあるでしょ?あれを生演奏・生歌(基本は原語)で聞けるんです。また、Bクラスは、極力楽譜は使わない=一般人でもわかるように解説、ってコンセプトなので、小学生の時にピアノやめた私でも理解できたような気分になれるのです。更に、資料&記入式ノートが配られるので、受講者はボールペン1本持ってけばOK!

って感じの内容が、1回2時間半位で完結していて、開催日時が土日の午後〜夜で、場所は東京都内なわけです。さらに1回完結だけど、月1回で色んな作品やテーマをとりあげるので、連続で通っても楽しい!ちなみに、現在公開されているBクラスの予定は下記の通りです。

5/18 (土)18:15〜『レ・ミゼラブル』から『ミス・サイゴン』へ 
6/29 (土)14:15〜『ミス・サイゴン』などに見る、西洋ミュージカルにおける「アジア」 
7/27(土)14:15〜『美女と野獣』にみる、アラン・メンケン音楽の変遷の歴史 
8/25(日)13:15〜『ウエストサイドストーリー』と『ロミオとジュリエット』 
9/22(日)13:15〜『キャッツ』テクストと音の融合 
10/12(土)18:15〜『ノートルダムの鐘』と『レント』

■先生達のミュージカル愛が熱い!

だが、そもそも「BHSミュージカル研究所」って何?聞いたことないんだけど?怪しくない?大丈夫?って思いますよね。

ひらたく言うと「音大出身で音楽を教えてる人達が、ミュージカルを教える用に作った教室」です。なので教えるの慣れてます、大人の音楽教室って雰囲気だと思います。受講形態はふたつあって、Aクラスがプロ向けレッスン、Bクラスが一般向けの講義、があります。元々は「日本のミュージカル関係者も楽曲分析にふれる機会が増えて欲しい」って考えで立ち上げ、団体PR活動の一環として一般向け講座も開講、って流れとのこと、コース名の並び順の通り。…個人的に、この志がぐっと来るんですよね、応援したくなりません?

って書くとBクラスはオマケ?って印象もうけかねないけど、そんなことぜんぜんないの!音楽関係の専門家や指導者である以前に、ミュージカルファン…というかマニア?としての研究発表の場として、採算度外視の準備時間がかけられている事が予想されます…これ本当にこの受講料でいいの?って心配になるくらい。…受講生が沢山あつまって儲かるようにしないと、Bクラスが続かないのでは?続いて欲しい!って思いで、この文章を書いてます。

あと、講座のテーマとなる作品が、ちょっとベタすぎるのでは?って感じるかもですが、これは先生の趣味がこの作品群中心って訳ではなく、日本のミュージカルファンに需要のありそうな、なるべく多くの人に興味をもってもらい参加してもらえるような作品を、って考えによるものの様です。なので、受講生が沢山集まって今後もBクラスが続いていくようなら、もっと通好みな作品がとりあげられる可能性もあるんですよ!

■いろんな趣味趣向の人が受講してる!

特定の公演や役者さんに関する講座だったり、スポンサー付きのイベントでもないので、受講者がほんと多彩なんです。Bクラスの冒頭では毎回「この作品をどのプロダクションで観たことあります?」って挙手&質問タイムがあるのですが、四季好き・東宝好き・宝塚好き・ブロードウェイ新作派・エリザベートなら何でも観る派などいろんな軸足を持ってる人が来てて、日本国内で同じ作品を何十回も観る・観劇歴30年以上のベテラン・基本的に海外でしか観ないって濃い人から、私この作品観たことないんですけどテーマが面白そうだったんでってスタンスの人までいて、面白いんですよー!

なんで、それを詳しく知ってるかっていうと、挙手タイム以外にも、小さな会場(定員20人弱・今年はもう少し広い)なので、講座の前後や休憩時間に、受講生同士で雑談したり、講座後に時間ある人同士でご飯食べにいったりって雰囲気があったんです。普段なかなか自分の興味範囲をこえたミュージカルファンの人と話す機会ないんで、とても新鮮な体験でした。昨年に引き続き受講する人もわりといるらしいので、たぶん今年も似たような雰囲気になるんじゃないかなと思います。もちろん、そういった交流に興味がなければ、普通に講義だけ受けて帰っても大丈夫です。

ちなみに、昨年の受講生は、ミュージカル全般好きなので全部通しで通うよって人と、休みの都合がつく時や好きな作品の時だけって人が半々くらいの印象でした。ただ、昨年の後半は、1ヶ月前に次回講座のレジメが公表されると、ほぼ即日で満席になっていたので、1回くらい参加してみようかなー?って考えてる人は、なるべく早めに申し込んどいた方が安心ですよ!

あと、twitterで「面白そうだけど東京か…」って残念がってる地方在住の人を散見しますが…かなり遠方から参加してる受講生の人いますよ。昨年は、新幹線&宿泊の人、私が知ってるだけで2人いました。もし時間と予算の都合がつくなら、観劇の遠征とあわせていかがでしょ?

…ってかんじかなー?私からの推薦文は以上です。


各種リンク

BHSミュージカル研究所 Bクラスの紹介ページ Bクラスの申込ページ
今年から、有料ノート(月500円)もはじめたそうです。

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