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旧柿木中学校再生プロジェクトはじまります

はじめまして。「旧柿木中学校再生プロジェクト(仮)」編集部です。

当プロジェクトは、島根県鹿足郡吉賀町柿木村にある「旧柿木中学校」の再生と、新たな柿木村のランドマーク施設としての運営を目指しています。

これから、このプロジェクトの経緯をこちらでお届けしていくためnoteアカウントを立ち上げました。はじめましての今回は、どうしてこのプロジェクトが始まったのかについて、まとめました。

放置された”塩漬け物件”の中学校

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島根県鹿足郡吉賀町柿木村 旧柿木中学校は、1961~2004年の43年間、柿木村中学校として使われていました。合併に伴う閉校後は、大規模改修工事(改修費用6,000万)を実施し、2005年から町の指定管理を受けた「エコビレッジ柿木村」によって、都市と田舎の交流施設として運営が行われました。

しかし、2016年には町による耐震診断の結果耐震強度不足を理由に突如立入禁止に。耐震補強の工事を行うには1億円、撤去にも2,500万円と莫大な予算がかかるため、町議会では解決の見通しがありません。それ以来、用途の決まらないいわゆる“塩漬け物件”として約4年間放置されたまま、現在に至ります。

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2004年に大規模補修が行われた校舎は、今も目立った損傷もなく、ある程度手を入れればすぐに使えそうに見えます。この校舎に通った住民も多く、柿木村の歴史を背負う校舎は貴重な資産です。このまま何もせず眠らせておくのはもったいない。そんな思いから、発起人の田村薫平を中心に当プロジェクトは動きはじめました。

民間運営の複合施設として再生させる

専門家の助言を仰ぎながら調査を進める中で、解決の糸口が見えてきました。それは、学校の所有者を行政から民間へと移行するという方法。行政が運営する形では、耐震基準をはじめ様々な厳格な規定や手続きをクリアする必要があります。しかし民間の施設なら運営者の判断のもと、より柔軟な利用が可能になるのです。

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町の調査では現在の耐震基準を満たさないという結果が出ました。しかし、私たちは専門家とともに実際の物件を見た上で、当面は現状のまま使用して問題はないだろうという判断をしています。もちろん、内装や水回りなど最低限の補修は必要ですが、1億円の大規模工事をしなくても活用できる可能性が見えてきたのです。

民間での運営や課題を抱えた中でのスタートについては、さまざまな意見があるでしょう。しかしこのまま誰かが動くのを待ち続けていては何も変わらない。それなら自分から行動しよう。そんな田村の思いを中心にプロジェクトメンバーが集まりました。

私たちは現在、町役場へ旧柿木中学校譲渡の提案を行い、審議を待っています。正直この行動には勇気が必要でした。しかし、私たちには急がなければいけない理由がありました。

地図から消える「柿木村」のランドマークを作る

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私たちが目指すのは、旧柿木中学校を新たな「柿木村」のランドマークとして再生させることです。その背景にはこの春に「柿木村」の名前が住所表示から消えてしまうことへの危機感があります。

柿木村は40年も前から有機農業を推進し続けている地。この地には農を始め、里山文化に根ざした豊かな食と暮らしが受け継がれています。全国から若い世代も多く移り住み、地域の人々はこの地への愛着を強く持っています。

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それを裏付けるように住民は吉賀町への合併後も「柿木村」の名前を残すという総意を示しましたが、議会により否決。2021年3月には住所表示から「柿木村」の名前が消えることが正式に決定しました。

生まれ育った土地が地図から消える。それは先人が残してきたこの地のアイデンティティに大きく関わる出来事です。次の世代には「柿木村」という名前が意識の中からも消えてしまうかもしれない。安易な道を選ばず未来のための選択を続けてきたこの地の精神を、次の世代へつながないといけないと私たちは考えています。

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そうした危機感を背景に、私たちはこの旧柿木中学校を「柿木村」の新しいシンボルとして再生させたいという思いを強めました。「こんな田舎に何もない」という人にも、「都会よりかっこいいものだってたくさんある」と言ってほしい。そのために、このシンボリックな校舎から、この地の魅力を内外に発信していきたいと考えています。

3.僻地のイメージを、ひっくり返す

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では、具体的に何をするのか? 当プロジェクトが目指すのは、「柿木村」から、里山の豊かさと可能性を、食や暮らし、芸術や文化の視点から全国へと発信することです。

誤解を恐れずに言えば、「何もない」「不便」「遅れている」といった、僻地や田舎へのイメージを「豊か」「可能性がある」、「未来を見据えている」という価値観へと逆転させること。そのためには地域内外の人が自然に行き交う場作りが必要だと考えています。

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柿木村の豊かな食や手仕事の文化を発信することは、この地に暮らす作り手にとっても、安心できる良いものを手にしたい都市で暮らす人にとっても有益なことではないでしょうか。将来的には、商品や生産物を適正価格で届ける継続的な仕組みを作ることで、廃棄される農産物の削減と経済的な循環を達成し、ひいては地域と都市部のつながり作りや、地域の人間関係の活性化に繋げたいと考えています。

後編となる次の記事では、入居者・メンバー募集のご案内とともに、私たちが目指す施設のビジョンについてご紹介します。

↓続きはこちら

https://note.com/kakinokichu/n/nd8102234c694

プロジェクトメンバー(2021年6月現在)

田村薫平(888アパートメント)
七咲友梨(写真家・ソットチャッカ) 
檜谷邦茂(一般社団法人 小さな拠点ネットワーク研究所)
山若マサヤ(編集者・クリエイティブディレクター)









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