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この書は、僕の小さい頃の原風景を思い浮かべながら書いたものです。

おばっちの生い立ち①
にも書いたように、小五のときに父が病気で亡くなりました。

一人っ子で、父と母の3人暮らし。

しかし、身近にあった初めての別れということで、亡くなったとき母や親戚や周りの人はみんな泣いてたけど、僕は涙が出ませんでした。

死を実感できなかった。

それでも、日がたつたびに寂しさはありとあらゆる場面で実感が湧いてきて

どれくらいだろ、1ヶ月くらいたったときかな。

母と2人で親戚の家まで歩いていくことがありました。

田舎で人通りも少なく自然が多い
30分くらいの道のりです。

その日は、よく晴れた日だった記憶があります。

そこで、母とかわした会話が僕にとってはずっと忘れられないものになりました。

僕「かあちゃん、お父さん死んだと?もう会えんと?」

母「うん、そうよ。お父さんは死んだんよ。」

僕「そっか……寂しいね。」

母「うん、寂しいね。」

僕「ねぇ、かあちゃんも死ぬと?僕も死ぬと?みんな死ぬと?みんな居なくなると?」

母「うん、いつかね かあちゃんもそうなる。○○くんも。みんな いつかそうなるんよ。」

僕「寂しい…。悲しい…。」

母「うん。寂しいね……」

このあと、二人で号泣して
その後 なんとか涙をこらえながら
親戚の家まで てくてく歩いた記憶があります。

それから、僕は生きるってなんだろうとか
この星に生まれてきたことの意味とか
この世界ってなんなんだろうとか
最後が寂しくて悲しいのに人はなんで生まれてくるんだろうかとか、いろいろ考えてきました。

あぁ

あの道を
あの晴れの日に

あの時の母と
あの時の僕で

もう1回歩きたいなぁ

歩きたいなぁ

悲しさも寂しさも 押し殺して てくてく てくてく
ひたすら歩いた道 涙をこらえて ただただ歩いた道

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